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マリアナに堕ちたのは、親友ではなく、私でした。  作者: Ruria
キルマイフレンド編
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上司から貰った物は、まさかの『モノ』でした。


「削除依頼と、投稿主の特定、ですか?」


 思わず聞いてしまったが、一体誰から?

 あまりにも話が出来すぎている、ご都合主義の物語みたいな展開に、戸惑いを隠せない。


「そうだが、そのツラはどうしたんだ?」

「え?」

「なんて言うか、初めから知ってたかのようなツラしやがって。ったく。あの白小僧はどこまで知ってたことやら……」

「あ。それは……」


 彼は再度、呆れた様な表情で、電子タバコを吸うと、こう言い出した。


「まぁいい。越智龍樹は分かるよな?」

「はい。確か、カラマリアのトップである越智昇の息子さんでしたっけ?」

「そうだ。しかも、ベローエの誰かが管理人をしているであろう、『キルマイフレンド』に、フルネーム付きで殺しを指示している。これはつまり?」

「ベローエもまた、殺しに一枚噛んでいる。と」

「当たりだ」

「やっぱり……」


 龍樹君は、事件に巻き込まれていたんだ。

 だけど、龍樹君がやったことは、一人の少年の命を『救った』だけだ。

 ベローエの地雷を踏むような行動をしていない気がする。そのせいか、益々アイツらの真意が分からない。


「という事で、今日は遅い。明日に向けて休め。分かったな?」

「はい」

「明日、ここに寄ることを忘れずにな。渡してぇものがあるからよ」

「分かりました。その、おやすみなさい!」


 という事で、一旦私は、シークレットルームを後にした。部屋に戻っても、ベローエの考えている事は全く分からなかったが。


「はぁ。疲れたぁ」


 緊張の糸が突然、ブチっと切れたせいか、メイクをしたまま、ベッドに倒れるかの様に仰向けになっていた。


 あ。シャワー浴びなきゃ。メイクも落とさなきゃ。そして、寝て明日に備えなきゃ。だけど、洗濯どうしよう。そういえば、洗濯兼乾燥機も玄関近くにあったのを思い出した。


「さて。と」


 私はベッドから無理矢理、体を起こすと、着ていた服を脱ぎ、服についたタグを見ながら乾燥機がオッケーかどうかを確認する。


「おぉ!」


 幸い、洗濯しても、乾燥機にかけても大丈夫な素材らしく、5日ほど着ていたジャージと共に入れようとした。


「あ!」


 そういえば、USBメモリを入れたまんまにしていた事を思い出した私は、黒ジャージのポケットを探って取り出したが、どうしよう。


 このまま持っておくべきか、ゴエモンさん達に分析してもらうべきか。だけど、もし、この中に場所を特定するウィルスが混入されていたら。


 そう思うと、怖くて迂闊に渡せなかった。


「とりま、持っておこっかな」


 (いず)れ、何かの役に立てるのなら、その時はグソクさん達に渡そう。

 なので、私はUSBメモリを、静かに鍵付きの引き出しの中に入れたのだ。番号は何にしようかな。まぁ。適当でいいや。


 そして、私は洗濯とメイク落とし、シャワーを浴びたりと、ある程度の準備を終え、夜の11時頃には寝についたのだ。

 あ。ちなみに部屋の鍵は、またリルドに入られない様に、ちゃんとかけておきました。まぁ。流石に二度は無いと思うが。







……だい、じょう、ぶ?



 誰かが話しかけている。

 恐らく、また、夢を見ているみたい。

 この前は男の子の声だったけど、今度は女の人の声がする。私によく似た、双子に近いぐらいの格好をした女の人が。




――私達、何があっても、ずっと『親友』だからね!



――だから、何があっても、私が『守って』あげるから!



 守る? 親友?

 そうだ。私は天海愛華を探しに、サーフェスに居るんだった。本当の目的は、アビスといる彼女から、『本物の身分証』を取り返し、彼女を救う事だ。

 けど、その彼女が『守ってあげる』っていうのは、どういう事だろうか。まさか……。



――ピピピピっ!



「んん……」


 スマホに設定したアラームが鳴り、朝を迎えてしまった。

 今回の夢は、かなり鮮明で、私には愛華という親友がいたのを思い出した。


 もしかして、あの時の『人体オークション』の画像も、私自身だったのだろうか。USBメモリに記録されているから、見ようと思えば見れるが、アビスの事だ。ウィルスが仕込まれていると考えると、メモリの存在自体言えない。


 なので、ふぅ。と深呼吸をすると、乾燥したての黒ジャージ上下を着用し、いつものスタイルに戻った。


 やっぱり、私にはこの格好がしっくり合う。

 太ももから足首まで、横には金のラインが入っていて、スポーツメーカーの刺繍が入っている、この黒ジャージが。


「やっぱりこの格好が一番好き」



――ドンドン



「ん?」


 ふと、玄関からノック音がするので、開けてみると、リルドが灰色のパーカーに黒いジーンズの格好でじーっと見ていたのだ。


「って、どうしたの!? その格好!」

「オメーこそ、なんだよ。あん時の干物みてーな格好しやがって!」

「いや。だって、また同じ格好してたら、ベローエに狙われちゃうでしょ!」

「まぁそーだが……」


 しかし、何故か彼は、私の格好に対し、不満を口にしていた。なんで?


