雑文パクリ「けっして『開けてはいけない扉』がある部屋」
今回は時間を掛けたから割りとまともです。・・まともか?
因みに評価システムを解放しました。なのでじゃかすか評価してねっ!
本日、私は御仕えしている神輿家 (みこしけ)の恋菜 (こいな)お譲様が、今日から33日間の予定で王都方面に大型トラックにてドライブへ行かれるという事で、高級高層マンションの『隣』にあるお譲様のアパートで留守番をするよう仰せつかった。
まぁ、仰せつかったとは言っても、本当は私の方からお願いしたのだ。何故ならば蝶よ花よと大切に育てられた深窓の令嬢たる恋菜お譲様が暮らすお部屋というものを一回体験しておきたかったからだ。
そして今、私はお譲様のお部屋にてこの部屋における注意事項をお譲様から説明されている。
「置いてあるものはバーベル以外は動かさないでね。人生ゲームは好きにプレイしていいわよ。フェレットも触ってもいいわ。まぁ、触らせてもらえるならね。」
「はい、解りました、お譲様。」
いや、お譲様。そのバーベルってどう見ても100kg以上ありますよね?もしかしてお譲様は持ち上げられるんですか?見た目は細いのに?
後、お譲様。人生ゲームの箱の中から本物の札束がはみ出しています。もしかしてご友人と遊ばれる時は現金が飛び交っているんですか?それって普通に『賭博』なんじゃ?
でも世渡り上手な私は心の中で思っても口には出さない。そんな私にお譲様は説明を続けられた。
「ゴミ出しの日は火曜日と金曜日で朝8時半までに出す事。洗濯機は午後6時以降に動かしてはいけません。後、晴れたらバルコニーで布団を天日で干しておいて。あっ、ファブるのも忘れないでね。」
「はい、解りました、お譲様。」
そう返事をしつつも私は違和感を覚えた。うん、なんか想像していたのと違うんだけど?むーっ、これが自立した女性の本当の生活ってやつなのかなぁ。
因みにバルコニーってこの南側の窓についている転落防止用の柵の事ですか?
その後、お譲様は私をキッチンへ案内するとそこそこ大きい冷蔵庫の扉を開けて中の品物を私に見せながらおっしゃった。
「中に入ってるモノは全部飲んでいいわよ。」
「ありがとうございます!お譲様っ!」
私は開けられた冷蔵庫の中を見て大興奮である。なんせ冷蔵庫の中はビール、ビール、ビールっ!で埋め尽くされていたからだっ!
あっ、一応おつまみ用の乾物も少し入ってた。おーっ、一番下の引き出しはウイスキーだらけだっ!でもこのミルクの粉はなんだろう?
「缶ビールですけど随分種類が豊富ですね。」
「そうよ。今、ちょっとハマっているの。なので飲み比べする為にポチに一通り用意させたのよ。」
因みにポチとは神輿家 (みこしけ)のお譲様専属使用人だ。なので決して犬の名前ではない。
「下の段のウイスキーも飲んじゃっていいんですか?」
「ええ、構わないわ。ただ私って氷は市販のパックを使うんだけど使い切っちゃったのよね。なのでコンビニで買ってくるか製氷機のやつを使ってちょうだい。」
成る程、さすがはお譲様である。氷にまで拘られているんですね。でも私は普通に水道水を冷蔵庫の製氷機で凍らせたやつで十分です。
そしてある程度部屋に関する説明が終わると、お譲様はリビングの壁に近付き真剣なお顔にて脅すような口ぶりで次のように告げてきた。
「これはすごく大事なことだから言っておくけど、このペルシャ織り壁掛けの裏には隠し扉があるの。鍵は掛かっていないんだけど絶対開けないでね。人に教えるのも駄目よ?いい?鍵は掛かっていないいないけど開けちゃ駄目。」
お譲様、そんなに念を押されると逆に期待されているのかと勘ぐってしまいます。しかもお譲様ったらわざわざ壁掛けをめくって扉を私に見せるのですからますます判断が難しいです。
さて、使用人としてはどうするのがベストなのでしょう?まっ、私はそんなに好奇心が旺盛な方ではないから開けないと思うんですけどね。
ただ、お譲様の目が「ほら、理由が知りたいでしょ?ふふふっ、聞いてもいいのよ?」と訴えているので仕方なく聞いてみました。
「その扉を開くとどうなってしまうのですか?」
私の問いかけにお譲様は待ってましたとばかりに意気揚々と答えられた。
「ふふふっ、なんとこの扉の向こうは天空の宮殿『ラピ○タ』に繋がっているのよっ!そしてラピ○タには金銀財宝がざっくざくあるっ!と言う言い伝えがあります。更にオマケとして世界を支配できるチカラもあるらしいわ。」
さすがはお譲様です。金銀財宝がメインで世界を支配するチカラの方がオマケなんですね。でも私としては22世紀からやって来た猫型ロボットのお話の方が好きです。
