表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

あと少し早ければ

作者: 聖魔光闇
掲載日:2011/03/03

今行くぞ!!

 買い物帰りに橋の上を通ると、下の方から何やら音が聞こえる。

 ふと気になり、橋から身を乗り出し、下を見下ろすと、子供が一人溺れながら流されていくではないか。

『大変だ! 助けなくては!!』

 と橋の手すりに足をかけるも

『そういえば、今日はお気に入りの服だった』

 と躊躇する。

 そうしている間にも、子供は水面から頭が消えたり出たりしながら、川下の方へと流されていく。

『服なんか、かまうもんか!』

 と再度、飛び込もうとするが、表面的な善意だけでは体がいうことをきかない。

『クソ! 動け! 動いてくれ!!』

 そう思いながら、身を乗り出すと、飛び込むつもりもなかったのに、体は川へと落ちていった。

『こうなったら、やけくそだ!』

 と子供の方へ泳いでいこうと思った瞬間

「すいませ〜ん! アソコにも溺れている人がいます!」

 と声が聞こえる。

 ふと河川敷の方を見ると、毛布にくるまれた溺れていた子供の傍から、私の方を指差して叫んでいる女性の姿が見えた。

『俺は! 俺は溺れてなんか!!』

 と思っていたが、レスキュー隊らしき人が泳いでくると

「大丈夫ですか!!」

 と声をかけられた。

 無言で頷くと、河川敷まで浮き輪のようなモノをつけて、引っ張っていかれた。

「いい大人が川に落ちたらダメですよ」

 と言われ、溺れていた子供を探したが、もうそこにはおらず

「はい……すみません……でした」

 と頭を下げていた。

『どうして俺が謝らないと!!』

 そんな思いでいたが、水に濡れ寒くなったので帰る事にした。

『【骨折り損のくたびれもうけ】とはこの事だな……。っていうか、俺の買い物袋は!?』

 川下を見ると、どんどん流れていくビニール袋が見えた。

 俺はビニール袋が見えなくなるまで、見届けると愕然とその場にうずくまった。

 正に【骨折り損のくたびれもうけ】何も得はなく、失ったモノは大きかった。




躊躇うヒマがあるなら、やめとけば……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 笑える(*^。^*) 「あと少し早ければ」だから、子供が死んでしまうのかと思ったら・・・
2011/03/04 13:55 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