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それにしてもKAMISA・MARTとKAMINET・TANATAの違いがわからない。
片方はTVショッピングって言うだけだろうか……わからず質問すれば、KAMINET・TANATAの方はオーダー品やKAMISA・MARTにない品の受注窓口として作ったらしい……紛らわしい。
某ジャパ〇ットと名前以外ほぼ共通項がない事には、目を瞑るべきだろうか……いや、もしかしたら棚田が担当な事も仕組まれた事なのかもしれない…?
他に質問は?と聞かれ、聖力についても追加であれこれ聞いてみた。
最後まで世里香の周辺には『?』が飛び交う事になったが、結局分かった事は、存在するだけでも効果があるが、聖力の所持者が能動的に動くだけで、その分泌量(他に言い方はないのか…せめて放出量とか…)は増加するらしい……まぁ、何はともあれ寿命が縮む等の不利益はなく、あっても精々寝れば戻る程度の疲労があるくらいだそうだ。
一安心である。
それにしても……と周りを見回す。
本当に香里 世梨香として住んでいた部屋…2LDKの1室だ。
……しかし、だ、しかし……
壁に貼ってあるのは今年の秋に放映が予定されていたアニメのポスターだし、本棚の空きスペースにはフィギュアも並んでいるような具合なので、元々遮光カーテンを設置して日差しには気を付けていたのだが、どう言う事だろうか……カーテンどころか窓そのものがないように見える。
玄関の方に扉はあるにはあるのだが、何故か黄色いテープが縦横無尽に張られていて、通り抜けるにはテープを取り除かねばならない。
「セリカちゃん…」
ララミーナの声にテープが張られた玄関から視線を離し振り向くと、JK美女なララミーナが何故か眉尻を下げていた。
もしかしたら世里香の怪訝そうな様子から、見ていた物に気付いたのかもしれない。
「えっと……その、外には出ないで…。
棚田君に注文した品物とかは、キッチンの方に受け取り口作ってあるから、そこで受け取って」
ララミーナの言葉に首を傾げる。
バランスが崩れてグチャグチャだとは言っていたが、人だけでなく魔物なんかも消えたんではなかったのだろうか?
もしかして魔物は残ったりしてるのだろうか?
それを問えばララミーナは悲しげな顔で、困ったように視線を棚田に流した。
棚田の方は眼鏡の位置を指で修正しつつ、小さく咳払いをする。
「見て貰った方が早いんじゃないですかね?」
「……でも…」
「知らずに出ようとしてしまう方が危険ですから」
「それも……そう、ね」
世里香にはわからないまま、二人の話はついたようで、ララミーナが何故か姿勢を正した。
「えっと、棚田君の後ろに居てね。
絶対に前に出て、外を確認しようとはしないで。イイ?」
念を押すように問われれば、頷くしかない。
世里香が頷いた事を確認して、ララミーナは玄関に張られた黄色いテープを剥がしていく。
くしゃくしゃに手の中で丸め、ポイと放り出せば、何処へ行ったのか空中でふっと消えた。
あまりの光景に世里香は目を見開いているが、ララミーナ達には珍しくもない事象なのだろう、気にする風でもなく玄関のドアに近づき、ドアノブに手をかけた。
「……もしかしたらちょーっとフリーズする程度には驚くかもしれないから……心して、ね…」
そう言って、棚田の後ろで大人しくしている世里香を確認したララミーナが、ドアをゆっくりと開いた。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
リアル時間が少々慌ただしく、隙を見計らっての創作、投稿となる為、不定期且つ、まったりになる可能性が高いですし、何の予告もなく更新が止まったりする事もあるかと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。
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もう誤字脱字他諸々のミス、設定掌ぐる~が酷い作者で、本当に申し訳ございません。見つければちまちま修正加筆したりしてますが、その辺りは生暖かく許してやって頂ければ幸いです<(_ _)>