第二話「魔王様、現代降臨しちゃいます?」
青年は殺されまいと必死に話した。
現代という異世界からやってきたこと。
異世界からやってきた者の多くが超強力な能力か道具を与えられること。
また現代の科学とやらは凄まじく、この世界の魔法をも凌駕すると言う。
今魔王城前で暴れてる悪役令嬢の巨大戦艦も、ソレだと言っていた。
「も、もう全部話したろ?い、命だけは…」
「ああ、助けてやろう・・・、命だけはな」
魔王の手の平には目玉に足の生えた昆虫の様な生物がいた。
魔神経と呼ばれるその生物は青年の身体を這い上がっていき、
耳の穴から体内に入った。
「や、やめ・・・!」
最初はじたばたと抵抗するが、魔王配下のオーク達に抑えられて身動きが取れない。
そして数秒も経つと抵抗をやめ、ぐったりと脱力した。
「マオウ様、ゴメイレイヲ…」
人形の様に意識を無くした青年は、もはや魔王の従順な奴隷そのものであった。
「どうですかな魔王様、吾輩の開発した魔神経は?」
学者風の骸骨の彼の名は魔導学者ロデオン。
アンデッド族の長にして魔界の賢者である。
彼の作りだした魔神経は虫型の洗脳装置である。
「ああ、これで現代とやらに行けるというもの」
「それが魔王様、こ奴のタブレットとやらが壊れている為、
一度現代に行くのがやっとかと…」
「…まあいい。現代とやらで戻る方法を見つければよい」
「魔王様とはこのタブレットと魔王様の使い魔を通して会話ができます」
「では現代とやらを征服しに行くか!」
ロデオンがタブレットを操作すると門の様な光の輪が現れた。
魔王は精鋭の部下を引き連れ門を通ると、現代という異世界に逆転移した。