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上がって貰い、お茶でも…と、用意に向かおうとしたのだが、それは棚田によって止められた。
それどころか、『お土産です』の一言と共に出されたジュースとお菓子!
棚田氏が気遣いの出来る男過ぎる……。
お菓子は某有名コンビニの新作だ。
しかもクリーム増量ヴァージョンなんて、魅力的過ぎてもう……溜息しか出ない。
促されるままテーブルにいそいそとつき、棚田が出したジュースとお菓子を堪能する。
スプーンで掬って一口……少し黄色がかったまろやかなクリームの濃厚な味わいが口いっぱいに広がる。
「~~~~~~~~ッ!!!!!」
「喜んでいただけたようで、何よりです」
そう言う棚田はと言うと、種だの球根だのが入ったビニールを、鞄から取り出している所だ。
「それが?」
「はい。
こちらはレンゲソウです。畑に撒くなら何となくこれかなと思いましたので。
他にもラデッシュや花の球根もいくつかお持ちしました」
「ありがとうございます」
思わずスプーンを止めて、姿勢を正してから頭を下げる。
ありがたい。
本当にありがたい……のだが、どのくらいポイントを持って行かれるのか……現在のポイントが721。
出来れば就寝前に500ポイントは残しておきたい。
これから寝るまでの間にどれだけ稼げるかわからないが、今のところ自由になるポイントは221なので、何とかそれで収まってくれると助かる。
「………」
「………」
沈黙に白旗を掲げたのは、世里香の方だ。
「えっと……済みません…。
これらの合計って幾らですか?
実は、ちょっと誘惑に負けてポチってしまって……今自由に使えそうなポイントが200程なんです!
何とかそれでお願い出来ませんか!?」
何だろう…この借金取りとのやり取りみたいな文言は…と思うが、世里香からすれば切実な問題なのだ。
「………」
「………」
何故棚田は何も言わないのだろう? と、そっと様子を伺えば、当の棚田は目を丸くして首を傾げていた。
「えっと、棚田さん?」
「あ、あぁ、失礼しました。
いえ、何の事だかわからず……で、何のお話ですか?」
「へ?
お金……じゃない、ポイント……支払いますよね?」
「はい?」
全く噛み合ってない気がする。
「だから、種の代金!」
「あぁ!」
棚田は合点がいったとばかりに、手を打ち鳴らした。
「こちらは贈呈させて頂きます。
ですので支払いは不要です」
「え?
でも……それって、何だか申し訳ない……」
世里香の言葉に棚田は首を横に振る。
「いえ、こちらこそご迷惑、ご負担をおかけしていますからね。
気にせずご使用ください。
あぁ、それとララミーナさんから魔石を回収出来ましたので、こちらのお宅に組み込んでおきました。
水道だけはどうにもなりませんが、電気ガスの方はこれでかなり出費が抑えられるはずです」
―――あぁ、貴方は神か……って、元より神様だけど!
本当に仕事が早くて有能だ。
棚田様々、支援課様々である。
そんな棚田は、やはり忙しいのか、慌ただしく帰って行った。
ここまでして貰ったのだから、後は頑張りで返すしかない。
世里香は早速タブレットに種や球根を取り込ませて、農場物語を起動。
新たに増えた方の畑に、レンゲソウの種を蒔いた。
―――レンゲソウって確か窒素固定出来るとかで、そのまま土にすき込んで肥料に出来るってアレよね?
―――畑と言うより水田ってイメージだけど
―――ま、何でもいい! これで更にポイントゲット出来るゾ!!
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