表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
145/245

山道の戦い②

 贄村囚にえむらしゅうは身構え、毒水ぶすみず家の執事、黒川くろかわの成り行きを凝視する。


 白い煙に包まれ姿を消した黒川。


 やがて煙が晴れると、そこにあったのは巨大な心臓のような物体だった。


 色は右側が白、左側が黒のツートンカラー。


 その心臓には楕円形の頭があった。


 その頭には、丸くぎらついた目玉が二つと鋭い牙が生えた口が付いている。


 頭はミミズのような胴体で巨大な心臓と繋がっているようで、やがて贄村へと向かって、前へと伸びて出てきた。


 黒川が変化した醜悪な怪物。


「我は天帝の護法者ごほうしゃにして、終末を進める第二の刺客『ろりめく衆愚を平定する者』」


 怪物は頭をもたげる。


「それが貴様の正体か……」


 贄村は睨みつけた。


「この出来損ないの世界において、人にとって悲しみのみならず愛すら苦しみの原因。ならばこの世界を消し、平等に救ってやることが人の幸福ではないか。にもかかわらず、先の戦いでは天帝の意思に背き、神と悪魔、対立する者同士が手を取り合い、この世界を残す選択をした。対立する者が互いに手を組めば、どうなるかわかっているのか。より強大な力となって独裁を行うだけだ。そんなこともわからぬとは、どこまでお前達は愚かなのか」


 黒川が変化した化け物は饒舌じょうぜつに語る。


「……言いたいことは、それだけか?」


 贄村が答えた。


「平等より秩序が大事と言うのなら、人間の幸福にとって脅威となるお前達を、まずは先に排除してやろう」


 怪物は贄村に襲い掛かろうと、牙が生えた口を大きく開いた。


 贄村は右手の握りこぶしを胸元にあてて、マントを広げるような仕草で腕を大きく払う。


 次の瞬間、顔の右半分は赤く鋭い目をした黒山羊、そして左半分は大きく目を見開いた鹿のような姿の怪物に、贄村は変化した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