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「受付番号8888番さん」


 すっごい低い声で抑揚なく呼ばれる。


「はい」


 この辺無駄に訓練されているというか、つい返事をしてしまうのは日本人だから? いや、単に性格なのだろう。

 呼んだと思しき職員さんが右手を軽く上げている。

 仕切り越しの対面に腰を下ろす。


(えっと、あの世にもある仕切りって……ぇ? まさかと思うけど感染症対策とか言わないわよね? 死んでまで感染症の心配とかしたくないんだけど)


「お待たせしました。まずはこちらに手を載せてください」


 言われるまま黒くて四角い金属製の箱に手を載せる。


(何だろ、スキャンされてるとかでもないし……え? これで何がどうなるの? 箱、何の変化もないんだけど)


「……」

「………」



 とか考えて勝手に狼狽えていると、手を載せた箱からメタリックと言うか、ゲーミングな輝きを放つタブレット端末の様なモノが吐き出された。随分と長い時間手を載せていたように思う。


「!!」


 職員さんが黙って箱を横にずらし、載せていた手をそっと押し戻してくれる。一連の行動にやっと我に返ると、吐き出されたタブレットを職員が差し出して来た。


「……これは珍し…いえ、こちらはまだ内蔵しないで下さい。

 暫くそのままでお願いします。貴方に必要なアプリが自動でインストールされますので、それまでは内蔵しないでください」

「………ない、ぞう…?」


(は? どういうことだってばよ? 珍しい? 内臓? んなわけがない!と自分突っ込みは兎も角、内蔵かしら……え…これを……内蔵…? いやいや、ないって)


「8888番さん、ここは終了です。あちらの椅子に座ってお待ちください。

 あ、このフロアにいる間は貴方は『8888番』と呼ばれますので、お忘れにならないようお願いします」


 職員さんが椅子に座ったままくるりと背を向けて、何か書類を手にしたりし始めた。彼の言う通りここでの手続き(?)は終わったのだろう。次の人を呼ぶだろうし、指示された椅子のある一角へと移動する。

 いくつか並べられた椅子に座るのは世里香一人。他には誰も居ない。

 ふと視線をずらせば壊れかけの立て看板があった。


 ―――/世/転/マッチ/グ斡//


 壊れかけどころか、書かれた文字も薄れて読めやしない。

  とは言え他に行く当てがある訳でもないので、指示通りそこの椅子に腰を下ろし、ぼんやりとさっきの窓口を見てると、やはりというか、暫くして次の人が呼ばれている。

 次の人は世里香と比べれば箱に手を載せている時間は少し短いように感じたが、それでも一人当たりの対応時間がかなり長い。対応が遅れがちになり待ち人が増えるのも致し方なしと言う感じだ。

 そして吐き出された端末(?)は世里香の物と違い腕時計型をしていた。人それぞれ形が違うのかもしれない。


(それにしても、内蔵せずに持っとけって……これが私に内蔵されるの? いやまぁ、手に持ってると鞄もないし落としそうで嫌だけど、内蔵はもっと嫌だわ。

 だけど、もしかしたら私は答えに辿り着いたかもしれない。

 きっとあの箱が鍵なのよ。あの箱の量産がきっと間に合わないんだわ。だから窓口の数も増やせないのよ。

 備品の制限って地味に影響大きいのよねぇ…わかるわぁ)



 等と、答えの出ない妄想に自己解釈を交えつつ、少々溜息交じりにタブレットの画面に視線を落とす。


《インストール中……》

《インストール中……》


 ピン♪


 耳に馴染んだお知らせ音と共に、表示される文字列。


《転生マッチングアプリ インストール完了》


 ―――はい?


《『次のページへ』をタップしてください》


 ―――はい…


《ようこそ! 転生マッチングアプリへ

 では以下に並ぶ●マークに触れて行ってください。全てに触れ終われば終了です》


 ―――ぇぇ……


(いや、指示には従いますけど……あの世もデジタル化なのかぁぁ…とは言え『●』なのね。これって文字化けとかだったりしないよね? まぁあんまりおかしな事になる様なら、その時に職員さんに声かければいっか)


 ●にタッチ!

 ピン♪

 《女性》


 ●にタッチ!

 ピン♪

 《ゲーム、アニメーション、小説、同人誌、手芸、コスプレ》


(おい!! なんでこんなの暴露されないといけないのよ!)


 とんだ暴露に思わず立ち上がりかけたが、どうやら『香里 世梨香』という人物そのものを読み取っているようで、決して文字化けしていた訳ではないらしい。

 ならば続けて触れていくしかないのだろう……他から絶対に見えないように抱え込みながら、急いで触れていく。

 自分で入力するわけではないので、誤魔化しもきかない以上、一々読んでも仕方ないと、画面を見る事もなくどんどん触れていく。




 ●にタッチ!

 ピン♪

 ●にタッチ!

 ピン♪

 ●にタッチ!

 ピン♪

 ●にタッチ!

 ピン♪

 ●にタッチ!

 ピン♪


  …………以下略



 ピピピピピーーン♪


 《お疲れさまでした》

 《マッチングを開始します》

 《しばらくお待ちください》






ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。

リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性が高いですし、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。


こちらももし宜しければブックマーク、評価、いいねや感想等、頂けましたら幸いです。とっても励みになります!


もう誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つければちまちま修正加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>

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