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筆文字風のフォントから目が離せない。
そして……
ポチった。
流石にそれ以上ポイントを使うのは危険だとわかっているので、急いで会計を済ませ、サイトを閉じる。
―――き、危険だわ……
―――神様がお財布誘惑する悪魔サイトなんて作って良いのか!?
後半は言い掛かりだが、おかげでポイントが減ってしまったのは事実である。
斯くしてポイント残量、現在681。
夜だか早朝だがに引き落とされる光熱費に問題はないはずだ……ないと思いたい。
それにしても静かだ……。
襖が閉まっているとは言え、届けば音がするだろうと思うので、万年床で動画を視聴しつつ待っているのだが……。
―――来ない……待てど暮らせど……シーーーンだよ、シーーーーン!
もしかして詰まったりする事もあるのだろうかと、立ち上がってキッチンの方へ見に行く。
すると見慣れない箱が、いつの間にか増えていた。
いや、増えていたと言うのは感覚的な事であって、別に増えた訳でも何でもない。キッチンに設置された受け取り口から排出されただけの事だろう。
しかし、小さな箱だ。
はっきり言うとピンポン玉サイズだ。
恐る恐る拾い上げれば、驚くほど軽い。流石に100gとは言え、入る大きさではないし、重量は更におかしい事になってしまっている……。
よくよく観察すると『押す』と言う文字が見える。
特に何もないように見えるその部分を、文字に従って押してみれば、ぬるんと出てきた。何がって『豚の角煮』が!
正確には豚の角煮が入ったプラスチックトレーで、ラップがかかっている……スーパーでよく見るあれだ。
しかも温かい……いや、アツアツと言っても良い。これは出来立てホヤホヤだ。
これは直ぐに食すべきである。
こんなの美味しいに決まってる!
急いで皿を用意し、ラップを剥がした。
途端に広がる、何とも食欲をそそる香り!
プラスチックトレーから急いで皿に移し替え、座る時間も惜しく、そのまま箸で1つ摘まみ、口へと放り込んだ。
―――あぁ……濃厚な脂の甘みが……
―――た、たまらんデス!
最初の一口目をしみじみと堪能した後は、もう怒涛の勢いで箸を運んだ。
そして……
すっかり空になった皿を前に、世里香は呆然と立ち尽くす。
―――失敗した……
―――これは白米か酒を用意すべきだった。
何故白米か酒の2択なのかはわからない。
とりあえず世里香はそう思ってしまったのだ。
それ以前に夕食まで置いておくべきだったかもしれない。
ま、何をどういった所で後の祭り、兵共が夢の跡である…とほほ。
それにしても…と、世里香は棚田が設置していった受け取り口に目を向けた。
あんなに小さく軽い状態で届いたから、音に気付けなかったのだろう。
あれほどに圧縮出来るとは……高性能すぎる。やはり神様なんだなと、妙に納得してしまった。
使った皿と箸を洗い、再び寝室に戻る。
なんだかんだで結構時間が経ってしまったから、水やりの要求が来てるだろうと、タブレットを起動した。
案の定と言うか、雫マークが出ている。
今回の種は前回のモノと同じ種類だから、水やりも同じ回数だろう。後2回で花が咲くはずだ。
あっさりと作業を終え、タブレットを端に置く。
そのままゴロリと体勢を変えて、仰向けになった。
―――暇だ……
動画視聴も、今は何となくそんな気分になれず、万年床に仰向けになったまま目を閉じる。
そこでガバリと上体を起こした。
昼寝をするつもりはないけれど、目を閉じるなら照明は消さないと勿体ない…つっか、光熱費が無駄にかかってしまうと、立ち上がろうとしたその時……
『パンパカパーーーーーン♪」
けたたましくファンファーレのような音が鳴り響いた。
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