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久しぶりに再会したら、何故かフルボッコ会議が始まってました。

――あの、キルマイ騒動から、3ヶ月ほど経った頃だった。




「お?」


 私はグソクさんと共に、依頼をまとめていると、一通のDMが届いていたのだ。


 ちなみにキルマイ騒動の時、スマホのGPSはリルドのものだったらしく、私のスマホはやっぱり事務室に置きっぱなしだった。


 なので、グソクさんは私の首筋についていたシール型GPSから辿って、近くにあったパソコンをハッキングしたらしい。


 それであんなドアップ顔で画面に映ってたから、フグトラさんがずっこけそうになってたけど。


 あと、なんで信者が真生くん以外、居なくなっていたのか。というのは未だに謎だが、影でヒガンさんが撤退命令を出していたかもしれない。という説もあったり、現教祖が目眩しで信者諸共、海横支部を捨て置いて逃げた説。というのもある。


 だけど、全ての元凶はやはり、現教祖かもしれない。ミオさんには申し訳ないけども。


「どうしましたかな? タミコ氏」

「ん? 何か、ここに一通のDMがあって……」


 私はと言うと、あれから何とか仕事に復帰し、今はグソクさんのサポートをしながらも、リルドと一緒に任務を行ったり、メンコさんと買い物に行ったり、単独で任務を行ったりしている。


 シイラさんやフグトラさんとは、未だに連絡が無いのが心配だけど、これ以上、真生みたいな人が増えない様に、頑張っていかないと。


 あ。話が逸れてしまったが、DMはカンナちゃんからで



――どうか、わたし達と共に、クズ男の制裁に手伝ってください。



 と、わざわざ不穏そうな依頼をこっちに寄越してきたのだ。



「これって……」

「あーりゃりゃ。タミコ氏。報酬の方はどうなってますかな?」

「えっと……。おお!」


 すると、報酬は『タミコさんが大好きな宇治抹茶和パフェを奢ります!』との事だった。


「グソクさん! 早速行ってきます!」

「お、おお! 何だか元気が出る報酬でしたがな?」

「そーみたいです! では! 行ってきまーす!」

「あはは。行ってらっしゃいなのだよォ!」


 という事で、元気よく喫茶店 ツブヤキに向かうことになったのだ。



 あ。ちなみに肝心の報酬ですが、キルマイ騒動から一ヶ月後。ゴエモンさん同席の元、カラマリアのトップの越智昇というかっこよさそうなおじさんと会いまして、『この度は、うちのバカ息子が、騒動の引き金を引いてしまい、申し訳ないことをした』と頭を下げて謝罪してきました。


