表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/245

正義の実行③

 ミカリンこと雲手魅華くもでみかが率いるBグループのメンバーが襲撃した砌百瀬みぎりももせの足元から、突然煙が湧き上がり始めた。


 火の気配もないのに立ちのぼる煙にメンバーはたじろぐ。


 すると突然、ボンという爆発音とともに大きくカラフルな箱が現れた。


「な、なんだ、これ!?」


 周囲の通行人も驚き、百瀬とメンバーの成り行きを足を止め、固唾を飲んで様子を見ている。


 リボン付きの箱の蓋が開き、何かが這い出してくきた。


 中から現れた物、それは右半分が黄色地に青の水玉模様、左半分は赤と緑のチェックという、なんともサイケデリックな柄の巨大なカブトムシ。


「うわぁぁ! 虫のバケモノ!!」

「この女、いったい何者だ!?」


 Bグループのメンバーは悲鳴を上げ、パニックに陥った。


「何をしてるの! こんなのこけおどしよ! 正義の為にやってしまいなさい!」


 ミカリンがメンバーに向けて声を荒げる。


 その声に反応して、メンバーの無職万歳が怯えながらも雄叫びを上げ、金属バットを振りかぶってカブトムシの角を殴りつけた。


 だが角は硬く、カブトムシはツノを振り上げ、何なく金属バットを弾き飛ばす。


「うおっ!」


 無職万歳は驚きの声を上げ困惑していた。


 そんな無職万歳に続き、残りの二人もハンマーを構えてカブトムシに挑もうとする。


 だが二人は足が竦んで動けない様子だった。


「どんな信念があるのか知らないけどね、暴力で他人を従わせようなんて最低よ! わたしはみすみすやられたりなんかしない!!」


 百瀬がメンバーに対して怒りを露わにする。


 だが、彼女のその怒りが隙を生んだ。


 百瀬がおののくメンバー達に気を取られているその間に、ミカリンは百瀬に向け金属バットを高速で投げつけた。


 金属バットが百瀬目掛け鋭く飛来する。


 だが、百瀬は自分に向かってくるバットに感づき、反射的に素早く腕を十字に組みガードした。


「いっ、痛〜!!」


 防御したものの、金属バットが当たった腕の激しい痛みで百瀬がうずくまる。


 それと同時にカブトムシの動きも止まった。


 蹲る百瀬に、彼女の死角から常人ではあり得ない飛躍でミカリンが飛び蹴りを食らわした。


 ミカリンが履いている靴の高いヒールが百瀬の後頭部に食い込む。


 同時に百瀬は勢いで額をしたたか地面のコンクリートに打ち付けた。


 ミカリンは怒りの形相で、倒れている百瀬の頭を何度も踏みつける。


「何してるの! アンタ達もこの女をやるのよ!」


 ミカリンの様子を唖然と見ていたBグループのメンバーは、ミカリンの呼びかけで我に返ったように慌てて鈍器を手し、百瀬の元へ駆け寄ろうとする。


 ミカリンが早く己の内に溜まった焦りと怒りを百瀬を傷つけることで解消し、彼女のとどめをメンバーにやらせようとした時だった。


「もうその辺にしたら? 雲手魅華さんよ」


 ミカリンを制止する男の声が聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