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マリアナに堕ちたのは、親友ではなく、私でした。  作者: Ruria
ドラッグルームスープ編(後編)
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side??? 公開処刑をされたのは、我でした。

「……はっ!」


 目を覚ますと、我は何故か床に倒れていたのだ。


 何でだ?

 なんで我が、こんな汚い床に倒れていた?


 周辺を見ると、誰もいない。

 先程まで招いていない客人が、ぞろぞろと沢山いたのにな。気味が悪いほど静かだ。


「……くそっ!」


 思わず自身の拳を床に叩きつけたが、何も起きる訳がない。


 我は先程吸った愛用の錠剤版ゾンビタバコの中身を確認するが、既に粉砕されていて、どの薬か分からない。


 まさか、隣にいた真生がすり替えたのか?

 あのクソガキが! 

 こんな面倒臭い小細工なんかしやがって!


 むくりと起き上がり、テーブルを見ると、大量の退職届と、気味が悪いスープだけが残っていた。


「何だこれ?」


 飲みたくない程の不気味な色をした、ピンク色のスープだ。だけど、ピンク以外の色も混じっている様に見えるのは、気の所為だろうか。

 そう思いながらもゆっくりとパイプ椅子に腰掛けたが、この部屋自体、いつ見ても気持ちわりぃな。全部が赤いシミに覆われてやがる。



――ガチャッ。



 扉は何故か開かれ、そこから赤いパーカーを着た三人組が現れたのだ。


 一人は、真ん中の奴で、茶髪のロングヘアーだ。右側の奴は青い髪色で、真ん中の人にベッタリとくっついている異様な奴だ。


「お前、まさか……」

「やぁ。任務、失敗したようだね。ヒジリさぁーん」


 左側にいた、黒髪ウルフヘアーの奴が、白い仮面越しでケラケラと笑いながら、我の名を呼んだのだ。


「お前らは……、まさか!」

「その、まさかだよ。お前の行動は、このカメラを通して、監視しているんだ!」


 すると、黒髪の奴が、天井隅に置かれた監視カメラを指さし、そう答えたのだ。


「くそっ!」

「だから、ヒジリがアイツらに翻弄されていた所も、バーッチリ押さえられている。子供にまで見捨てられてかわいそーだねぇ。あーそれとねー。SC(エスシー)……」

「……はい」

「例のもの、ヒジリの前に出しちゃいなよ!」

「分かったよ。D2(ディーツー)」


 そして、D2が青髪で短髪の子、SCにそう言うと、その子はパーカーのポケットから、一台の赤いスマートフォンを取り出したのだ。


「これは!」

「自分の作ったサイトのページですよ。どうですか? 今回の主人公は、『貴方』です!」

「……」

「凄いですよね! こーんなものまで発明して、収益を得ていたなんて。とっても『参考』になりましたァ~! あっははぁ!」

「……」


 黒髪の奴は悪魔のように高らかに笑っていたが、まさか、我自身が『限界チャレンジ』をやれ。と言うことなのか。


 思わず身震いしてしまったが、白い仮面を付けた三人組は、いつの間にか我の背後に立っていたのだ。


「おいおい。まさか……」


 そして、茶髪の奴が、背後から小さな薬瓶の中に入った大量の薬を容赦なく、ドバドバと大量に入れてきたのだ。


 恐らく、この薬はとても見覚えがあるが……。

 まさか、『改良版ネクター』か!?


「これ。貴方が私達に『内緒で』作ったものですよね。駄目ですよ。教祖様に隠れてこんなものを作っていたら。掟に反します」

「くっ!」


 いや。教祖様には嘘など一つも付いていない。

 これは活動資金を調達するための『ツール』でしかないのだ。

 だから我が作ったサイトを通し、それを見た者が改良版ネクターに手を出し、承認欲求を満たすための無限ループを作っただけだ。

 勝手に飲んで自滅してるのは、サイトを利用している人達だけだ。我は管理人。知らん!


