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無情にも棚田は、世里香が追い付けていない事に気付いてはくれたが、待ってはくれないようだ。
『はい。
香里様が存在していた日本、ひいては地球が存在しない世界ですね。ですが全くの無縁でもございません』
【そうそう! もうお世話になりっぱなしだったよね~】
『ララミーナさん…言う事が聞けないのなら回線切断しますよ』
【ちょ! そ、それは横暴ってものじゃないのさ!?】
『いいから暫く黙っててください』
神様の茶番が長い……世里香はどうせ見えないのだしと、盛大に欠伸を吐き出していた。
『香里様』
―――ふあぁぁぁぁぁぁ………
『香里様…』
―――ねっむぅ……つっか、死んでも睡眠欲って無くならないんだなぁ…
『香里様!?』
―――あ、やば…
「は、はい!」
『いえ、大変お待たせしました。
それでなんですが、異世界転生…なさいますか?』
『異世界転生』という響きに心惹かれるものはある。
しかし、その言葉だけで飛びつける程、自分が若い感性を持っていないのも事実…まずは色々と質問し、納得出来るか出来ないかを確認するのが先決だ。
「済みません…即答は出来かねます…と言うか、その世界って何処なんです?
って、あぁ、説明出来ないか……なら、どんな世界なんです?
こう魔王とかいたりして、危険度半端ない世界なら辞退したいですし……。
あぁ! そう、まずもって辞退って出来るんですか!?
私に選択権がなかったりなんて事は……?」
『説明不足でしたね。申し訳ございません。
まず選択権ですが、勿論ございます。
香里様はまだガイ…じゃない…地球世界側の存在ですので、貴方の意に反して異世界に送り出すなんて事はしません。そこは御安心ください』
思わず誰も見ていないのに、ホッと胸を撫で下ろす。
『次にセントマレンシスタがどのような所か……ですが……場所が説明出来ない事については御理解ありがとうございます。
それで様子なのですが【ちょちょちょちょ!! それは!!】…』
ララミーナの声が割り込んできた。
もしかして何か不都合でも隠しているのだろうか……?
『ララミーナさん…何度言えば理解しますか?』
【だって……やっと見つかった転生候補なんだよ?……】
『お気持ちはわかりますが、きちんと説明しないまま送り出せない事もわかりますよね?』
【……それは…】
『転生してから話が違う、聞いてなかった…なーんて、貴方だって困るでしょう?』
【……ハイ…スミマセン…】
『お分かり頂けたようでようでなによりです』
音声のみでの茶番に、世里香が眠くならないはずはなく、うとうとと舟を漕ぎ始めていた。
『何度も申し訳ございません。香里様』
「………」
『香里様……?」
「……………」
『香里様!』
「ふぁ!? は、はひ!?」
『御目覚め下さって、ありがとうございます』
―――バレてーら…
『では先程の続きですが、はっきり申し上げますと、全てが手遅れの世界ですね』
「………はい?」
『ですから『手遅れ世界』です』
―――いや、だから、どう言う事だってばよ!?
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
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もう誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つければちまちま修正加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>