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マリアナに堕ちたのは、親友ではなく、私でした。  作者: Ruria
キルマイフレンド編
38/106

扉を開けたら、まさかの真相が露見されました。

「……という事があってね!」

「それで……」


 っておいおいおいおい。

 どこから突っ込んでいいか一瞬分からなくなったが、ひとまず、ヘイトがこっちに向かなくて、良かったって事か?


 いや。果たしてこれでいいのか?


 私は悩みに悩みながらも、隣でべったりの彼を愛でながら話す、シイラさんに困惑していた。


「って事は、真生くんもまた、苦しんでいたって事だよね?」

「そうだね~。どうやら、大事な人に自分を見て欲しかったみたいだぁ~」

「大事な人?」

「……うん。でも、今は、違う」

「え……」


 ふと、彼の執着っぷりが、高校時代の愛華みたいだと思い出してしまった私は、扉の前へと立ち、彼にこう言ってみた。


「じゃあ、そのペンダント、私に渡してくれる?」

「えっ! 嫌だァ!」

「はぁ!?」

「えっ!? マフ!?」

「これは、大事なものなの! やだ! 誰にも渡さない!」


 しかし、彼に全力で拒否され、思わず唖然としてしまったが、隣にいたリルドやフグトラさんも、これにはかなり驚いていたようだ。


「まぁまぁ。タミコちゃん、みんな、僕に任せて」

「シイラさん……」


 だけど、この状況でも、何故か冷静で、笑顔なシイラさん。

 服装のせいなのか分からないが、ここまで来ると、もう一周まわって怖いんですけど。


「真生」

「え!?」

「ここから出たら、僕と一緒に、『新しいお揃いのペンダント』を買おうか!」

「新しい、お揃いのぉ!?」

「うん。だから、そのペンダント、タミコちゃんに渡してあげて~」

「……、本当に、新しいの、買ってくれるの?」

「もちろん! 何がいいかなぁ?」

「んとぉ~……、可愛いのがいいなぁ!」

「そうだね。じゃあ、イチゴのペンダントとかどうかな?」

「え! 何それ! すっごい可愛い! ありがとう! 大好き!」

『えっ……』


 すると、また二人の世界を構築し始めていたのだ。

 おいおい。何だこの二人だけカヲスな状況は。


「えっとぉ……。タミコさん」

「本当にごめんね。フグトラさん」

「俺からも言わせてくれ。まじですまない!」

「いやいやいやいや! お二人共、謝んないで下さいっす!」

「いや、だって……、ね」

「まさか……、やってくれたな。シイラ」

「うん。これ……」


 完全に私ら三人、亜空間から投げ飛ばされた様な感覚で、呆然とその二人を見守っている感じだよね。


 そのせいか、いつの間にか、狂気空間から離れて静観している私らという、恐ろしい空間が出来上がっていたのだ。


「というか、早く龍樹君助けなきゃ。リルド、フグトラさん……」

「あー。ほれ。『先代のペンダント』」

「俺からもこれ、使ってくださいっす!」

「ありがとう」


 ふと、我に返った私は、正気の世界にいる二人からペンダントを受けとり、鉄板の様な認証装置に翳す。



――ピッ! ピッ!