「確かに。ヒジリさんがやっていること、『自然死』に反しますね」

「えぇ。そうですね。流石SC」

「わぁーい! BR(びーあーる)に褒められるの、とっても嬉しい! てへへっ!」

「さて、お遊びはここまで。ほら。飲みなよ。自分で作った『薬』入りのスープよ」

「くっそぉぉ!」


 だけど、背後でケラケラと笑う奴がとてもムカついた為、我は席から立って襲いかかろうとした。


「うがっ!」

「駄目ですよ。大人しくしていてくださいよー。BRには傷一つ付けませんから」


 しかし、この黒髪ウルフヘアーの野郎、かなり強い。

 あっという間に制圧され、我は足首に手錠みたいなのをかけられ、動かないように拘束されてしまったのだ。


「ありがとう。D2はとても頼りになるわね」

「嬉しいですよ。BR。愛してる」

「ここで口説くのは止めてください。仕事中ですし、SCの前でするのは良くない」

「そーだそーだ!」

「あっははぁ! ごめんごめん! SC。こいつが死んだら好きにしていいからさ。ねっ!」

「んー。わかったぁ! じゃあ、早く飲んで欲しいな! BRがアレンジした『特製スープ』をっ!」

「くっそぉぉぉぉぉ!」


 我は背後で煽られた勢いで、ピンク色のスープを口にした。

 吐き気を催す程、甘ったるくてゲロマズいスープを飲む度に、徐々に視界が歪んでいく。


『いっき! いっき! いっき! いっき!』

「……」


 背後では仮面をつけた三人組が、げらげらと大笑いしながら両手を叩いて連呼してくる。


 なんで、こんな事になったのだろうか。

 ただ、我は掟や教えが『正しい』と、頑なに『信じていた』だけなのに……。





 我は名家『鰒川家』の長男として生まれた。

 母はこの先も未来をより良く照らしてくれるだろう。との願いで『(ヒジリ)』と名付けられた。


 だけど、どうだろうな。今思うと明るく照らすどころか、地獄に真っ逆さまに堕ちている、気がするんだ。


 家は何も言わなくても分かるが、親族諸共『ベローエ』の信者だったのだ。


 ドクター越智に送り付けた再婚相手だって、ベローエの『信者』であり、我の『妹』だったからな。


 でも、結局は失敗に終わってしまった。

 何もかも、『利用された』人生だったな。


 性機能を失われたのは、18の時。ベローエの掟によって、『二度と』子を孕ませられない体となってしまった。


 だが、今から25年前か。一人の女性と知り合った。彼女の名前は(あざみ)と言ったな。


 そいつもまた、教団内で知り合った女性だ。しかも、彼女の親が『幹部』ときた。

 彼女もまた過度な信者であるが、唯一違ったのが『変な拘りが人一倍』強かった事だ。


 彼女は『血は繋がってなくても、子は大事にしたい』という事を言っていたが、それは『女の子限定』であり、男の子は『論外』だったのだ。


 我は家を引き継ぐには『男が欲しい』と懇願していた。男だと『性機能が失われる』が、地位や名誉は『引き継げる』からだ。


 そして、薊は我と結婚し、『鰒川家』の他、『ベローエ幹部』として、鰒三家の地位を更に強めたのだ。

 だが、儀式の際、薊は現教祖と交わった結果、一人目の子を出産した。女の子だったが、勿論俺の子ではない。


 しかし、彼女はその7年後、再び教祖と交わったのだ。


 その時に産まれた子が『真生』だったな。

 だが、薊は真生が産まれた後、何故か自殺してしまったのだ。


 しかし、我は『二人』も育てられないから、一人は施設に入れ、もう一人の息子は『鰒川真生』として受け入れたんだよな。


 だが、それが地獄の始まりだった。

 最初は愛があって男手一つで育てていたが、徐々に若かりし頃の『現教祖』に似てきたのが、内心ムカついてきたのだ。


 そりゃぁ、生物学上、我の子を作るのは無理だと分かっても、『掟』の前では無意味だ。仕方がない。


 そう諦めつつも、彼を育てて行ったが、性格が『薊』に似てきていたのも事実だ。無駄に拘りが強い所や執着心、更には変な知識をつけてくるところもそうだ。


 時たま『掟』に反して、彼は問題行動を起こすことも多くなった。

 その度に我は『力』でねじ伏せ、問題行動を起こさせないように、彼を支配したのだ。


 だけど、こんな事、誰にも相談はできなかった。なので、我はとうとう、薬に手をつけてしまった。


 はぁぁ。どこでこんな人生を辿ってしまったのだろうか。



――2つ目。貴方は過去17年、真生に一度でも、暴行を加えたことがありますか?



 これは間違いなく、はい。だ。

 あまりにも出来損ないだったから、殴って言うことを聞かせた。

 それに、薬もやっていたから、彼にも『改良版ネクター』を飲ませようとしていたな。結局はバレたら面倒臭いから、やらなかったが。



――そして、最後の質問です。貴方は真生とは血が繋がってない事を、悲しいと思ったことがある。はい。か、いいえ。か



 悲しいと思う『以前』の問題だ。

 だけど『現教祖』と『(あざみ)』が勝手におせっせしてやった命だから、我からしたら『他人の子』なんだ。勝手にやってろ。と、どこか他人面だったのを思い出すな。


 はぁー。我の人生は、結局『他人のレール』を利用して、レール上を歩いていた『だけ』の迷惑人だったのだな。


 でも、これで我も教祖様の所へ逝ける。逝ける逝ける逝ける逝ける。あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ……





「あーあ。もう終わっちゃったね。BR」

「好きにしていいよ。SC」

「ぅん! D2、このフケだらけの人、持って!」

「はぁぁぁ!? やだけどしゃーねーな。ほら行くぞ」

「ふぁぁぁーい!」


 そして、私はSC、D2と共にヒジリを回収し、51番部屋を後にしようとした。


「……ん?」


 ふと、退職届と書かれた封筒の山の中に、一つだけ妙な膨れがあったのを見つけたのだ。


「どうした? BR?」

「あー。D2。SCと先行ってて」

「ふぁぁぁーい!」

「わかったよ。だけど、早く来てな。マイハニー!」

「うるっさい!」

「あっははぁー!」


 なので、私だけ部屋に残ると、一通だけ膨れた封筒を開けてみる。


「うわっ。最悪……」


 すると、何故かその中には盗聴器が仕組まれていたのだ。まさか、全ての話が筒抜けだったのか?


「こ、の……、や……、ろう!」


 私は思わず、声を荒らげながら盗聴器を床に叩き壊し、黒い靴で踏み潰したが、先ずはここから出ないと。


 なので、私は仲間と共に、部屋を後にしたが、まさかこんな形で嵌めてきたとは。


 許さない。許さない、許さない、許さない、許さない、許さない!


 どこまで卑劣な手を使ってくるわけ?

 ほんっとうに許さない!

 今度会った時には、D2と共にぶっ殺してやる!


 覚えてろよ!

 竜宮多美子と、その取り巻き共が!

これにて、ドラックルームスープ編は終了となります。


今回の話はエナドリの様に、中毒となって堕落し、溺れる。

が、それと同時に、暖かくも冷たくもなるスープの様に、思いもまた変化していく。そんな回でした。


まだまだ続きますが、一先ず、ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございます。


『このキャラが好きになった』等、ありましたら、感想等で言ってくださると、今後の執筆活動の励みになります。


リアクション、☆、レビュー、どれも糧として頑張っていきますので、応援よろしくお願い致します。

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