第7話
時は経ち10月第2週。先週定期テストが終わり、11月の頭にある文化祭の準備が本格的になり始めた。
◇
「理恋ー買い出し行ってきてもらっていい?」
「わかったー」
午後の授業で文化祭の準備をしていたら、仕切っていた長谷川愛子が真田に買い出しを頼んだ。
「数あるから男子連れていきな」
「じゃあ、緋天君。一緒に来てくれる?」
「うい」
真田に指名されたので外出する準備をする。
「意外だね。理恋が駆流を連れてくなんて」
「ほんと。全然関わり無さそうだったのに」
愛子と修斗は俺達の組み合わせが意外だったらしい。クラスの皆も作業の手を止めてこっちを見ている。
「はい。これ、お金。二人と事故に気を付けて行ってきてね」
呆気にとられている周りを無視して、坂上先生から買い出し用の財布を受け取る。
「「「いってらっしゃーい」」」
教室の扉を開けるとクラスのみんなが見送ってくれた。ただ、奥の方でギャルズ、特に岩田と山田がこちらに鋭い視線を送ってきていた。
◇
真田と並んで100均への道を歩く。もちろん俺が車道側だ。
「何頼まれたんだ?」
「えっと、のりと紙テープと折り紙かな」
真田がスマホを見ながら答える。
ふと、気になったことを聞いてみる。
「なあ、誰かに言ったか?俺に男子達の投票先を西棟にするように頼んだの」
「いや言ってないよ。でも、私も周りの子にお願いしてたから私が西棟の飾り付けをやりたがってたのは皆知ってるかも」
ほーん。てことは、岩田が真田の西棟希望は知ることが出来ても、俺に頼んだことを知ることは無いってことか。
じゃあ、どうやって岩田は知ったんだ?男子の誰かが言ったのか?5月のこともあるし嫌な予感がするな。
◇
買い出しを終えて教室に戻ったら、教室の空気がすっごい重かった。
「おい、修斗。何この空気」
「お、二人ともおかえり。最悪だぜ。お前らが出ていってちょっと経った後によ、愛子がサボってる岩田たちに文句言って、それに岩田が言い返して大喧嘩になったんだよ。で、クラスの奴らが俺に仲裁させようとして間に入ったら、ばつが悪くなった岩田が森田と水田連れて出てって。そしたら、愛子が出てったことに怒りだして周りに当たってこの空気」
「先生は?あと、なんで山田は残ってるんだ?」
「先生は電話が気て教務室。山田はトイレに行っててそん時居なかった。でさ、悪いんだけど真田、愛子頼んでいいか?」
「うん。任せて修斗君。中学のときもこういうことたまにあったから」
「よろしく頼むわ」
愛子ってこういう行事ごとの時に自分の思い通りに仕切りたがるタイプだったのか。めんどくさ。
真田が愛子のところに行ったので、買ってきた物を片付ける。教室の奥、一人で飾りを作る山田は心なしか楽しそうだった。
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