第3話
夜道を二人並んで歩く。
別に好意を抱いている訳でもないのに謎の緊張感がある。
「緋天君に踏み込んだこと聞いてもいい?」
会話が全く無かったのに、急に真田が喋り始めた。
「私の家と同じ方に住んでるみたいだけど、中学違ったよね。なんで?」
ほんとに踏み込んだこと聞いてきたよ。
「中学までは高々の方に住んでたんだけど、従兄弟の家が高校の近くにあるから居候してるんだよね」
隠すことでもないので正直に答える。
「じゃあ今、冷さんと一緒に住んでるの?」
冷とはうちの高校で一番美人の1個上の従兄弟で、同じ中学だった生徒には熱狂的なファンが多いらしい。
因みに入学早々いろんな奴に絡まれた。
「冷と一緒に住んでるよ」
「ねえ、家だと冷さんてどんな感じなの?使ってる化粧品とかシャンプーは?」
どうやら真田も熱狂的なファンらしい。さっきまであんなに静かだったのに、すごい早口で喋り始めた。
「プライベートなことは本人に直接聞いてくれ」
「あっそうだよね。何も考えずに早口で喋ってごめん」
俺のマジレスに冷静になった真田は、顔を赤くして下を向く。
意外な一面が見れて面白かったけどな。
「私の家、ここだから。送ってくれてありがとう。また明日」
「うい、じゃあ」
いつの間にか真田の家に着いてたらしくお別れになった。
バイト中に話しかけられて面倒だったけど、いつもと違う真田が見れたのは良かったな。
◇
「おかえり。遅かったじゃん」
玄関を開けたら冷がリビングから顔を出してきた。
「ちょっとクラスメイトと話してて」
「女の子でしょ、しかもとびきりの美少女。燐さんから連絡きたよ」
まさかの家でもイジられるとは。あのカフェは仕事中に携帯をいじるのを禁止にした方がいい。
「駆流もやるじゃん」
「やめろよ。俺が彼女作る気無いの知ってるだろ」
ちょっと語気が強めになったけど、事情が事情なのでしょうがない。
気まずくなったので逃げるように部屋に向かった。
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