 それで、報酬はあの契約通り、何千万の渋沢栄一を迷惑料込みで貰いました。

 あとは、私の血100mlを、カラマリアで抜いて渡したりと、サーフェスとカラマリア、これからも共にやっていこう。みたいな契約を軽く交わし、無事に終わりました。


 なんであそこまでカラマリアは、私の血を欲しているのか、未だに謎ですが、恐らく私自身が『ナル計画』に関わっている。というのを察知している事でしょう。


 それと、本当にあれから、色々とありましたが、闇バイト案件も前より減ってきた(その代わりになんだこれ。みたいな案件も転がっていたり)ので、心身ともに安心してます。




 それと、久しぶりにカンナちゃんに会うなぁ。

 もう、外は夏。なので、私の服装も、黒の上下ジャージは秋に向けてとっておき、夏仕様にしました。


 なので、メンコさんからのプレゼントの中に入っていた、新しい服の組み合わせで来ております。


 ちなみにリルドは、別任務中で、途中からツブヤキに合流するようです。


 どんな服かと言いますと、エメラルドグリーンのワンピースに、髪はメンコさんが梳かしてくれたので、うる艶髪となっております。


「よし!」


 あの騒動以降、やっと私は誰にも追われることも無く、普通に歩いて単独でツブヤキに来れている事に感謝をし、扉の取っ手に手をかけた。



――カラン。カラン



「おー! お久しぶりです。いらっしゃいませー」

「マスタぁー! 全然来れなくてすみません」


 私は久しぶりに見るマスターの姿にホッ。とし、思わず嬉し声をあげた。


「この前の騒動の件は大変だと聞きましたよ」

「あぁ……」

「まぁ。内容は粗方、ゴエモンやそこにいる坊ちゃんの父親から全て聞きましたがその……、何があったんですかね? あれ」

「はい?」


 しかし、マスターは心配そうに、奥にある席に指を指すと……。



「あのさぁ。あれからお兄ちゃんから全部聞いたんだけどさぁ! ほんっっっと! どんだけ同じ過ちを犯してんのさ! このクソ生徒会長がぁぁ!」

「ちょっ! カンナ! 痛いって! あれはホントの事を言っただけで……!」

「よく言うわ! 異性でも似たような事があったのに!」

「あぁ……、それは……」

「それにしても、カンナさんから全て聞きました。よく、彼にあんな酷いことを言いましたよね。生徒会長なのに、人の心というのはどこに置いてきたんですか?」

「え!? ミオ!?」

「そりゃぁ。鰒川君だってめちゃくちゃ怒りますって。あーんな恋人みたいな距離感にいたのに『恋愛でみていたとは思ってなくて』とか。どこのクズ男の台詞ですかそれ」

「そこまで言うか普通……」

「ていうか、龍樹」

「えっ……」

「何でそんな肝心な事を、タミコさんに言わなかったんですか!」

「あぁ……。えっと、それは……」

「龍樹のその『優柔不断』のせいで、どんだけの人を巻き込んだと思ってるんですか!」

「あぁ! ごめんなさい! それはほんとにもう……。タミコさんに顔向けできないです!」

「ほんっと! 最低だって! そのせいでタミコさんの頬に傷がついたんだよ!」

「それは……」


 何故かそこには、怒りで大暴れしているカンナちゃんと、頭掴まれてボコボコにされている龍樹君。

 そして、反対側では、ストローでコーラとハンバーガーを齧ったり、飲みながら龍樹君に毒舌を吐くミオ君がいたのだ。


 季節は夏なので、みんな白い半袖ワイシャツに、ネクタイやリボンをつけていて、服装も涼しそうだ。この抗争を除けば。


「この際だから、ずっっと心に思ってた事、言いますけど、龍樹。君も鰒川君に負けないぐらいの、なかなかの粘着質だよね!」

「それはだって! ミオが心配で……」

「ミオミオうっさいなぁ! それのせいでどんだけボクに被害が行ったと思ってるんですか!」

「ミオ……」

「今にでも思い出すと怖いですよ! あの死んだ様な目でピッキングしてきた鰒川君が! それと、不気味な笑みでネックレスをすり替えた事も! あれからボク、怖すぎて眠れなくなって寝不足になったんですからね!」

「えぇ……」


 まさかそんなことが起きていたのか。それはミオ君、トラウマ級だろうな。私も同じ立場だったら、それは怖かったと思う。うん。


 そうだ。いっその事、トラウマ消化の為に、実際にあった怖い話として、2チャンネルでスレ投稿をすれば、話題にはなりそうだよ。


 タイトルは『朝起きたら、クラスメイトが何故かピッキングして部屋に入ってきたんだが』とか。


「えっと……」

「あぁ! タミコさぁぁぁーん!」

「わっ!? かかか、カンナちゃん!?」


 すると、彼女が私の胸元に飛び込んでこう言ってきたのだ。


「あの、無自覚クズ人たらしに、何か一言言ってくださいよ! ずーーっと怒ってるのに、あのしどろもどろの言い方しかしないんですよ! このドグサレアンポンタンがぁぁ!」

