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とりあえず質問をぶつけてみた。
流れ的に後回しになってしまったが、重要な事だ。
時間のスレの不安と、種……。
結果、時間の方は複製タイミングのスレで生じた可能性が高いと思われるそうだ。この部屋を再現・複製するのにも、一瞬で…とはいかなかったと聞いた時には、思わず『お手数をおかけしました』と、棚田に一礼をかましていた。
ただ念の為、後程タブレットの方に時計機能を追加してくれる事で話がついた。
あ、あとゲーム内の配置も、後で変更してくれるらしい。
今は行動1つ1つに時間がかかっても、別に問題はないのだけど、そこがやっぱりね。
種の方はやはりと言うか、案の定と言うか……育って花が咲き、実がなる等しても収穫はせずに、種になるのを待って欲しいと頼まれた。
「種が一つしか確保出来なかった等と言う話は、私は聞かされておりませんが?」
「う……言う暇もなかったし……」
冷静な棚田の突っ込みに、ララミーナがドンドン萎れていく。
「だったら何故、相談しようとしなかったのです?」
「いや、だって!……そっちも忙しそうだったじゃん…」
「それはそれ、これはこれでしょう……。結果的に香里様にご迷惑、ご負担をかけてしまっている事に変わりはありません」
「う……それは…ごめんて…」
「謝る相手が違います」
「……ハイ……」
神様同士の言い合いを眺めていたが、唐突にララミーナが世里香の方へ向き直って頭を下げた。
「セリカちゃん、ごめんなさい。
賦与ポイントは間違えるし、挙句ポイント稼ぐ事にも制限かけちゃって……」
正直、謝られても……と言う感じだ。
ララミーナの謝罪で世里香の空腹感、ひいては生命存続危機が回避出来る訳ではない。もっと建設的な話が出来れば……と、世里香は少し考え込んでから口を開いた。
「収入を増やす……それは当然大事だけど、手段そのものを増やすとか出来ない?
後、収入が増やせないなら、支出の方を何とか出来ればまだ……」
収入についてはララミーナ管轄だが、支出については多分だが、棚田の方が担当だろうと、そちらへ顔を向ける。
それを受けてではないだろうが、棚田は何か秘策でもあるのだろうか…頷いていた。
「それについてなのですが、まず光熱費に関しまして少々ご相談と言うかご提案がございます」
―――ほうほう、是非ともお聞きしましょう
「現在この家の光熱費は地球サイドに準拠していますが、少々改造を加える事を許可して頂けますなら、電気とガス……燃料・エネルギー系については負担額をなくすか、かなり減額出来ると思います」
「と、言いますと?」
「これはララミーナさんがどうにかしてくれれば…と言うのが前提になるのですが、聖力に反応する魔石が現存していれば、それに置き換える事は可能です」
なるほど……確か世里香は存在するだけで、聖力とやらを垂れ流しているとか言っていた。
ならば垂れ流し分もポイントに出来ないかと訊ねたら、その処理は既にしてあるのだそうだ。ただ垂れ流し分については、ゲーム内で畑が増えた時(やっぱり増えるよね。だけど、どうやったら増やせるのか…)に加算するように設計してしまっているから、直ぐポイントに反映されると言うモノではないらしい。
だったら…と、ララミーナをじっと見つめる。
「探しとく……魔石は幾つか回収出来てるから、その中に聖力に反応するものがあれば持ってくる」
少し時間はかかるかもしれないが、支出はこれで抑えられる可能性が出てきた。
次に種の件だ。
セントマレンシスタ産の種だそうだから、確かに貴重だろうし増やしたいと言う気持ちもあるのだろうが、出荷できなければ作業ポイントしか稼げない事になってしまう。
これについて、棚田から提案が出た。
「出荷という形を取ってはいますが、要は聖力を取り出す媒介なだけですよね?
だったらセントマレンシスタの種に限定せずとも、地球産の植物でも構わないのではありませんか?」
―――そんな抜け道が!?
「まず今のこの世界で生育出来る植物があるかどうかもわかりませんが……まぁ、世界にとってどう言う影響が出るか不明ですし、慎重にならざるを得ないのもわかりますが」
「へ? 何で慎重?」
「いえ、そこはほら……セントマレンシスタに、ある意味地球側が侵食してしまう訳ですし」
「え? 何か問題?」
「「………」」
きょとんと首を傾がせるララミーナを前に、思わず黙り込む世里香と棚田であった。
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