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第1章 Eの章 Eの真実 第3話 【純へのメール——そして返信】
数日間、Eは寝つきが悪かった。
何度もあの日の光景を思い出す。非常階段の二人。それを見つめる「観察者」。
あの「観察者」のシルエット——どこかで見たことがある気がする。気のせいかもしれない。でも、もし気のせいじゃなかったら——?
Eは、別部署の女性——純のことを思い出した。
仕事で何度かやりとりをしたことがある。
彼女はいつも何かを観察しているような目をしている。廊下ですれ違う時も、どこか遠くを見るような目。
(もしかしたら……いや、そんなはずはない)
でも、確かめずにはいられなかった。
Eは思い切って、純にメールを送った。
「突然すみません。非常階段の噂のことなんですけど、何かご存じですか?」
返信は、翌日に来た。
「見えるものと、見えないものがあるよね」
それだけだった。
Eは、その言葉の意味がわからなかった。
でも、なぜか、その短い返信が心に残った。




