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どうすれば良いのか…半ばパニックになりながら、何とか棚田に救援の文言を送信する。
後は棚田がそれを見て行動してくれるのを待つしかない。
その間にまずは出来る事をしよう。
畳敷きの部屋だから、そこまで硬くないとはいえ、このままにしておくわけにもいかないだろう。
昏倒してしまったララミーナの身体を、必死に押したり引いたりして何とか万年布団の上に移動させる。
この際、シーツ交換してないとか、そう言った事には目を瞑らせて貰おう。
まだ『香里 世里香』のままだったら、ワンチャン運べたかもしれない。
しかし、現在は転生によって身体が小さくなってしまっている為、見上げる身長のララミーナを、客用布団を探して移動なんて芸当は出来なかった。
額に手を添える――熱は無いようだ。
畳の上に両足を投げ出して、ふぅと大きく息を吐く。
ぼんやりしてしまった世里香だが、チャイムの音にハッと顔を上げた。
襖の間から顔だけだし『どうぞ』と言えばドアが開いた。
当然のように棚田が入ってくる。
ふっと視界の端にタブレットが入るが、KAMINEのアイコンに着信ありマークが燦然と輝いていた。
放心していたせいか、着信音にも気づいていなかったようだ。
相変わらず棚田は礼儀正しい。挨拶してから靴を脱ぎ、世里香が顔を覗かせている部屋へと近づいてきた。
「遅くなって申し訳ございません。
何があったのですか?」
確認されるのも当然だ。
慌てていたとは言え、送信した救援は『助けて』の3文字だけ。
それに、襖でララミーナの姿が丁度見えないみたいで、救援要請の理由に至れず、棚田の顔には若干の困惑が浮かんでいる。
「忙しいのにすみません…その」
視線と身を引く行動で促せば、棚田は『失礼します』と口にして室内を覗き込んだ。
途端に棚田の片眉が跳ね上がる。
「………あぁ、これはお困りでしょう。
何たる無様…管理神ともあろうものが、香里様にご迷惑をおかけする等、言語道断……」
聞こえた言葉に、思わず世里香は大慌てで首を振った。
「ち、違うって!
ララミーナは惰眠をむざぼってる訳じゃなく、倒れちゃったの!」
世里香の懸念は当たっていたようだ。
常々だらしない姿を見せているララミーナだから、誤解されても仕方ないとは思うが、今回は頑張った結果なのでちゃんと擁護してあげなければと、此処に至った状況を説明する。
まるっと話終えれば、棚田は微かに溜息を吐いて頷いた。
「そう言う事でしたか……。
ララミーナさんの方は、香里様が御迷惑でなければ…ですが、そのまま寝かせておけばそのうち目を覚ますでしょう。
ざっと確認しましたが、単なる疲労だと思います」
棚田の言葉にホッと胸を撫で下ろす。
「それで、そちらですが」
そうだった。
この謎物体もどうすれば良いのか知りたかったのだ。
救援要請の為に、タブレットの上に浮かんでいた謎物体を払いのけていたせいで、現在は部屋の隅にゴロンと転がっている。
穏やかな寝息を立てるララミーナの傍らに、並んで座っている世里香と棚田は、シンクロして謎物体を見つめた。
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