「なんか文句あんの?」

「メンコさんから貰ったパーカーがあるだろ。上はそれ着りゃ良い話だ。うん」

「え? なぜ急に?」


 突然、メンコさんから貰ったパーカーを着て欲しいと、何故か彼からリクエストしてきたのだ。


「理由は特に無いけど、それだけじゃ外、寒いだろ。だから……」


 しかも、一瞬私から視線を逸らしたので、何を考えているんだろう。相変わらず彼の考えが読めないでいた。


「まぁ。分かった。着てくるから待ってて」

「あぁ。待ってる」


 なので、仕方なく、彼のリクエストに応じることにした。あんまり良い感じはしないが。


 それにしても、あのカラマリア以降、彼は白小僧との事、シイラさんに嫉妬してしまったのだろうか。

 その辺は知らないが、まるで、独占したがっている犬の様に、玄関前に待ち伏せていたのだから、正直驚いたのは本当だ。


「あ。みっけ」


 メンコさんからのプレゼントで、黒パーカーと黒ジーンズを貰ったのを思い出した私は仕方なく、フルチェンジした。


「出来たよー」

「おー。その前にじーさんとこに寄れよ。俺は事務室で待ってるから」

「うん」


 そして、私は彼と別れ、シークレットルームへと向かった。

 ゴエモンさんが渡したい物があると言っていたけど、何だろう。一応、ここは裏社会なので、護身用に、強力な武器みたいのをくれるんだろうか。かなり気になっていた。


「あの……」


 なので、恐る恐るシークレットルームへと着くと、ソファに威厳よく座るゴエモンさんの姿が見えた。


「よく来たな。ほれ」


 すると、彼はガラスのテーブルに置かれた『モノ』を見て驚いてしまった。

 それは四角くて細長い形をしているモノ一つと、異世界モノに出てくるユニコーンの角みたいな、(ねじ)りが入った色付きの青い棒が一本。何だこれ?


「これはリルドから貰った『アレ』よりかは、危なくない奴だ。まともに護身術を身につけていないタミコには、ピッタリの道具だと思って、ワシがチョイスしてやったからな。だから、どんな時にでも、忍ばせておけ」

「これって、まさか……」

「小型の『スタンガン』と、『タクティカルスティック』だ」

「ええええ!?」


 初めて見たが、スタンガン? これが?

 ピンク色をしていたのにも驚いたが、よくアクション物で使われるような、ごっつい形をしていなかったのだ。

 なんて言うか、本当にコスメグッズに忍ばしていても可笑しくない程の、可愛い見た目をしている。試しに手に取っても、手のひらに馴染む感じがして、かなり使いやすい。


「ちなみにタミコは、『ベローエ』というストーカーに追われている身ではあるから、万が一警察に絡まれたとしても。『ストーカーに追われてる』て言えば、持っていても、合法だ」

「そうなんですね……」

「ただし、不本意には使うなよ? 軽犯罪に当たるから、使う時は危険が迫った時のみだ。分かったな?」

「は、はい。それと、この、『タクティカルスティック』っていうのは?」


 かなり気になったこの、『タクティカルスティック』という、ユニコーンの角みたいな棒の存在だ。

 実物も、名前も聞くのも、全てが初めてだが、どうやって使うんだろう。まさか、襲われた時に、襲ってきた奴に刺すとか?


「これは緊急脱出用でも、護身用でも使える万能の棒だ」

「万能の棒!?」

「あぁ。だけど、変なとこに刺すんじゃねーよ? その棒一本で、窓ガラスを簡単に割る事が出来るからな」

「ええっ!? そんな強力なんですか!?」

「あぁ。かなりな。しかも、あんまり認知度は少なめの代物でもあるからな。周りから変に誤解されないように、気をつけろよな」

「分かりました。えっとその、ありがとうございます」

「あぁ。気をつけて行けよ。それと、何かあったら、ワシに連絡せぇ」


 すると、彼は慣れた手つきで、スマートフォンを操作し、QRコードを差し出してきたので、私もライムを起動し、彼の連絡先を登録した。

 

「何から何まで、ありがとうございます!」

「おぉ。リルドが待ってるだろーからな。はよ行ってやれ」 

「はい!」


 なので、私はシークレットルームを後にし、事務室で待ちぼうけをしている彼の元へと向かう事にした。

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