「ふぅ……」


 ひとまず、二つはおっけー。

 あとはもう一つ……


「あの……」

「え!?」

「これ……」

「あ。その、ありが、とう」


 ふと、真生くんが私に、『熊野家』のペンダントを差し出してきたのだ。


「これ、あったら、大事な人が、振り向いてくれるって……」

「……」

「ずっと信じてたけど……、結局ね。『彼』の目には……、何にも映って、無かったんだ。ぼくの影すら……」

「……」

「だから、ぼくはもう、『彼』には会わない」

「……!」


 だけど、やっぱり身勝手な発言すぎるだろ。

 自分から粘着しといて、いざ不利な立場になったら、もう突き放して次のターゲットにフラフラと行って……。


「はぁ……」


 私は過去一大きなため息をついて、こう言ってしまったのだ。


「今までやってきた事は、その彼は全部背負ったままなのに、君は手放して、逃げるつもりなの?」

「えっ……」

「タミコ! これ以上はやめろって!」

「タミコさん!」

「だって、可笑しいでしょ! こんなの! あんまりにも……、身勝手過ぎるって! うぅ。あぁぁぁぁぁあ!」


 だけど、私自身ももう、限界の域に達していたみたいだ。そのせいか、目からは大粒の涙が零れ落ち、ペンダントを握る手は、涙で濡れていた。


 任務に遂行しながらも、チラチラとチラつく『親友 天海愛華』の影。


 あの女に何度、青春時代を壊された事だろう……。

 あぁ。全く思い出したくなかったなぁ。

 いっその事、記憶喪失のままで居られたら……。


「タミコちゃん」

「……」

「ごめんね。気づいてあげられなくて。僕、この子連れて、一旦帰るからね」

「……」

「あと、上の者にも、今回のこと、僕からきちんと伝えるから、その、安心してね」

「……ごめんなさい」

「謝んなくていいさ。さて、帰ろっか!」

「……シイラさん、待ってて」


 しかし、真生はううん。と首を振ると、再度、私のところに来てこう言ってきたのだ。


「えっと、タミコさん、その……、ごめんなさい」

「……」

「ぼくは……、貴方の言う通り……、逃げていたの、かも、しれません」

「……」

「でも、会ってしまったら、また、ぼくは、大事な人を……傷つけてしまうって、思ったので……」

「……」

「今は……、会わない方が良いって……ぼくは……」


 だけど、何も言い返せなかったし、ただ聞いているだけだった。

 涙腺が可笑しくなってる中、リルドやフグトラさんだけは、側にいて、涙を落ち着かせようとしている。


 でも……、


「それは私じゃなくて……、『彼』に直接言いなって!」


 私は怒りのあまり、持っていた『熊野家』のペンダントを認証装置に翳し、扉を開けたのだ。


『えっ……』


 だけど、想像を絶していたのは、その扉の先には、首元に沢山のキスマークと、はだけた制服、そして殴られた後がたくさん付いた一人の少年が、呆然とこっちを見ながら、椅子に座っていたのだ。


「まさか……、龍樹……、君……」


 私はその光景に言葉を失ってしまった。

 いや。周りにいるリルドやフグトラさんだってそうだ。

 シイラは真生の目を手で覆いながらも静観していた。


「……タミ……コ……さん?」

「龍樹君!」

「おい大丈夫か!?」

「何なんっすかこれ!?」


 ふと、冷静になって周囲を見ると、右側には複数のモニター。反対側には冷蔵庫もあって、食料はある程度用意されていた。


 だけどこの衣服のはだけ様と、複数床に転がる煙草の吸殻は……。


 まさかここで……。

 龍樹君を監禁していたってこと!?

 それに、煙草!?


 情報量が追いつかない中、私は呆然と椅子に座る彼にこう問いかけたのだ。


「大丈夫なの!? その怪我!」

「……はい。あはは……、みな、さん、その……、ごめん、なさい……」

「謝んなくていいから! 先ずは治療だって!」

「真生。ここでちゃんと『待ってて』ね」

「……」

「お利口さんに、していられる?」

「……ぅ。うぅ……」

「大丈夫。すぐ、戻ってくるからね」

「……うん」


 すると、先程、彼の目を覆いながら後ろで静観していたシイラが、凄惨な状況になっている彼の前へと歩むと、ショルダーバッグから、包帯と消毒液を取り出し、黙々と治療をし始めたのだ。


「……」

「ごめんね。龍樹君」

「シイラ、さん……」

「……」


 私は何も言えず、呆然と立ち尽くしていた。

 シイラさんがあんな黙って、龍樹君を治療をする光景なんて、初めてだったから。

 普段が、あんな、悪逆非道をやっていたせいか、今回のは『僕の責任』でもあるようにも見えてしまっていた。


「謝んないで、大丈夫……、です。今回のは……、その。全ては、僕が、中途半端に……、彼の事を……、接して、しまっていた……」

「……」

「そのせいで……、こうなった……、事です」

「……」


 しかし、彼は口を切っていて、あまり流暢には話せなかったが、それでも何かを伝えようと、続けざまにこう話したのだ。


「それと、タミコさん……、リルドさん……」

「……」

「あの時……、彼の事を……、言えず、すみません……でした」

「……」

「最後に……、真生に、一言……、言いたいことが……あります」

「……!」

「実は……、前から……、君が、僕に……、好意を向けていたのは……知っていたよ」

「……!」

「だけど、まさか、それが……『恋愛』として、向けていたの、知らなくて……」

「……ぁああああ!」


 すると、真生は突然、両手で頭を抱えながらも、発狂するかのようにこう叫び始めたのだ。


「ふざけんなよ! 何だよそれ! あの時、龍樹は、こう言ってくれたじゃないか!」

「……」

「ぼくが生徒会の副会長になった時! 『これからも、ずっと一緒にいような!』って! 約束したのにぃぃ!」

『はぁぁ!?』


 ちょっと待って。まさかのきっかけが、学校内で、しかも更に中の『生徒会』での話だったって事!?

