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そんな簡単に受け入れて良い問題なのだろうかと、世里香と棚田は、つい互いを見合わせるが、そんな二人の心配を余所にララミーナはあっけらかんとしたものだ。
「そんなの今更じゃん?
今は世界崩壊一歩手前なんだし、そんな事気にしてる余裕がある状況じゃないモン」
―――最早手遅れ寸前で、一歩手前どころの騒ぎじゃありませんが……
「第一、以前からガイアルナート人を召喚しまくってた世界よ?
侵食なんて大した問題じゃないわ。それで救われるなら大歓迎よ」
―――はぁ、然様デゴザイマスカ……
まぁ、この世界の管理神自身が容認すると言うなら、特に問題にはならないのだろう。
本当に?……なんて突っ込むのは止めておこう。棚田も早々に植物の選定に入ると言っているし、この場はとりあえずお開きとなりそうだ。
ララミーナ達を見送り、寝室に戻ってタブレットを拾い上げる。
画面が暗くなっていたので、再度起動してみれば、畑の画面のままだった。
(そりゃそうか……私の叫びで棚田さんもララミーナさんも飛び込んできたんだった……って、うっわ…この万年床を見られたってか!?
………
………
………
ま、それこそ今更か……って恥ずいもんは恥ずいって……」
一人突っ込みで落ち込んでりゃ、世話はない。
気を取り直して万年床に再び寝転がり、画面の中の芽を見ると、また雫マークが出ていた。
はいはいと如雨露を傾ければ、そこで芽が一気に大きくなった。
「おお……っと」
またもや叫びかけて慌てて口を押える。
が、もう誰も居ないんだったと、誤魔化すように一人苦笑した。
「ま、こんなもんよねぇ…」
独り言が多くなってる気がする。
まぁ良い、どうせ誰も聞いていない。
しかし水やりで一気に成長したから、この後はすくすく育つのかと思いきや、やはりまだ時間はかかるらしい。
ならば、無駄に待つより建設的な事をしようと、世里香は立ち上がった。
そのままキッチンへ向かう。
昨日はララミーナの神力の名残で、飲まず食わずでも乗り切れたのだろうが、今日からは流石にそうはいかない。
今朝は起きて直ぐ置手紙に気付き、報告を送信したところで例の二人が速攻で飛んで来ての今だ。
つまり起きてから何も飲んだり食べたりしていない。
「流石にお腹空いたかも…」
冷蔵庫を開いて中を物色。
そのまま戻してしまっていたが、ラップのかかった生姜焼きはもうダメかもしれない。
この部屋と言うか家は、棚田が再現・複製してくれたものだ。
寸分の違いもなく作ってくれたそうなのだが、だからこそ参照タイミングとでも言えば良いだろうか、そんなモノも反映されている気がする。
入院直後の部屋であれば、ワンチャン無事な可能性があるが、死亡後ならば、恐らく手遅れだろう。
手に取ってラップを恐る恐る開ければ、やはり違う臭いが混じっている。
今の身体ならお腹を壊したりしない可能性もなくはないが、そんな微かな希望に賭ける気力も余裕もない。ポイントの無駄使いが出来る状況でもない。
「そうそう、万が一お腹壊したら薬だのなんだのでポイントが一気に吹っ飛ぶだろうし…って……このポイントじゃ薬も買えないかも……だわよ」
そう呟きながら、未練たらたらに生姜焼きを廃棄する。
さて…と、頭と気分を切り替えて、再び冷蔵庫内を確認する。入れてあった食材や調味料他は、賞味期限内で助かった。だが牛乳は……これはさようならした方が良さそうだと、泣く泣く廃棄。
次いで冷凍庫には、ひき肉他の各種冷凍肉に冷凍の切り身魚、そして冷凍野菜。若干冷凍焼けが見られる気がするが、それは目を瞑る。後は大量の冷凍食品とアイスクリームが出てきた。
冷凍食品はコンビニで何も買えなかった時や、体力気力がない時の為に買い置いてあった物だ。アイスの方は、ケーキだのなんだのはコスパが悪いし、何より日持ちしないので、専ら安いアイスクリームで甘味衝動に備えていたのだ。
―――スミマセン、単純にアイスクリームって好きなんです、それだけなんです
冷蔵庫・冷凍庫はこのくらいにして、今度はワゴンラックを見る。
小麦粉に乾燥パスタ、乾燥そうめん等々。定番のラインナップは一通り揃っている事に安心する。あとは乾燥わかめに切り干し大根、缶詰に各種粉末出汁。買い置きの未開封のマヨネーズとケチャップ他もあった。
意外に買い込んでて草である。
「……何とかなりそう」
では…記念すべき転生後初の貧乏飯は……君に決めた!
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