第1話
はじめまして
楽しんでいただけると嬉しいです。
世間が収まることを知らない暑さに怒りを覚える9月中旬、俺は本屋のバックヤードでバイトが終わるのを待っていた。
「緋天君。Eの在庫確認してきてもらえる?」
「了解っす」
店長に仕事を頼まれたのでEの通路の在庫の確認をしにいく。
でも、Eの通路行きたくないんだよなぁ。
なぜなら、Eの通路は少女漫画コーナーなので、9時前のこの時間は仕事終わりのOLの視線が痛いのだ。
でも、今日はOLではなくうちの高校の女子生徒がいた。
しかも、後ろ姿を見ただけで誰か分かる。あれは、うちの学年で一番美少女と名高い『真田理恋』だ。
俺はこちらに気付かれないように在庫確認を始める。
「緋天駆流君だよね。この後時間有る?」
話しかけられちゃった。事務的な会話しかしてないはずだけど、バイト先まで凸られる様なことしたっけ?
必死に頭を回転させながら答える。
「有るよ。後15分でバイト終わるから隣のカフェで待っててもらえる?」
「分かった。隣のカフェで待ってるから絶対来てね」
強く念押しした真田は漫画を1冊持ってレジに向かっていく。
それからの15分は脳内でいろんなことをシミュレーションしていたせいか、いつもより早く過ぎた。
読んでいただきありがとうございます。
ぜひ、ブックマークと評価お願いします。