表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理の悪魔∨情の神∧新世界の先導者《エバンジェリスト》  作者: 歩夢図
幻想と平等の女王編
213/245

神の鼎談

 情の新世界を目指す天園司あまぞのつかさ福地聖音ふくちきよね砌百瀬みぎりももせの三人は、拠点のサクラメント人生相談所があるマンションの一室に集まっていた。


 それぞれソファーに座り、聖音が入れたローズヒップティーを飲んでいる。


「ってわけで、ムカつくやろ? 夢城真樹ゆめしろまきのヤツ、わざわざ邪魔をしにうちのいる児童館に働きにきたんやで」


 聖音が眉を吊り上がらせながら最近起こった出来事を二人に話していた。


「ごめん、きよねっち。わたしがあいつにきよねっちの働いてるところを教えたばかりに……」


 聖音の怒りのきっかけを作った百瀬は恐縮している。


「ううん、百瀬は全然悪くないねんで。まさか同じところで働きにいくなんて、まともな人間なら思わへんもの。ただ真樹の頭がおかしいだけやねん。ほんま気にせんといて。それにしてもアホの行動ってのは読めへんで」


 聖音は百瀬を傷つけまいと庇う。


「そうです。聖音の言うとおりです。百瀬さんが気に病む必要はありません」


 ティーカップから口を離した天園が言った。


「ほら、司も言うてるやん」


 聖音も同意する。


「あの連中はとにかく他人同士で競い合うことを煽り、人々の間に格差をつけ、憎しみの連鎖を起こそうとする者達です。聖音に喧嘩を売るような真似をするのも必然のことでしょう。人は心に余裕が無ければ他人を思いやることはできません。あの連中をのさばらせない為にも、また情に溢れる人達を救う為にも、一刻も早く新世界を創世しなければなりません」


 そう言うと、天園はゆったりと足を組んだ。


「でも純真じゅんまさんも小咲芽こさめちゃんもうちらを裏切ってしまったし、そのせいで仲間が減ってしまって戦力ダウンやし、どうすれば……」


 聖音が潤んだ声で言う。


「あの人達も悪魔の手先の変な思想に取り憑かれ、闇に堕ちてしまったようですね。可哀想ですがいずれ大きな災厄に見舞われることでしょう。なんとか自分達の愚かさに気づき、心を入れ替えてくれれば良いのですが……。ただそれまでに我々はあの人達の代わりとなる新たな同志を募らねばなりません。それに関しては私にも策があります」


 天園は深くソファーに腰をかけ直す。


「なになに?」


 聖音が訊いた。


「今、話題の仮想世界、メタアースを利用するのです」


「……メタアース? なにそれ?」


 聖音が首を傾げる。


「知ってる! インターネット上に作った仮想世界でしょ。自分のアバターを使ってその世界の中で他の人と交流したり、ケロコインってその世界のお金を使って買い物をしたり楽しむの。色々とできるようになってきてるんだよ。わたしもメタアース界のアイドルの先駆けになろうと思って、もうアカウント持ってるし」


 百瀬が聖音に話した。


「で、その世界でうちらは何をするん?」


「まずは情の新世界のモデルとなるような世界をそこで創ろうと思います。言うなればプレワールド的な」


「なるほど。リアルで上手くいくかまずはそこで試して、ついでに仲間集めもすればいいわけやね。実際に顔を合わせるわけやないから、気軽にうちらに賛同してもらえそう」


 聖音は膝を叩く。


「私達の仲間である純真さん、小咲芽さんをたぶらかした悪魔の手先の女性は、もうすでにメタアース内の宗教として仲間集めを始めているようです。まずはそれを阻止し、さらに私達の仲間を増やすよう、我々三人が力を合わせましょう」


 天園の呼びかけに、聖音、百瀬の二人は力強い眼差しで頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