「そこまで言わなくてもいいじゃないかぁ!」

「まぁまぁ……」


 でも、そりゃぁ、カンナちゃんやミオ君だって怒るよね。

 もうこれ以上言っても、龍樹君が萎縮して喋りづらいだろうと思った私は、静かにこう言ったのだ。


「お久しぶりだね。龍樹君」

「た、たたた、タミコさん!?」

「まぁ。いつも会う時ジャージだったからね。そりゃぁ驚くよね」

「あ。えっと……」


 彼は私を見るなり、驚いた表情をしていたが、どこか申し訳なさそうな顔をしていた。

 まぁ。全ての発端は、この彼の『優柔不断』から始まった事だしなぁ。


「うん。カンナちゃんからDM貰ってここに来たけど、あの時の話の内容、覚えてるよね?」

「……はい。あの時は本当に、軽率な発言をしてしまい、彼の心を踏みにじってしまった。と反省しております」

「……」

「実はあれから、父にも『お前は口はわざわいのもとになるのだから考えて発言しろ』と怒られました」


 まぁ。そりゃぁ、そうでしょうね。

 今回はシイラさんがいたから、抗争にまで発展しなかったけど、これが残虐な事件になってしまったら……、と思うと、あまり言えなくなってしまった。

 下手したら、カラマリアとベローエとの全面戦争だって有り得た話だ。


 私も早く、気がついていれば……。


「なら、これ以上は言わない。でも、シイラさんが言っていた事は、『絶対に』忘れないでね」

「……」

「分かった?」

「……はい。ごめんなさい」


 私はそう言い残すと、彼らが座る席より、反対側の席に座り、リルドを待つことにした。


「すごぉ……!」

「流石、タミコさんですね。ボクもタミコさんみたいな、芯が強い人になりたいです!」

「え!?」

「だって、ボクの周り、カンナさん以外、龍樹含めてポンコツしか居ないんですよ!」

「んなっ! ポンコツって!?」


 あーあー。ミオ君にまで言われてるとは。龍樹君よ、いっその事、土下座で謝罪して更生するしか道は無いよ。恐らく。


 私は呆れつつも、店員が来るのを待っていたら……。


「ちょっとミオさんそれは無いですってぇー!」

「あー!」


 ふと、聞き慣れた声がしたので、振り向くと、独特な緑色の髪色、可愛らしい顔つき……。もしや。


「おわぁ!? ももも、もしかして、たたた、タミコさぁぁぁん!?」

「えっ!? フグトラさん!?」


 何故か、フグトラさんが喫茶店ツブヤキの制服を着て働いていたのだ。


「どうしてここで!?」

「あー! 実はっすね、ここで『アルバイトを募集してる』って、リルドさんから聞きまして……」

「うんうん」

「タミコさんが前に勧めていた『宇治抹茶パフェ』を食べてみたら、ここで働きたくなっちゃったんすよ!」

「ぇえええええ!?」


 まさか、あの時のコンビニでの話を、覚えていてくれていたとは。

 驚いてしばらく開いた口が塞がらなかった。


「あの濃厚な黒みつとわらび餅のコンビネーション! そして後からガツンと舌に来る抹茶アイスとあんこのコンボ! まじ最高っすね! 今まで食べてきたパフェよりも、断然美味いっ! て感じましたっす!」

