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あまりに驚きすぎて、昭和漫画な驚愕ポーズをとってしまった……。
誰も見ていないとは言え恥ずかしいと、世里香はつい辺りを見回してから頬を掻く。
そろそろと、タブレットに手を伸ばす。
起動してアイコンが並ぶ画面を凝視すると……。
農場物語のアイコンに、花吹雪が舞っていた。
『だからこんな所に手をかけずにだなぁ』と、つい愚痴をこぼしつつ、無駄に目立つアイコンをタップする。
すんなり起動した画面をじっくり観察する……までもなかった…。
デカデカと画面いっぱいに『おめでとう!』と言う文字が躍っている。
ご丁寧に矢印までついて。
矢印の先を見て、世里香は固まった。
―――は
―――畑……が…
―――畑が増えてるううううううううう!!!!!
そう、さっき水やりをした畑マスの隣にもう1つ……こちらはまだ雑草が生えているが…増えていた。
これはどうするべきだろうと、世里香は再び固まる。
まずララミーナと棚田に報告?
それともドアを開いてみる? 絶対に開くなと釘は刺されたけれども……
それか今はブッチしてこのまま種を増やせるのかの確認を優先? 何しろさっきの収穫では『不思議の種』とか言う不審者のお目見えのせいで、種が増えるのかどうか、増えるとして何個になるのか等々、そう言った事の確認が出来ていない。
布団の上で胡坐をかき、タブレットはその足の上に置いてから、腕組みをして考え込んだ。
―――どうしようかな…
考えて、考えて…。
報告は…まぁ、順当な選択だ。
次のリアルに確認してみると言う選択肢は……ドアは開けるなと止められている事もあり、興味はあるのだが、やはり腰が引けてしまう。
先に種の確認……これはこれでアリな選択だとは思うが、どうにも落ち着かず、むずむずする。
何故むずむずするのかを考えてみる。
―――こういう自分と向き合うとか苦手なんだけど……
―――ふわっとした訳のわからない感情と言うか感覚って、突き詰めきれなくて、最終的にもにょる事が多いのよね。
―――冷静且つ客観的に、自分を見られる人って凄いと思うわ。
―――だけど……あぁ、そっか…
―――今回は、なんか突き止められた、かも……
世里香は一人問答をしつつ、1つの考えに行き当たった。
きっと、多分、自分は嬉しいのだ。
その嬉しさを分かち合って、一緒に喜べる人が欲しいのだろう。だから報告を後回しにする選択に、むずむずしてしまったのだ。
すっきりしたところで、早々に農場物語を一度閉じ、KAMINEを立ち上げる。
『ファンファーレと共に、畑が1つ増えました!!』
ララミーナと棚田に、そう書いて送信した。
すぐさま ピン♪と着信音が鳴る。棚田からのレスだ。
『おめでとうございます。
そちらへ伺わせて頂いても宜しいでしょうか?』
こっちは一人で引き籠り生活なんだから、都合も何も気にする必要はないと言うのに、棚田は本当に律儀な性格をしているなと、世里香は小さく口角を上げた。
『勿論』と短く返信して、世里香は立ち上がった。
これまでと同じく、そう待たずにやって来るだろうと、寝室の電気を消し、襖を開けた所で、呼び鈴も鳴らさずドアをダイレクトオープンする人影が見えた。
転げるようにして入り込んできた人影はララミーナだ。
―――これまでの最短記録を更新したかもしれない…。
そんな事を呑気に考えながら、世里香は笑顔を浮かべて言葉を紡ぐ。
「いらっしゃい♪」
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
ブックマークや評価も、本当にありがとうございます。
リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性が高いですし、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。
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(ブックマーク、評価、リアクションも本当にありがとうございます!!)
もう誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つければちまちま修正加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>




