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プロローグ
読み飛ばして頂いても本編の大筋にはさほど影響はありません。
華美と優美が額縁付きでその青年を彩っていた。
すれ違う教師や生徒たちの視線は男女を問わず自然と吸い寄せられ、彼が過ぎ去った後にはその圧倒的な美への羨望の吐息ばかりが積み重なる。
千年に一人と噂される、正に完璧な造形美を誇る端正な顔立ち。
弱冠十八歳にしてすでに侯爵位にあり、その上第一王子の最も親しい友人として覚えもめでたい、約束された輝かしい未来。
王立学院生徒会長としての人望。頭脳明晰、文武両道。
〝天は二物を与えず〟などという言葉の信憑性を一挙に喪わせる、正に神に愛されたその青年に、■■■はただ──。