そもそも猫型ロボットがいれば『どこだっていけちゃうドア』でラピ○タには行けますから。
でも世渡り上手な私は心の中で思っても口には出さない。そんな私にお譲様は説明を続けられた。
「でね、その財宝をキャットアイという緑色の髪をお団子頭にした怪盗が狙っているらしいのよ。」
「あーっ、キャットアイですね。確か先月タクシー乗り場で横入りしたクズを撃退したとかでローカルニュースに流れていました。」
「えっ、キャットアイってそんな事をしてるの?怪盗の癖に?」
「そうですよねぇ、人としては正しいと思うんですけど、怪盗としてはどうなんでしょうね。だって思いっきり身バレしてますもの。」
「それって本物なのかしら?」
「あーっ、どうでしょう。言われてみれば名前だけを騙った模倣犯か愉快犯かも知れませんね。」
そう、有名人は時に名前を詐称されてしまうのだ。なのでお譲様もネット上で名前をアナグラム化されてキャラを無断使用されているらしい。
「因みにもしもキャットアイが家宅侵入してきた場合、私はどうすればいいのでしょう?警察に通報してもラピ○タの事は信用してもらえないはずですよ?」
「それに関しては警戒センサーがあるから大丈夫。もしもキャットアイが現われてもセーラー『服』ムンムンが駆けつけてくれるから。」
「セーラー『服』ムンムンですか・・。なんかすごいネーミングですね。二次系の同人漫画に出てきそうな名前です。もしかして版権対策ですかねぇ。」
「えっ、そ、そうかなぁ。むんむんって語感が可愛くない?」
「平仮名だと多少はエロさが薄れますが五十歩百歩です。」
私の指摘に何故かお譲様はしょんぼりされてしまった。あれ?なんか私変な事言った?
とは言え、一通りの説明が済むとお譲様は、近所のコンビニにでも行くような軽装で着替えを入れた鞄を持って部屋を出ていかれた。
そしてひとり残された私は開放感からはしゃぎまわる。そして冷蔵庫からお譲様のビールを2本持ってくるとリクライニング座卓に座り、お譲様が契約しているネットテレビ番組の中からアニメを選択し観始めた。
そして丁度放映されていたのが『天空の白い雲、ラピ○タ』だったのである。
なので急に私はお譲様が開けてはいけないと言われていた扉が気になりだした。
「むーっ、別に金銀財宝や世界を支配するチカラには興味はないけど、あの空力と重力を無視した飛び方をする頑丈過ぎるロボットには会ってみたいなぁ。私にもかしずいてくれるかしら?」
そんな妄想を私がしていると突然窓からパラグライダーに載った緑色の髪をお団子頭にしたレオタード姿の女の子が飛び込んできた。
うん、窓を開けておいて良かった。えっ、ガラスを割られなかったんだから良かったんだよね?いずれにせよその女の子の姿を見て私は叫んだ。
「あっ、あなたは・・。ランカ・リーっ!」
「ぢかーうっ!なんでこの流れで『マクロスF』が出てくるっ!」
「えっ、もしかしてラムちゃん?」
「ぢかーうっ!『うる星やつら』なんて最近の子供たちは知らんぞっ!」
「となると初音ミクですか?」
「あなた、解っていてボケているでしょ?と言うか、この頭のお団子が目に入らぬかぁっ!」
「あっ、お団子ヘアで有名なのは『セーラームーン』の『月野うさぎ』ちゃんっ!あれ?でもうさぎちゃんの髪の色は黄色だったはず。えっ、髪の色変えちゃったの?」
「ぢかーうっ!あなたボケ過ぎだっ!私はキャットアイよっ!」
「キャットアイっ!あの中学生男子に説教しまくるという謎の美少女っ!」
「えっ、いや~、さすがにもう美『少女』はきついかなぁ。なので普通に『美女』でいいわよ。」
「喰いつくのはそこなんだ・・。そして美女は否定しないんだ・・。」
おっ、思わず声に出してしまった。まぁ、この辺は微妙な女心に関する事なのであまり触れないでおこう。
そもそも、ここまでで3千文字も使っている。なのでさっさと先に進まないと10万文字越えの大作になってしまう。
そしてそれはキャットアイも感じたのか話を進めてきた。
「で、このままだと話が進まないので説明するけど、この部屋に天空の宮殿『ラピ○タ』へと繋がっている扉があるのは判っているの。さぁ、隠しても無駄よ、どこにあるの?教えなさいっ!」
「その壁に掛かっているペルシャ織り壁掛けの裏にあります。」
私はお譲様から他人には言ってはいけないと注意された事を忘れて教えてしまった。まっ、スタッフから尺が押しているから捲くれっていう合図が入っていたからね。仕方ないでしょう。
そして扉の場所を聞いたキャットアイは壁掛けを剥ぎ取ると隠されていた扉の取っ手に手をやり力いっぱい引いた。
