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一人で考えても、これは答えが出ない案件だ。
しかしちょっと時間が経ってしまっている…棚田は起きているだろうか…?
ゲーム起動直後、まず自キャラ操作の確認をして、その後は画面内のオブジェクトの確認。
取説どころかチュートリアルさえもないので、自分で確認するしかなかったからだが、多分此処で一番時間を食っていた。
何しろ畑での操作は大した事はなく、殆どが畑と物置の往復にかかる時間だけ……それでも時計を見れば(正確に動いてるかはわからないが、とりあえず針は進んでいるので一応信じる事にした)40分程経っている…多分。
そして40分もあれば、世里香は寝落ち出来る自信がある。
ララミーナ程寝穢くはないつもりだが、それでもなかなかなモノなのは確実だ。
恐る恐る声を掛けてみる。
「………棚田さん…」
「はい」
起きてた……。
凄いと言うか真面目と言うか…いや、社畜の鑑と言うべきか……これは決して馬鹿にしている訳でも貶めている訳でもない。
世里香には不可能に思える事だから、素直に褒め称えているのである。
そんな世里香の、無言の言い訳を知ってか知らずか、棚田は一向に話し出さない世里香に首を傾けた。
「香里様?」
「あ…ごめんなさい、えっとすみません…要望と言うか改善して欲しい所や、追加してくれると嬉しいなと言う箇所を書き出しました。
後、幾つか質問があるんですけど、良いですか?」
そう言いながら、テーブルの上に差し出すように、メモ用紙を向け直した。
棚田は拝見しますと一言呟いてから手に取り、真剣な表情で読み進めている。
「………」
「………」
そんなにじっくりと読まなくてはいけないような内容ではなかったつもりだが、世里香が睡魔と戦うに十分な時間が経った頃、ようやく棚田がメモをテーブルに戻し置いて顔を上げた。
「…………なるほど…」
世里香に向けて呟いたと言うより、自分に向けての言葉だったように感じて、どう反応したモノかと悩んでいると、名を呼ばれた。
「香里様」
「ぅえ!? あ、はい」
「こちらのメモは預からせて頂いて宜しいでしょうか?」
「え? あ…あぁ、どうぞ!」
「そちらのゲームアプリはセントマレンシスタに連動するモノなので、ガイアルナート側の一存で変更を加えられません。
しかし、私から見ても短時間で変更可能な要望が幾つかある様に思われますので、ララミーナさんに直ぐ依頼を出す事にしましょう。
それで質問の方は?」
「あ~っと……それもこのアプリについてなので、ララミーナさんが起きてからの方が良い……ですよね…?」
何とも心許なげに訊ねれば、眼鏡の位置を修正しながら棚田が立ち上がった。
「香里様をお待たせするような事は致しません。
起こせば良いだけの事です」
言うが早いか、棚田は玄関の上がり框を枕に爆睡継続中のララミーナに近づき………。
無言で、何処から取り出したのか、またもやのクリップボードで駄女神の頭を思い切り叩いた。
(また君と会えるとは思ってなかったよ、クリップボード君……案外早い再会だったね…)
「ンガっ!!??」
「いい加減起きなさい。
仮にも管理神でありながら、そのだらけた姿……恥ずかしくないんですか?」
「……ぅぅ……痛ぁぃ……」
叩かれた頭を撫でながら、情けない顔でララミーナがのそりと立ち上がった。
そして寝ぼけた幼子のように、少し舌足らずな言葉を零した。
「管理神ってぇ言ったって~、わ…わだ、しも~押し付けられただけでえぇ……」
「押し付けられたのではなく、逃げそびれた…の方が正確でしょうけれどね」
「そ…そ~よ~! 一番の下っ端だったぁ~私を残してぇ~皆いなくなっちゃったんだモン、酷いよ~…ね~?」
何だろう……神様世界の闇を見た気がするのは…私だけだろうか……?
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もう誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つければちまちま修正加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>