 あまりの衝撃で私は思考回路が吹っ飛んでしまったのだ。


「それなのに! ある日突然、転校生として、邪魔してきたんだよ! アイツが!」

「それって……」

「あぁ! 熊野澪! アイツが全部、全部全部全部全部全部! ぼくの全てを根こそぎ奪っちゃったんだよ! ぁああああ!」

「真生……」


 あぁ……。それであんなにミオが怯えて助けを求めてきたりしていたってことか。


 ってことは、待てよ?

 クラスメイトが、ピッキングして連れ去ったって、まさか、真生くんが龍樹君を連れ去ったって事!?


「ごめん。リルド……」

「どうした急に」

「なんか危なそうだから、ゴエモンさんや、昇さん、他の人にも、連絡して……」

「あぁ。おい。フグトラ」

「はい」

「君はヒガンさんに、連絡を頼む」

「了解っす」


 私はこの後の状況が怖くなったので、二人に連絡をお願いし、この亜空間な状況の中で、私は取り残されることになったのだ。

 

 今、監禁ルームみたくなっているこの光景には、私、龍樹君、発狂している真生くんと龍樹君の前で治療をしているシイラさん。


 何たる異様な光景だ。吐き気もしてくる。

 でも、シイラさんが何も語らないのも、不気味だ。普段はおちゃらけで、怒る時も常に笑顔でいる彼が……。


「それに、何なんだよ! あぁ……」


 だけど、真生もまた、震えながらも手に持つ血濡れたナイフが、怪しく輝いていて、情緒が混乱している。


「だったらいっそ……」

「シイラさん!」


 しかし、彼の様子がおかしい事に気がついた私は、咄嗟に声を張り上げてしまった。


 だって、真生は光が死んだ目でナイフを持ちながら……シイラさん目掛けて刺そうとしてきたのに……。


「……えっ!?」


 彼は治療する手を止め、即座に真生が持つナイフを握る手首をガッ。と掴んで、イチゴのような甘い甘美な声で、こう言い放ったのだ。


「お利口さんにしてね。て、言ったよね?」

「あっ……」

「だめだよ。こういう事したらさ、僕と一緒に『お揃いのイチゴのペンダント』、買いに行けなくなるよ?」

「……」

「いいの? ん?」

「……やだ」

「じゃあ、そのナイフ、離そうか」

「……うん」


 私、何にもできないや。ただ、男だけという亜空間の中で、まさかのバランスを保っている。それが実は、シイラさんだったと言うことに、気がついてしまったんだ。


 一件、彼は宥めるように見えて、実は、真生を言葉巧みにコントロールしている。

 だけど、龍樹君に対しては、『上司の息子』という接し方で治療はするけど、あとは勝手にしてくれ。的な。


「それと、僕からも、龍樹君に一言、言わないといけないことがあるんだ~」

「えっ……」


 すると。彼は龍樹君に背を向ける形で、子供のように泣きじゃくる真生を抱きながら、こう言い放ったのだ。


「君、真生の心、無意識に壊しすぎたね」

「……」

「あまり、光が眩しすぎるとね、今度は闇が真っ黒く、蝕んでいくんだよ。今回はね、君の優しさ。そう。その優しさの光が、真生の恋心を焦がして、焦がしまくって、黒くしちゃったんだよ」

