第5話 三部会という最後の扉
1788年6月、ヴェルサイユで開かれた聖職者の会合に、私は大司教の衣と財政担当者の顔を同時にまとって出席した。
蝋燭の匂いは礼拝堂に似ていたが、そこで交わされる言葉は救いではなく負担の額をめぐるものだった。
私、ブリエンヌは聖職者でありながら、同じ聖職者たちに王国のための金を求めなければならなかった。
「王国の危機は、我らも承知しております」
年長の司教が言った。
その言葉は丁寧だった。丁寧すぎるほどだった。
私は、こういう言葉の後に何が来るかを知っていた。
「しかし、教会の財産は信徒の信仰によって支えられております。軽々しく王国財政の穴埋めに差し出すことはできません」
やはり、来た。
私は静かに頷いた。ここで苛立ちを見せれば、私は聖職者としての品位を失う。だが、品位を守っても国庫は満ちない。
「軽々しくとは申しません」
私は答えた。
「王国が倒れれば、教会もその屋根の下で倒れます」
「屋根を支えるために、柱を切れとおっしゃるのですか」
うまい返しだった。
部屋の何人かが小さく息を漏らした。笑いではない。だが、同意の気配が混ざっていた。
私は彼らを責めきれなかった。彼らには彼らの恐れがある。教会財産への課税を認めれば、次はどこまで求められるか分からない。信仰と慈善の名で守ってきたものが、財政の論理に飲み込まれる。
その恐れは分かる。
分かるからこそ、苦しい。
「では、いくらなら王国を助けられますか」
私は尋ねた。
会場に沈黙が落ちた。
その沈黙は、祈りの沈黙ではなかった。勘定の沈黙だった。
やがて示された額は、必要な額に届かなかった。
部分的な協力。
丁寧な拒絶。
私は、自分の足元の床がわずかに沈むように感じた。同じ身分の者たちからも、私は十分な力を得られない。王権と法院のあいだで裂かれ、聖職者としても財政担当者としても中途半端に見える。
休憩の時間、若い司祭が私のそばへ来た。
「猊下、地方の教区では施しを求める者が増えております」
彼は小声だった。周囲の高位聖職者に聞かれたくないのだろう。
「教会にも余裕がありません。ですが、王国が新たな負担を求めれば、民は教会も宮廷と同じだと思うでしょう」
私は彼の目を見た。そこには出世の計算ではなく、現場の疲れがあった。飢えた者の前で説教する時、腹の音を神学で消すことはできない。
「分かっています」
私は答えた。
分かっている。
その言葉ほど、役に立たない慰めもない。
調停者とは、両方から少しずつ信用される者だと思っていた。
現実には、両方から少しずつ疑われる者だった。
******
7月、空は容赦なく明るかった。
その明るさの下で、雹が畑を叩いたという報告が届いた。パリ盆地の作物が傷み、農民が来年の税を払えるか怪しい。そんな文面を読みながら、私は紙の端を強く握った。
「これ以上、民に負担を求めれば」
官吏が言いかけて黙った。
「暴れるでしょうね」
私が続きを言うと、彼は目を伏せた。
暴れる。
役所の文書には、もっと整った言葉が使われる。騒乱、抵抗、不穏、秩序の乱れ。だが、屋根から瓦を投げる手は、自分の行為をそんな言葉では考えない。腹が減り、怒り、誰かが自分たちを見捨てたと思う。そこに難しい語は要らない。
机の上には、三種類の紙があった。
一つは財務の報告。
一つは地方の騒乱の報告。
一つは三部会招集についての草案。
三部会。
私はその文字を見つめた。
高等法院はその名を求めた。街はその名に希望を重ね始めた。貴族は自分たちの権利を守る場として見ている。第三身分は、まだ形の定まらない声を届ける場として見ている。
同じ扉を、皆が別の部屋へ通じていると思っている。
そのことが恐ろしかった。
廊下の向こうから、若い官吏たちの声が聞こえた。彼らは三部会について噂していた。第三身分の代表を倍にするべきだとか、身分ごとに票を数えるのか、人数ごとに数えるのか。まだ正式に決まってもいないのに、扉の形をめぐる争いが始まっている。
私は草案の上に手を置いた。
扉は、開ける前から人を争わせる。
ならば開けた後はどうなる。
「閣下」
財務官が入ってきた。顔色が悪い。
「今月の支払いですが」
その一言だけで、私は続きを聞く前に分かった。
「足りませんか」
「足りません」
短い答えだった。
私は椅子の背に体を預けた。天井の装飾が目に入る。金箔、曲線、王権の栄光。人は天井を見上げる時、そこに永遠があるように感じる。だが、金箔を貼るにも金がいる。
「借入は」
「市場が怯えております」
「怯えを鎮める材料は」
財務官は黙った。
材料はない。
あるとすれば、一つだけ。
王国が、いよいよ全国の代表を呼ぶという約束。
三部会という名の、最後の信用。
******
陛下の前で、私は草案を差し出した。
部屋には重い静けさがあった。ルイ16世陛下は紙を受け取り、ゆっくりと目を通した。窓の外から、遠くの庭師の足音が聞こえるほど静かだった。
「三部会を」
陛下がつぶやいた。
「はい」
「そなたは以前、1792年と」
「その時間は、残っておりません」
私は言った。
強い言葉だった。陛下の目がこちらを向く。
私は逃げなかった。
「国庫は限界です。法院との対立は地方へ広がり、聖職者会議からも十分な協力は得られません。借入は信用がなければ成り立ちません。その信用を、王国の代表を呼ぶ約束に賭けるしかございません」
言いながら、胸が痛んだ。
これは救いの提案ではない。
追い詰められた末の扉だ。
「三部会を開けば、事態は収まるか」
陛下の問いに、私はすぐ答えられなかった。
収まる。
そう言えれば、どれほど楽だっただろう。
けれど、私はもう楽な言葉で王国の時間を買うことができなかった。
「収める機会は生まれます」
「機会か」
「はい。保証ではありません」
「余は、保証が欲しい」
陛下の声は低かった。
私は胸の前で指を組んだ。王が保証を求めるのは当然だ。王は自分一人の不安ではなく、王国全体の不安を背負っている。だが、臣下がその不安を和らげるためだけに嘘を差し出せば、次に来る破綻はもっと深くなる。
「私もでございます」
私は言った。
「ですが、保証に見せかけた願望を差し出せば、陛下を欺くことになります」
陛下の目が、少しだけ暗くなった。
その暗さを見ても、私は言葉を引っ込めなかった。ここで引けば、私は最後の仕事まで曖昧にしてしまう。
陛下は疲れたように目を閉じた。
私は頭を垂れた。王に向かって保証ではないと告げる臣下は、あまり好かれない。だが、保証できないものを保証すると言えば、それは祈りではなく詐欺になる。
しばらくして、陛下は紙を机に置いた。
「進めよ」
その声は小さかった。
だが、その小さな声で、古い扉が動き始めた。
私は部屋を出て、廊下で立ち止まった。窓の向こうには、夏の光が広がっている。宮廷の人々は、まだいつものように歩いていた。絹の裾、剣の柄、香水の匂い。何も変わっていないように見える。
だが、変わった。
三部会を開くということは、王国の問題を王だけの部屋から外へ出すということだ。そこには声が集まる。期待が集まる。不満が集まる。長く閉じ込められていたものほど、扉が開いた時に静かには出てこない。
私は胸の前で手を組みかけ、途中で止めた。
神に祈る時間はあっても、王国の金庫には時間が残っていなかった。
最後の扉は、開く。
その向こうに救いがあるのか、火があるのか、私にはまだ見えなかった。




