事件の調査
世間を薄気味悪い不安に陥れている謎の不審死事件。
自殺にしては不自然で、他殺にしてはそれらしき証拠が無い。
その事件の真相を探ろうと贄村囚は、部下である夢城真樹と緑門莉沙に情報収集を命じていた。
もしかすると一連のこの件も、天帝の手の者が仕掛けた謀略かもしれないからである。
「こういうのは探偵の鬼童院さんの仕事だと思うの」
真樹は不満を口にする。
「……何かわかったことはあるか?」
贄村は真樹の言葉を無視し、訊いた。
「被害者?っていうか亡くなった人達はなんか高齢の人が多いみたい」
真樹が答える。
「わたしの調べたところも同じだった」
莉沙も贄村に伝えた。
「ということは、年齢が何か関係してるんじゃないかしら?」
真樹が二人に意見を訊く。
「でも死因や亡くなってる場所がバラバラで……。刃物で斬られたような人や鈍器で殴られたような人。何かで射られたような人から、ロープで首を絞められたような人まで。亡くなってる場所も自宅の人もいれば仕事場、買い物先までいろいろ。死に方がとても年齢が共通の原因とは思えないよ。って言っても、わたしも今のところはこれぐらいで、大したことはわからなかったけど……」
莉沙はそう言うと腕を組んだ。
「まあ、小さな情報でもチリが積もればアルゼンチン……あれ、違ったっけ?」
真樹が首を傾げた。
莉沙は白けた目で真樹を見る。
「恐らく死んだ者にはまだ明らかになっていない共通する条件が必ずあるはずだ。それを探り出すまでは調査は続行する。それに天象舞や天園司、他の連中の動きにも注視しろ……」
黒い大椅子に腰掛けている贄村が、鋭い目つきで真樹と莉沙に告げた。