孤児の僕に何の用?
なろう小説初めての投稿なので
至らぬ点が多々あると思いますが初めてなりにのんびりやっていこうと思っています。
歴史が絡んでくるので調べてはいますが間違っていたらすみません……
これはイタリアの15世紀末葉から16世紀初頭にかけて起こった出来事である。
芸術の天才と呼ばれる''アメデオ''は元々は捨て子として孤児院に暮らしていた。
何故孤児だったアメデオが芸術の天才と呼ばれるようになったのか……
それは身体が弱い愛娘を思う一人の男''ダヴィデ''と出会うことから始まるーーーーーーーーーー
1480年フィレンツェ
こんなに静かに起きたのはいつぶりだろうか。
いつも腹を殴られ叩き起されていたのに何故だか今日は腹も痛くないし殴ってくるアイツらも見当たらない。それどころか雑魚寝しているはずなのに誰一人として僕の他に誰もいなかった。
「マット……マット起きなさい」
目の前にいるのは、シスター…ではなく僕にとってはサタン……いやアスモデウスと言うべきか、とにかく僕にとっては悪魔のような人だ。悪魔は引きつった笑顔で僕が先程まで被っていた薄い毛布を剥がしとっていた。
「はい、シスター……起きています」
「マット、貴方に会いたいと言うお客様が来ています。直ぐに支度を」
「……僕に?」
昨日アイツらに無理やりリンゴを盗むように言われて盗んだけどそれが店主にバレたのだろうか。
それとも先週裏に住んでる僕を見下してバカにしてくる金持ちの子供にムカついて孤児院の窓から泥団子をぶつけたことがバレたのだろうか。
それとも……もしかして…。
分からない、そんなことを考えたらキリがない。
とにかくまずは先に支度をしなくてはならない、出なければ悪魔に何をされるか分からないから……
支度と言ってもいつも同じ服を着るだけで何も整えることがない……とそんなことを思っていたが、悪魔が渡してきたのは真新しい青に染められた綺麗な服だった。
「今だけこれを着なさい」
何か聞かれたくないのか僕にだけ耳打ちをしている。
僕は何となくこれから会う人が高貴な方なのだと察することができた。
『今だけ』それは何を意味するのだろう。
お客様が帰ったあとはまたあの薄汚い服に着替えさせられるということなのだろうか。
そうだ。今だけ、今だけこの綺麗な服を着ることもお客様とお茶菓子を食べることも許される。
「着替えたらこちらに来るように。」
「はい…シスター。」
肌触りの良い袖口を通し僕は悪魔とお客様の居る部屋の戸を叩く。
「……し、支度が出来ました。」
「お入りなさい。」
ギィッという鈍いドアの音が響く。
ドアを開いて正面、そこには細身の男が大事な時にしか使わない細密に描かれた花のティーカップを持っていた。ドアが空いたと同時に立ち上がる男。
案外背が高いみたいだ
「君が……マットだね?」
「……はい」
黄金色に輝く美しい髪に一目見ただけで金持ちだとわかる身なりに戸惑いその場から動けなくなる。
こんな孤児の僕に何の用だろう。
男は舐めるようにつま先から頭のてっぺんまで僕の体を見てくる。
「…さあ、ドアの前で立ってないでそこに座って」
「え……あ、…はい。」
本当は行きたくなかった。
この人のように僕は黄金色の髪の毛は持っていないし、いつもはボロ着を着てお風呂は何週間も入っていない。伸びきったボサボサの長い髪の毛はいまも脂ぎっている。
恥ずかしい。そういった感情はとうに無くなっていたはずなのに…
「マット、座りなさい」
「…はい」
悪魔が鋭い目で僕を睨みつけた。
男の座る席の向いに座ろうとすると男は横の角の席に座るよう僕に促す。
「初めまして、私の名前はダヴィデ・シレア。朝早くに突然訪ねてすまない」
「ダヴィデ……?イスラエル王の名と同じ…」
「あ、あぁ…そうなんだ。よく知っているね…まあそうか、うん……良い名ではあるんだが少し照れくさくてね、是非私の事はダヴィと呼んでくれないかな…?」
そう言い''ダヴィ''は手を向ける
握手を求められたが僕は手を出せない。
だが貴族に差し伸べられている手を取らないのも失礼にあたってしまう。
横目でシスター……悪魔がどんな顔をしているのか確かめる。
今日に限って悪魔が何を考えているのか分からなかった。
僕が手を出そうか出さないか迷っているのに気づいたのかダヴィは手をひく
「えっと……もう一度確認するが君がマットだね」
咳払いをし本題に入る体制をとり始めるダヴィ。
「えっと…はい。」
「マット……狂人…ね。なかなか君のご両親はセンスのある名前をつけたようだね」
ダヴィは少し呆れたような顔をしている。
「いえ、僕は捨てられた子なので……名前は誰がつけたのかはわからないんです」
「……そうか。ご両親と1度もあったことがない?」
「……え?はい、…そうですね」
「わかった、では何も問題は無い。逆に私には都合がいい」
「何がですか?」と聞く前に悪魔が話に割り込んでくる。悪魔は何かこれから自分にとって都合の悪いことが起きると分かっている顔をしている。
「シレア様!…マットの気持ちをお考え下さい。マットは生まれた時からこの場所で家族みんなに愛されて育ちました。」
孤児で頭の悪い僕にでさえ何の話をしているかすぐに分かった。この男ダヴィは僕を養子に迎えようとしてくれようとしている。
「ええ、勿論。彼の気持ちも聞きますとも」
悪魔は強ばった顔が綻ぶと思えば僕をみて「答えはわかっているだろうな」と言わんばかりの表情をしている。
何が愛されて育っただ。死なない程度のご飯しか貰えず30人もいる孤児をシスターひとりでやって行けるはずもなく僕は奴隷状態。
僕が居なくなることで国からの援助が減るから僕がいなくなることを嫌がっているんだ。
どんな理由なのかは分からない、どこかで僕の姿を見て愛着を持ったのかもしれない。
それとも……もしかしたら優しい顔とは裏腹に彼も僕を奴隷にしたいのかもしれない。
「……あの…孤児の僕に何の用が……?」
「実はね……私は君のパトロンになりたいと考えているんだ。」
「パト……ロン?」