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何にせよ、ララミーナから依頼のあった通り、今回は収穫はせずに種になるのを待つ。
再びする事がなくなり、途中になっていた食事を早々に済まし、食器を洗おうと立ち上がると、また視界の端に赤い点滅が見える。
さっきの事があるだけに、もう焦ったりはしないが、気になるのは確かだ。しかしここは洗い物を優先させて頂く。
焦ったりなんて絶対にしないが!……何かあっても良い様にと、念の為と言う奴だ。どのみちお箸とお皿だけだから直ぐに終わる。
ささっと食器を洗い終え、まだ飲み切っていないお茶ペットも持って、タブレットと共に寝室へ向かえば、もう万年床にダイブするのみ
だらしないかもしれないが、だらだら出来る時にだらけるのは、生前からの癖みたいなものだ。
万年床に寝転がって、点滅を続ける赤丸が目立つ『農場物語』のアイコンをタップ。
「ぅぇ…? はや…」
これまでの成長速度から、種の収穫も、また待たされるのだろうと思っていたが、もう収穫可能なようだ。
「フフ……記念すべき初収穫と行こうではないか」
等と言っても、収穫作業自体は一瞬だ……と思ったのだが、そうは問屋が卸してくれないらしい。籠が必要だと言われる。
収穫物も沢山あるならわかるが、たった1つなのに……しかも種なのに……あぁ、面倒くさい。
つくづく思うが、そう言うゲームだと割り切るしかない。
物置に移動して籠を手にして再び畑へ行けば、今回はすんなり収穫出来た。
ちなみに収穫作業にはポイントがあったのだが、これがたまげたのなんのって…。
これまでは作業する毎に20ポイントで、収穫前までの一連の作業で合計80ポイント得られた。
その後の水やりではポイントがつかなかったから、収穫もあっさりスルーされるのかと思ったのだが、140ポイントも貰えたのだ。
これで合計220ポイントの稼ぎとなった訳だが……。
―――ゲーム開始から多分5、6時間は優に経っている…と思う……
時給を考えると空しくなりそうなので、世里香は思考にそっと蓋をした。
明日の光熱費は稼げたのだから、良しとする。
どっと疲れた気がするが、折角種を手に入れたのだから、また撒いておくかとタブレットに意識を戻して画面を見つめる。
―――………ん?
何故だろう、何か違和感を感じる。
自キャラが籠を持って立っている。
―――おかしい……収穫には籠が必要って出たよね?
―――なのになんで畑に丸い…と言うか楕円なモノが残ってるの…?
籠にアクセスすれば、種が1つ入っていた。
―――はぁ!? 普通増えるもんじゃないの?
―――1つの種から1つしか収穫出来ないって……効率悪すぎどころの騒ぎじゃないでしょ!?
―――もしかして私だから? 私だからなの!?
―――そりゃ私はどんくさいわよ…要領悪いのは自覚済みだし……でもだからって……
いやいや、待て…落ち着けと、世里香は深呼吸する。
もしかすると、畑に残った楕円状のモノも種なのかもしれない。実際、種の形状なんて多種多様なのだから……しかしそれならそれで、ちゃんと籠に入って欲しいと思うのは、贅沢な願いではないはずだ。
―――ぁ……もしかして収穫と同時に種蒔きも完了した?
―――いや、そんなの問題しかないでしょ!?
―――だってそれじゃ、例えば他の作物を植えたくなった時、すっごく困るよね!?
―――第一、種蒔きの作業ポイントが貰えないじゃない!!??
慌てて畑に残った楕円状のモノ……しかも色が黄色……表現としては金色っぽくも見えるソレを見れば……。
―――………はい?
世里香は思考が追い付かず、固まってしまった。
選択肢が出ている。
→ 不思議の種を拾う
不思議の種を拾わない
『不思議の種』って……ナンデスカ?
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もう誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つければちまちま修正加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>




