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棚田の指摘で詰みな状況だと気付けたが、だからと言って出来る事等あるのだろうか……。
やらかしたララミーナの方はと言うと、棚田からの雷にシュンと縮こまって正座しているのだが、しどろもどろと断片的に語られる言葉を総合すると、今から賦与ポイントを変更する事はどうにも難しいらしい。
何がどう難しいのか、世里香にはわからないのだが、そう言っているのだからそう言うモノなのだろう。溜息交じりに振り返った棚田の顔色も良くない。
「香里様、本当に申し訳ございません」
「えっと……ぁ~まぁ……うぅぅ~んん」
謝られたとて、この場合どうしようもない。そもやらかしたのは棚田ではない…と、ララミーナの方に視線を向ければ、彼女はヒッと息を飲んでジャンピング土下座を綺麗に決めていた。
「すみません! ごめんなさい! 誠に申し訳ございませんっ!!」
とりあえず謝られても仕方ないし、今後の善後策を考える方が建設的だろうと思う。
そう言葉にすれば、棚田の方はどうもこの後予定が立て込んでいるらしく、一旦戻る事になり、しょげかえったララミーナと二人で、何とも居心地の悪い沈黙の中に取り残される事になった。
「……すみません…」
「………」
「ごめんなさいっ! ちゃんと言われてたのに、私ったら…」
「………」
「……えっと、セリカちゃ~ん……セリちゃぁ~ん? 聞こえてる~?」
こっちは何か良い案はないかと必死に考えていると言うのに、この駄女神は騒音源となるしか能がないのだろうか…いい加減蟀谷がピキピキしてきた。
「えーっと、ちょっと黙っててもらえます?
謝罪して貰っても、こっちの生命存続の危機がなくなる訳じゃないんで」
「……ハイ…」
とりあえず駄女神は黙らせて……キッチンをぐるりと見まわした。
並ぶ家電に食器、テーブルに椅子……調味料やら出汁の素、パスタ、そうめん、小麦粉……これは給料前の節約・貧乏飯で乗り切……れるか、も?
いや、今の残りポイントのままではどのみち後2日で詰む。世里香は慌てて不要な照明を消すべく走った。
消せる照明は消したし、待機電力なんてものがかかるかどうかはわからないが、動いていない家電もコンセントから引き抜いた。
光熱費に関しては、とりあえず今出来る事はこのくらいだろう。
そして食事に関しては、今日1日は絶食で過ごす事に決める。棚田も今日1日くらいならとか何とか言っていたし、料理をしなければ今日の分の光熱費が浮くはずだ。それでも明日からは料理もしなければならないだろう…そうなれば光熱費もあの消費ポイント数では済まないはずだ。
ならば、後は稼ぐのみ!
世里香は相変わらず目に優しくないゲーミング且つメタリックなタブレットを出して起動する。
そして並ぶアイコンを見つめた。
昨晩ざっと見た時にはアプリ名に気を取られて気付かなかったが、『Sekaicraft』と言う名のアプリだけはまだロックがかかっているようだ。
(まぁあの小さな地面じゃ整地も出来ないし、採掘も何も無理過ぎるから、暫くは使えないって事なのかな…?)
今後あの小さな地面がどうなっていくのか想像もつかないが、広げるとか言ってたからそのうち出番があるのだろうと、そのアイコンを無視し、隣にあった『農場物語』をタップした。
(……うん、ここは凝る必要なかったかな……と言うか要らねぇわッ!! こんなもんに無駄な労力割くくらいなら、賦与ポイントの方に気を遣ってほしかったわ…)
一瞬ブラックアウトした画面が徐々に明るくなり、遠く地平線だろうか? そこから太陽が昇ってくると言う、無駄に壮大なオープニングが流れていた。
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