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かなり拗らせている気がする。
病気は世里香のせいではないし、浮気された事も浮気する奴と相手が下半身思考と言う愚劣なゴミだっただけで、きちんと契約を守らない方が害悪なだけだ。
見合いするまで彼氏が居なかったとして、単に合う相手と出会う機会に恵まれなかっただけに過ぎない。
何しろララミーナから見れば、世里香は決して不良物件ではない。
顔立ちも本人は平凡で見栄えがしないと思ってるようだが、普通に可愛い顔立ちをしている。それは前世日本人だった時も同じくだ。
大人しく控えめだったせいで、地味だった事は否めないが、それが悪い事だとは思えない。
ずぼらなのは……まぁ、個性で片付けて良い範疇だろう。汚部屋ではあるが、何もゴミ部屋と言う意味ではなく、単に物が多いせいで散らかって見えるだけだ。
正直、世里香より間違いなくララミーナの方がものぐさだ。
他にも『どんくさい』だの『パッとしない』だの言われてたみたいだが、そう言う事を言う輩と言うのは、総じて底辺な輩が多かった。
直属の上司はそれを理解していたようで、重要な仕事は慎重な世里香に回していたようだ。
大体彼女に絡んで甚振ってた奴の殆どは、男性なら虐める事でしか気を引けない幼児が多かったし、女性なら単純に嫉妬が多かった。
転生に際して、その辺りはきちんと調査確認している。
あの窓口で世里香の待ち時間が長かったのは、そう言った事を裏でしていたからなのだ。
ララミーナだとて、こんな崩壊世界だからこそ、碌でもない人物を受け入れる訳にはいかなかったのだから、当然だろう。
適性があれば誰でも良かった訳ではないのだ。
とは言え、懇切丁寧に口でいくら説明しても、世里香は受け入れないだろう。
この話題は切り上げたほうが良さそうだと判断するが、他にこれと言った気を逸らす手段が思いつかない。
『困ったな』と天井を思わず仰ぎ見るララミーナだったが、視界の端に金色が光る。
何だろうと視線を向けて、ララミーナは硬直してしまった。
「……………ぅ…ぅわああぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ちょ、何!?」
ララミーナが四つん這いで部屋の隅に高速移動する。
そして何やら両手で掬い上げた。
「もう!!!
何でこれが転がってんのよ!!??
ちゃんと割れたりしないように浮かせてたのに……いや、ホント、割れたりしてないよね? ヒビも……」
矯めつ眇めつ確認しているのは、例の卵型謎物体だ。
棚田から返して貰ったのを受け取ったまでは良いが、恐らくその後の強風で再び部屋の隅に転がる羽目になっていたのだろう。
未だにキラキラと後光を放つソレの確認を終えたのか、ララミーナがはぁと盛大な溜息を吐いた。
「もう、大事にしてよね」
そう言って世里香に手渡してくる。
渡された以上受け取るしかない。
「大事にって言われても……これが何なのかわかってないんだけど?
それもあって棚田さんの御出動願ったんだけどさ。
で、結局これって……何?」
世里香の言葉にヒクっと頬を引き攣らせるララミーナ。
ぎこちなく振り向き…。
「えっと……そ、そそ、そういや…まだ、言って………なかったわ。
その…ゴメン」
「倒れちゃったんだし、それは良いんだけど、棚田さん曰く私の力を吸収したり放出したり出来そうって言ってたんだけど」
「あ~うん、概ねそれで間違ってない。
えっとぉ……平たく言えば『卵』ね!」
見たまんまを言われても…と世里香が半眼になる。
「だから!
セリカちゃんが持っててくれてたら、何かが生まれるって言うか…」
「温めろって事?
うわ…何それ、めんどくさ!
それ以前に『何か』ってなによ?」
「『めんどくさ』って酷くない? まぁいいけど……。
えっと、温めたりはしなくて良いよ。普通に部屋に置いておくだけで良いんだけど、落としたりとかはしないで欲しいかな。
割れると困るし、ヒビとか入ってもどう影響するかわかんないから」
「ふぅん、ま、その程度ならいっか。
そっちは了解。
で?
何が生まれるのよ」
「あ~……それね」
ララミーナの視線が中空を彷徨った。
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