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 ララミーナが来て、一頻り喜び合った。


「セリカちゃん!! ありがとう!!」


 仮にも女神だと言うのに、その顔は涙と鼻水でゲテゲテだ。

 まぁこれまでも女神と言うより、駄女神な側面の方が馴染みがあるくらいだし、この程度は何時もの事だと思える。


「一つ聞きたいんだけど、いい?」

「う? うん」


 恐る恐る切り出した世里香に、ララミーナはぽやんと返事をした。


「これってさ……連動してるんだよね?

 その、ドアの外と。

 このタブレットの中で畑が増えて…外はどうなってるの? 実際には…」


 危険だからドアを開けるなと言われている。

 開けて見るだけなら、大丈夫だろうと理解はしているのだが、どうしても躊躇してしまうのだ。

 実際、一度だけ目視させて貰った現実世界は……この、セントマレンシスタという世界は、不穏な色調のマーブル模様の空間に、ほろほろと崩れていく小さな小さな地面しかない、そんな恐ろしい程に頼りなく、恐怖と不安に縁どられたモノだった。

 だから躊躇ってしまうのだろう。


 しかし怖いからと言って、知らない…見ないままで居る事も良くない気がする。


「あぁ、うん。

 地面の崩壊が緩やかになって、今は少し広がってる!

 全部セリカちゃんのおかげだよ……本当にありがとう。

 ……此処だけの話、ね? 本当はもうダメなんだって思ってた。もう間に合わないって……この世界を創った創造神様に管理を託されたのに、その責務も果たせないまま、もうどうしようもなく手遅れなんだって。

 けれど、そうじゃなかった…まだ間に合った…。

 なーんて、そう言う言い方もどうかとは思うんだけどね」


 最後は少し戯けた様に肩を竦めるララミーナの横顔は、曇りなく安堵と喜びを内包して、とても美しい。


「そっか……じゃあもっと頑張らないと、だね」


 そう呟くと、ララミーナが困ったように眉尻を下げた。


「頑張りすぎて倒れちゃったら元も子もないんだから。

 あんまり気張らず……だけど、宜しくお願いします」


 そして、一度姿勢を正してから、世里香に対して深く頭を垂れる。

 驚いて慌てたりしているうちに、ララミーナは時間が限界になったようで、慌ただしく帰って行った。


 ララミーナを見送ってから、世里香は再び農場物語を起動する。

 新たに出現した畑の方の作業をしていると、最初の畑の方に雫マークが出ていたので、如雨露ですかさず水やり。

 こちらは後1回で花が咲くだろう。

 新たな畑も整えたものの、こちらは蒔く種がない。例の『不思議の種』とか言う不審物を蒔いても良いが、まだ数少ない畑を訳のわからないモノで占拠するのは躊躇われた。


 そうこうしているとドアチャイムが鳴る。来客のようだ……って、此処にやって来るのは2人だけなので、消去法で棚田だと直ぐにわかった。


「はーい」


 返事をし、一応形だけでもと、玄関の方へ向かう。

 入ってきた棚田は、世里香の姿を認めると『お邪魔します』と一礼した。本当に礼儀正しい人だと思う。いや、人じゃなく神様なんだけど…。


「まずは、畑が増えたとの事、おめでとうございます」

「ありがとうございます」


 まるで社畜時代を彷彿とさせる場面に、世里香の苦笑が浮かぶ。


「それで早速で申し訳ないのですが、種をお持ちしました」

「え!?」


 流石棚田氏、仕事が早い。


「ありがとうございます!

 蒔ける種がなくて、しばらく放置かな~って思ってたんですけど、これで蒔けます! ポイント稼げます!」


 そう、現在のポイントは721!






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。

ブックマークや評価も、本当にありがとうございます。

リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性が高いですし、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。


どなた様も、もし宜しければブックマーク、評価、いいねや感想等、頂けましたら幸いです。とっても励みになります!

(ブックマーク、評価、リアクションも本当にありがとうございます!!)


もう誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つければちまちま修正加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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