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神の事情聴取

 サクラメント人生相談所の事務所内で、福地聖音ふくちきよね狼狽うろたえながら電話をしていた。


「小咲芽ちゃん、一体どういうことなん!?」


 神側の先導者である砌百瀬みぎりももせから、同じく先導者の南善寺小咲芽なんぜんじこさめ成星純真なりぼしじゅんまが、悪魔側の先導者、天象舞てんしょうまいと手を組んで新世界を目指そうとしているという話を聞いたからである。


『聖音お姉さま、ごめんなさい。でもわたくし、舞さまのお考えに共鳴したのです』


「共鳴って、あいつは悪魔側の人間やで!? 人が幸せになる新世界なんて絶対創られへんで?」


 聖音は問い質す。


『舞さまは人々が対立することないよう無限の多様性を認めて、みんなが平等に生きられる世界を目指しています。それこそが人の幸福、そしてそれができるのは人の愛とおっしゃっています。その説得力のある教えに、わたくしとても感動したのです』


「そんなん、うちらやって多様性認めて全ての人が幸福に生きられる世界を目指してるやんか!」


「でもお姉さま達は、無限の多様性は認めてらっしゃらないと思います。実際、悪魔側の人達と対立して排除しようとされてるではありませんか」


「う、それは……」


「舞さまは神側につく人も悪魔側につく人も全てを受け入れて、理と情の両方を取り入れた愛の世界を創ろうとされています。人々が対立しないように、この考えをもっと世の中に広めるちからになりたいと思っています。実はわたくし、お姉さまもいつか一緒に活動してもらえることを望んでいるんですよ。そのときはまた御連絡くださいね」


 そう言って小咲芽は電話を切った。


 事務所で一人、呆然とする聖音。


 やがてドアが開き、相談所の所長、天園司あまぞのつかさが帰ってきた。


「ツカサ!」


 顔を見るなり、聖音は涙声で彼の元へと駆け寄る。


「どうしました?」


「小咲芽ちゃんと純真さんが……」


 聖音は声を詰まらせながら、顛末を話す。


「うちが……、実力不足なばっかりに説得できんくて……、二人に迷いが生じて繋ぎ止められんかった……」


 聖音は天園の胸に顔を埋めて嗚咽する。


「聖音、貴方の実力不足ではありません。悪魔がまた人の心を惑わすようなことをしたのです。きっといつかまた、私達の思いが伝わるチャンスが来るでしょう。その時まで待ちましょう」


 天園は微笑みながら泣きじゃくる聖音の頭を静かに撫で、思う存分泣かせてあげた。

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