第8話
「今日も岩田さん達は遅刻かな。授業数の少ない授業はそろそろ出席日数のことも考えなきゃなのに」
あんなことがあった翌朝。真田の尽力もあって下校時には落ち着いた愛子だったが「岩田たちと顔を合わせたらどうなるんだ」というクラス中の心配は、岩田たちの遅刻?によって杞憂に終わった。
◇
「それにしても、昨日は大変だったな」
「まじでそれ。西棟の飾り付けは、他の場所の3分の2しか無いから焦る必要無いのに何であんなイライラしてんだか」
「別の担当をやりたがってたんならやる気が無いのも当然だろ。岩田たちも可哀想だわ」
体操着に着替える最中に話すことはもちろん昨日のこと。女子たちが居ないとなれば遠慮なく言いたい放題言う。
このクラスの大多数の男子は、オタクグループから一番楽と聞いて西棟を選んだ。なのに、あんな【やる気MAX仕切りたがり八つ当たり女】がいると分かって文句が止まらないようだ。
「おい、駆流。真田とはいつ仲良くなったんだよ」
急に、勝がニヤニヤしながら喋りかけてきた。この前、幼馴染でからかった仕返しのつもりらしいが一切効かん。
「3週間位前にバイト終わり偶然出会って、冷のファンらしくて色々聞かれた」
「なるほどね。昨日帰りに修斗と話したんだけどさ、あんま女子と仲良くする気の無さそうだった駆流が真田と二人で買い出しに行った時は驚いたぜ」
「別に仲良くする気が無いわけじゃない。こっちから積極的に関わる気が無いだけだ。修斗の彼女とは普通に接してるしな」
「確かに」
着替え終わり、グラウンドで授業なので玄関に行ったら山田がいた。
「次体育だっけ。アタシが登校してきたこと先生に言わないで」
たった今登校してきた山田は授業に出る気は無いようで、俺達に一方的に言い残すと教室の方へクールに去っていった。
「あいつ、岩田と一緒にサボってたわけじゃないんだな」
「な。まあ、体育はサボってるけど」
◇
すいません。朝の空気が戻ってきたんですけど...
昼休みに重役出勤してきた岩田達は、どこかに行っている山田の席を占拠して「私、不機嫌です」アピールに勤しんでいる。
対して愛子は真田と食事を摂っており、その周りを愛子側に付くしかない女子たちが固めている。
そんな重い空気と関わりたくない者は用もないのに教室から逃げ、逃げ先が無い者はイヤホンをして寝たふりをしている。
しかし、そんな空気をぶち壊す人間が現れた。
「ねえ、修斗。この教室なんか空気重くない?」
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