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カフェ内の攻防④

 緑門莉沙りょくもんりさは、カフェに乱入した男達に共に働くメイドが人質に取られ、焦っていた。


「動くな! 動くとこいつらがどうなるかわからんぞ!」


 人質のメイド三人は恐怖から涙ぐんでいる。


(くっ……、どうやって助ければ……、なんとか隙を見つけて……)


 莉沙は頭の中で試行錯誤する。


「ふふん、そんなのであたしがビビると思ってるの?」


 夢城真樹ゆめしろまきは余裕の表情で腕まくりをし、男達に近づこうとした。


「おい! お前動くな! 人質がどうなってもいいのか!?」


 男の一人が真樹の方へ金属バットを突きつけ、人質のメイドの髪の毛を引っ張った。


 メイドの顔が苦痛で歪む。


「別に構わないわよ!」


 真樹が答える。


「ちょっ、ちょっと! まきちゃんなんてことを!」


 莉沙は慌てて真樹の動きを静止した。


「お前達二人もこっちに来て座れや!」


 男の一人が叫ぶ。


 カフェの店内に先行きの見えない張り詰めた空気が流れる。


「……わかった。その代わり、わたし一人が人質になるから、その子達は解放してくれない?」


 莉沙は緊迫した沈黙を破り、男達に申し出た。


 相手の男達は、しばし互いに顔を見合わせていた。


「よし。わかった。人質を解放する前に本当かどうか、まずはお前が両手を上げてこっちに来い」


 男の一人が莉沙に言う。


 莉沙はそれに素直に従い、両手を上げた。


「莉沙先輩! 危ないですわ!」


 真樹が声を掛ける。


「大丈夫だから」


 莉沙は真樹を一瞥しそう告げると、ゆっくり男達へと近づいていった。


 視線の先のメイド達は怯えた目で、救いを求めるように莉沙を見ている。


「よし、手を上げたまま後ろを向け」


 接近してきた莉沙に男の一人が指示を出す。


 莉沙は言われた通りにした。


「さあ、約束よ。この人達を解放して」


 そう莉沙が男達に言い掛けた時、莉沙の脇腹を鈍く強い痛みが襲った。


 どうやら金属バットで殴られたようだ。


「うっ!」


 うめき声を上げ、莉沙はその場にしゃがみ込んだ。


「ああっ、莉沙先輩まで! そら言わんこっちゃない!」


 真樹が驚きの声を上げる。


「ふん、馬鹿か。よし、ポニーテールも人質だ。おい、残るお前も両手を上げてこっちに来い!」


 男は手にした金属バットで真樹を指した。


 どう行動するべきか、真樹は困惑した。


 ここは莉沙やメイド達を犠牲にしてでも本来の悪魔の姿になって男達を倒すべきか、それとも莉沙のように男の指示に従うべきか。


 彼女が思案していた時、突如カフェの扉が開いた。


 店内に誰かが入ってきたようだ。


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