「そっかぁ……」


 そして、相変わらず溢れる抹茶愛に呆れつつ、私は早速注文をしたのだ。


「それじゃあ、その、宇治抹茶パフェとのこと、『和パフェ』を頼もうかな!」

「了解しましたっす! では失礼致します!」


 すると、彼は笑顔で注文を取ると、厨房の奥へと行ってしまったのだ。


 そっかぁ。もしかして、あまり連絡取れなかったのは、慣れない仕事に頑張っていた為かぁ。

 だけど、マスターが新規事業を立ち上げるから、アルバイトを募集している。って、どういう事だろう。


「では、ボク達はこれで!」

「わたしもこれで失礼します! ほらっ! 龍樹行くよ!」

「は、はい! タミコさんまたっ!」

「あっ! ミオ君、カンナちゃん、龍樹君、またねー!」

「あっ! 二人先行ってて! タミコさん!」

「ん?」


 すると、別れ際、カンナちゃんが私の所へ行くと、こう密かに話してくれたのだ。


「実は、お兄ちゃんから伝言を預かってまして……」

「伝言?」

「はい。このIDをタミコちゃんに渡して欲しいって……」

「えええ!?」


 彼女の制服のポケットからは、まさかのシイラさんのIDが書かれた紙を渡してきたのだ。


「何でわざわざ私に?」

「恐らく、真生君が、タミコさんにお礼が言いたいらしくて、お兄ちゃん経由から私に来たんですよ」

「は、はぁ……」


 でも、私は彼に対しては、かなりキツイことしか言ってなかった記憶があるんだが。

 だけど、お礼が言いたいってどういう事だろう。


「まぁ。わかった。登録してみるね。ありがとう!」

「いえいえ。あ! でも、びっくりしないでくださいね」

「え!?」

「いや。だって、わたしもびっくりしてるんですもの。このライムのID……」

「え!?」

「お兄ちゃん、こんなに人に対して執着してるの初めてだし……」

「そ、そうなの!?」

「まぁ。そういう事で! 今度、二人きりの時に話しましょー!」

「わ、分かった! ありがとね!」

「はぁーい!」


 こうしてカンナちゃんとは別れたのだが、人に対して執着してるの初めてとは、一体どういうことだ?

 シイラさんといえば、血のイメージが強すぎて、人はあくまでも『血液パックの袋』程度しか思ってない様な。


 だけど、今回は確かに『真生くん』に何故かベッタリしてる様にも見えた気が……。


 まぁ。後は直接聞くしかないか。

 なので、丁寧に折られた紙を開けてみると……。




―― siira.S2.mao ――




「……ん!?」


 何故かIDからして不穏な雰囲気が漂ってきたのだ。

 おいおい。IDまで真生くんの名前がちゃっかり入ってるじゃないか。あの地雷カップル。ここまで来たら怖いよ。どうしよう。

 おまけに真ん中のエスツーってさ、ネットスラング用語で言うと、ハートだよね?


 そういえばよく、カップルの人がこーんな感じでやってるって聞くけどさぁ。でもそのノリで渡す用でやるか? 普通。


 まぁいいや。ひとまず私は正気を取り戻しつつ、ワンピースのポケットからスマホを取りだし、渋々登録することにした。


「……え!?」


 すると、ライムのアイコン画面で、一瞬フリーズしてしまったのだ。


「どうしたっすか!? タミコさん!」

「あ。、フグトラさん、これ……」


 なので、和パフェを持ってきてくれた彼に、恐る恐る見せると、呆れたため息をつきながら、こう言ってきたのだ。


「あー。こりゃぁ、相変わらず凄いところにも構築してますね。『自分の世界』という……」

「もうどうしよう……」

「とりま、パフェ持ってきたので、食べてくださいっす!」

「あ。あぁ。ありがとうね」

「いえいえ。また何かありましたら、お声掛けてくださいっす! ではっ!」


 こうして彼は再度、厨房に去ったのだが、あの悪逆非道のサイコパス共め。敵地のど真ん中でのイチャつきといい、今度はアイコンにまで侵食してきたか。


 しかも、それは、互いの両手を恋人繋ぎの様にして絡めたもので、片方の手にはリストカットしていた跡があった。


 そのせいか、思わず二度見してしまったのは本当だ。


「さてと……」


 私は軽く放心状態になりながらも、和パフェのわらび餅を頬張り、冷静を保とうとしたが、味が何故か分からなくなっていた。


 おかしい。いつもはお茶の風味が口の中に広がるはずなのに……。


「えっと、すみません! どうしよう!」

「え!? どうしました!? タミコさん! まさか味覚に障害が!?」

「いや。そうじゃないんだけど、なんか、色々と頭が整理つかないって言うか……」

「もしかして、バグった。ですか!?」

「え?」

「あの、色々と凄い物を見てしまったから、突然頭がバグってしまったのかもしれません。が、とりま、落ち着いて、友達登録をしなくては……」

「あぁ。そう、だね……」


 ふと、フグトラさんに励まされ、私は恐る恐る、指先をスマホの画面にある『友達登録』に向かわせ、タップした。


 なんだろうか。友達登録をしただけなのに、まるで地獄の門が開かれるかの様な。


 とりあえず、怖いから抹茶パフェのアイスを一口頬張って落ち着かせないと。



――ピコンッ!



「ふぁっ!?」


 思わず声を出してしまったが、相手はシイラさんからだった。



――友達登録ありがと! カンナに任せて正解だったわぁ~! めっちゃ嬉しい! あ。そうだ!


「え?」


 すると、追撃するかのように、2回目の通知が来たので、見てみると……、



――今ね、真生と一緒に喫茶店ツブヤキの前にいるんだけど、一緒に話さない? 



 と、怪文書みたいな文章が届いたのだった。

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