「……」

「だから、もう、しばらくの間、真生に会わないでくれるかな?」

「……」

「君の父さんにも、この事は伝えておくよ。さぁ。僕と帰ろうか」

「……うん」


 そして、彼は崩壊しかけの真生の手首を掴んだまま、その場を後にしたのだった。


 何だろう。私、彼に酷いことを言ってしまったのかもしれない。

 真生くんに、感情任せに、あんな言葉、吐いちゃって……。

 そう。今回はこの、龍樹君の『悪意の無い優しさ』が、太陽の如く、周りを黒く焼き焦がしてしまった。


 これがもう原因だった。ミオさんも悪くないし、嫉妬に狂って精神崩壊してしまった真生だってそう。


「龍樹君……」

「……」

「君もまた、今まで自分がやってきた事を棚に上げ、逃げるつもりだったのかな?」

「それは……」

「何であの喫茶店の時に、言ってくれなかった?」

「それは……、その……」

「取り返しがつかなくなる所だったんだよ! もっと早く言ってくれれば私だって……!」

「タミコ……さん……」

「ごめんなさい……。怒りをぶつける矛先が……、違ったよね」

「……」

「大丈夫。しばらくの間、お父さんが来るまでの間、待とうか」

「は、はい。その、ごめん、なさい……」


 その後、私と龍樹君は、リルドが連絡してくれたサーフェスのメンバー全員と、カラマリアの越智さん、ヒガンさんが駆けつけてくれ、無事に任務が終えたのだった。


 私はと言うと、気を張りすぎてしまったせいか、その場で倒れてしまった様で、リルドに抱き抱えられながら、サーフェスへと戻ったのだった。


 今回はもう、色々ありすぎて、かなり疲れた。


 私がぶっ倒れた理由は、『天海愛華』の存在が今回、かなり大きく現れてしまった事だ。


 まさか、真生くんと、愛華を重ねて見てしまっていたとは。


 だけど、私も一歩間違えれば、彼のように『依存』していたのかもしれないんだ。


 だから私自身と、『真生くん』を無意識に重ねていたのかも。

 しかし、シイラさんという、真っ赤な光が照らした事により、真生くんは何とか救済された。あの時の私とリルドみたいに。


 と同時に、私も、シイラさんに助けられていたのかもしれない。


 はぁ。目を覚ますと、いつの間にかベッドの中にいた。もう一回、寝よう。今はその、何も考えたくない。うん。

 




 後日。リルドやゴエモンさんの話によると、今回の件がベローエ内部で、重要問題として取り上げられ、痺れを切らしたヒガンさんは、現教祖と対立する形となったようだ。


 なので、ベローエは分断され、旧ベローエ派と、新ベローエ(フグトラさんやヒガンさんがいる)の二つとなったが、もう、ベローエの名前すら出したくないらしく、近々名前を変えるらしい。


 あ。そうそう。言い忘れたが、『キルマイフレンド』という、全ての元凶となった、裏掲示板は、フグトラさんがパソコン操作をしたあの時と同時に、彼が終わらせたらしい。


 つまり、『掲示板自体、閉鎖させて、消滅』した。と。

 なので、もう、『殺人依頼』の書き込みは無いだろう。


 真生くんはというと、あの後、シイラさんに連れられ、警察へと自主し、逮捕となったようだ。学校も勿論、退学。


 どうやら、さまざまな罪状がついてしまったものの、影で越智さんが、


『息子も息子で、彼を誑かすような行為をしたので、その慰謝料として払う』


と言っていたらしく、何千万かのお金を警察に渡し、保釈されたようだ。


 今は一人暮らししている、シイラさんの家で、シイラさん管理下の元、精神科の病院に通いながら、同棲している。と。カンナちゃんから聞いた。


 病名は『愛着障害』だと。

 恐らく、真生くんは、家でも両親から虐待されていたらしく、学校でも虐められ、居場所が無かったらしい。


 でも、そこで龍樹君に助けられ、生徒会の副会長にまで行ったものの、龍樹に対する執着が激しく、生徒会を追放され、またも居場所が無くなったらしい。


 そこに、ベローエという、教団の末端信者になることにより、救われると思って功徳と称した闇バイトを行っていた。と

 その道中、ピッキングやらスマホのデータのハッキングも覚えたらしく、そのスキルを今回の騒動に使ったらしい。


 例えば、掲示板に投稿された二枚の写真。それも、龍樹君やミオさんのスマホの中にあった物を一枚ずつ、盗んで掲示板に貼った。と。


 ちなみに写真の順番だが、あれは本当は『逆』だったらしい。

 黒髪の女性の写真はというと、驚くことに、ミオさんが何かの拍子で『女装』した姿だったらしい。

 それにしても違和感なさすぎだって。


 あ。それと、シイラさんは真生くんを警察に連れていくと同時に、闇バイトの名簿を警察に渡したようで、あの後、何人か逮捕者が出たらしい。


 そして、この事件は後々『キルマイ騒動』と名付けられる事になったのだった。




 それからというものの、私は1週間ほど、休んで体を整えていた。

 道中、リルドが頻繁に抹茶プリンやら、抹茶シリーズの商品を、エイトレブンで買い込んでいたらしく、何故か私の部屋のドアノブにかけられていた。


 いやいや。こんなに食わないって。

 あ。でも、フグトラさんなら好き好んで食うか。


 でも、フグトラさん、元気にしてるのかなぁ。



 あれから、シイラさんや、フグトラさんからの連絡は無く、私とリルドは心配しながらも、溜まりに溜まった任務をこなしていくのだった。


 勿論、休暇も交えながら……。

これにて、キルマイフレンド編。終了です。


光は、時より黒く焦がしてしまう。


そんな話でした。

次からは平和な回が訪れると思う。きっと……。

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