しかし扉はうんともすんとも言わない。
「ちょっとあなたっ!この扉、鍵が掛かっているじゃないっ!鍵はどこっ!」
「いえ、鍵は掛かっていません。と言うかその扉って外開きだから引っ張るんじゃなくて押すんです。」
うん、なんかコントでこんなボケを見た気がする・・。
で、キャットアイは私からの指摘が恥ずかしかったのか誤魔化すように扉を蹴飛ばした。すると扉はなんの抵抗もなく開いた。
しかも議事進行を短縮する為なのか、扉の先は金銀財宝が山と積まれている宝物庫だった。
成る程、某素人投稿サイトのダンジョンモノみたいにちまちまと探索はさせないんだな。
しかしここで扉の奥に入ろうとするキャットアイに対して待ったの声が掛かった。
「お待ちなさい、キャットアイっ!その財宝を持ち出す事は許しません。それらはラピ○タの王族たちが民草から巻き上げたものです。なので所有権は王族にありますっ!」
私とキャットアイは同時に声のした窓の外を見る。そこには月を背にお腹を丸出しにしたミニスカセーラー服姿の少女が長い髪を下からの扇風機の風でなびかせながら立っていた。
因みにこの部屋は2階にあるのでセーラー服姿の少女は4メートルはありそうな脚立の上に不安定そうに立っている。
うん、あれは怖いだろうな。なんせ踏み外したら真っさかさまだもの。
そんな謎のミニスカセーラー服姿の少女からの制止に対してキャットアイが反論した。
「うるさいっ!そもそも私は怪盗だっ!人の物を盗むのが仕事なんだよっ!邪魔立てするな、セーラー『服』ムンムンっ!」
あっ、あの少女がセーラー『服』ムンムンなのかぁ。でもなんか赤い大きなリボンで隠しているけど胸周りが変だなぁ。もしかして詰め物でもしているのかしら?
とは言え、お譲様のお部屋でバトルを展開されてはたまらない。なので私は戦うなら外でやって下さいとお願いした。そして何故かふたりは素直に従ったのだった。
ただ、何故かセーラー『服』ムンムンは私に部屋のどこかで寝ているはずの白いフェレットにミルクをあげる時間だから冷蔵庫の粉ミルクを溶いて飲ませてあげてね。と言い残した。
むーっ、何故その事を知っているんだ?この部屋に白いフェレットがいる事を知っているのはお譲様と私だけのはずなのに・・。
とはいえ、災難は立ち去った。なので私はお譲様のペットである白いフェレットにミルクをやる準備を始める。そしてその気配を感じ取ったのか、何処からともなく白いフェレットが私の足元に現われた。
「おっ、起きたんだねナツくん。よしよし、今ミルクを作っているからちょっと待ってね。」
すると私の言葉が解ったのかナツくんは床にて喜びの舞を踊り始めた。
そして私が差し出したミルクをあっという間に飲み干すとナツくんは満足げに腹を上に向けて寝転がった。
時々、手足がビクンと動くが、あれは何かの条件反射なのだろうか?まさかミルクの飲み過ぎによる痙攣ではないわよね?
だが、事件は私がミルクの皿を洗っている時に起こった。そう、なんとミルクを飲んで床に寝転がっていたはずのナツくんが、私の背後で後ろ足だけで立ち上がって私に喋りかけてきたのだっ!
「なぁ、あんた。俺と契約して魔法少女にならないか?」
「お断りします。私の夢は白馬に跨った王子様と幸せになる事だから。」
私のつれない返事にナツくんはそっち系だったかぁ、といった感じで顔をしかめた。そして契約してくれないならもう用はないとばかりに寝床に戻っていった。
う~んっ、もしかして私今ビールを飲んだせいでテレビをつけっ放しにして眠っているのかしら?これは夢の中の出来事?なんかアニメで見た設定が随所に出てくるんだけど?
でも夢なら夢でいいやっ!よしっ、もう一本ピールを飲もうっ!そして今度は素敵な王子様が白馬に乗って私を迎えに来てくれる設定になる事を期待しようっ!
いや、待てよ?この夢が前に見た映画や動画の再生ならば次に来るのは・・。あらら、私昨日『13日の金曜日』と『エクソシスト』を観ちゃったよ。
あっ、なんかチェーンソーの音が聞こえてくる。そして窓越しには隣の高級高層マンションの壁をパジャマ姿の少女が逆よつんば歩きで駆け降りている姿も見えた。
うん、これからはホラーを観るのは控えよう。ちょっとくらい演出が鼻についても恋愛系の映画を観る事にするわっ!
そう決心した私は、ラピ○タのロボットに会う為に開けっ放しになっていた扉をくぐり別の世界へと旅立ったのでした。
はい、お譲様との約束は、扉を開けてはいけないであって、扉をくぐってはいけないではないから問題なしっ!
-お後がよろしいようで。-