表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/60

53

装った:単に盛る、注ぐと言うだけでなく、体裁を整えると言うか盛り付けると言うか……その為、この文字が当てられるそうです。

 詳しくはググってみてね!



 名を呼びつつ探せば、少し離れたところからスルスルと近づいてくる薄緑色に気付く。

 ホッとしながら屈んで一撫ですると、ジェダは嬉しそうにフルフルと揺れた。

 そうして家に戻れば、せっせと触腕を伸ばし皿を運ぶシトアの姿が目に入る。


「シトア、ご飯の準備してくれてたんだ。

 ありがとね」


 にこっと微笑んで言うと、照れたようにシトアが小さく揺らぐ。


 そんな微笑ましい光景の奥、万年床が敷かれた寝室の襖の隙間から覗くのは、眩いばかりの金色だ。

 はっきり言って目によろしくない。


 ララミーナがゲーム内オブジェクトを核にして魔力を押し込めた卵もどきは、あれからすくすくと大きくなった。

 大きくなると共に、一段と光量を増す一方となった卵もどきは、温める必要はないと言われていたのを良い事に、寝室である和室に押し込められたまま、1週間も経った頃には、寝るスペースもない程に巨大化していた。


 現在世里香の寝床は、推し部屋の方に移動を余儀なくされている。

 スペース的にも無理があったし、何より、24時間年中無休状態でキンキンキラキラの眩しさなのだ。

 最早寝室……いや、元寝室で就寝すると言う選択肢はなかった。


 寝室を埋め尽くす程大きく、そして輝きを増した卵もどきは、その後順調に孵化…と言って良いのだろうか…まぁ殻は無事に割れた。

 そして中から現れたのは、金色に輝く1本の幼木。

 何処まで言っても金色なのにも辟易すると言うのは、一旦置いておこう。


 生命が生まれる可能性もあると言われていたので、てっきり動物系の何かを想像していたのだが、まさかの植物だった…斜め上にも程がある。


 そして生まれた幼木は、世里香が抱き上げるよりも早く、寝室の畳に根を広げていた。

 それは万年床を退ける暇もない程に一瞬の出来事で、金色の幼木は、一見万年床に鎮座しているように見える状態だ。


 それからも順調に成長を続け、今は寝室だった部屋一杯に枝と葉を広げ、蕾が既についている。とは言え蕾は何故か一向に開く気配を見せず、ずっと蕾のまま停滞していた。

 そんな状態なので、静観するしかない。


 つい襖から漏れ出る金色に思念を飛ばしてしまったが、まずはご飯の準備だ。

 手を洗い、鍋をそのままテーブルに運ぶ。


 シトアと2人……(単位に異議申し立てが出るかもしれないが、まぁそこは目を瞑って頂ければ…)だった時は以前のテーブルでも問題なかったが、3人になってからは流石に手狭になり、キッチンに置いたテーブルセットも4人用に買い替えた。

 真っ白なテーブルと、同じく真っ白な椅子が4脚。

 思った以上に乙女チックなデザインだったが、世里香が気に入っているから良いのだ。


 鍋の蓋を横に置けば、ふわりと湯気が上り立つ。

 今日はシチューだ。

 ルーを使ったお手軽系だが、バターを追加投入しているので、味は申し分ない。


 シトアとジェダの前にもシチューをよそった皿を置く。

 彼らはテーブルに乗ったままだが、世里香は椅子に座った。

 両手を合わせて『いただきます』と言葉にすれば、シトアとジェダも触腕を伸ばして合わせて、縦に揺れた。

 頭を下げる動作を真似ているのだろう。


 本当に微笑ましくてかわいい。

 しかも、彼等はちゃんとスプーンを使うのだ。

 最初は世里香の真似をしていただけだと思うのだが、凄いと褒めると、必死に練習し始めた。

 前世、世里香は子供に恵まれる事はなかったが、もし子供が居たらこんなんだったのかなと、つい口元が綻ぶ。

 尤も、想像するだけでも苦労の方が多そうだと考えてしまうのは、前世で見た既婚女性達が、目の下に熊さんを盛大に飼育して、げっそりやつれていた姿を見ているからかもしれない。


 一方通行の会話を楽しみつつ、シチューに舌鼓を打っていると、ドアがノックされる音に気付く。


 この家に訪れる者等、ララミーナしかいないし、鍵をかけたりもしてないのだが、律儀にノックしてくれるのだ。


「はーい、開いてるよ~」

「こんにちは~」


 相変わらずJKルックが似合っているのだが、どうにもアンバランスに見えて仕方ない美女、ララミーナが入ってきた。


「ん~良い匂い! シチュー?」


 開口一番其れか…と苦笑が洩れるが、食事は人数が増えても問題ないシチューだ。

 椅子から立ち上がり、皿を棚から出しつつ訊ねる。


「食べる?」

「食べる食べる♪」


 満面に喜色を載せるララミーナに、世里香も顔が綻ぶ。


「それにしても久しぶりじゃない?

 忙しかった?」


 減ったとは言え、1、2週間に1度くらいは突撃して来ていたのに、そう言えば此処暫くは見かけなかったなと、ふと思い返す。

 ララミーナは手を洗って来たのか、拭きながら椅子を引いている所だ。


「そうなの!

 これ見てよ!!」


 『ジャーーン♪』と言いながら、ララミーナが取り出したのは1通の封筒だった。






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。

ブックマークや評価も、本当にありがとうございます。

リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性が高いですし、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。


どなた様も、もし宜しければブックマーク、評価、いいねや感想等、頂けましたら幸いです。とっても励みになります!

(ブックマーク、評価、リアクションも本当にありがとうございます!!)


もう誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つければちまちま修正加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