表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/245

邸宅内の戦い①

 夢城真樹ゆめしろまきが変化したリリスを見て、毒水紗羽ぶすみずさわ憲慈けんじの兄妹は驚きから、口を開け目を見開いていた。


 小刻みに震えてもいるようだ。


「ええい! オレ達の邪魔をするな!」


 憲慈が恐怖を打ち払うように叫ぶ。


 その叫び声を合図に、応接間の床からどす黒い腕が無数に現れた。


 その腕はぐいぐい伸びて、リリスを粛清しようと足を掴んでくる。


「小賢しい!」


 リリスは鋭角で硬い自身の腕を手刀にし、まとわりつく黒い腕を薙ぎ払っていった。


 それでもリリスを異次元の彼方へ引き摺りこもうと、次から次へと幾本もの黒い腕が床から生え、襲い掛かる。


 応接間の床に積み上がる刈り取られた腕。


「ハッ!」


 流石に、このままでは際限がないと思ったリリスは、両手を広げ高速で回転すると、竹とんぼのように宙を舞った。


「逃すか!」


 響く憲慈の大声。


 黒い腕はさらに伸びて、浮いているリリスを追いかける。


 室内が無数の伸びた腕で満たされてゆく。


 このままではいずれ拘束されると察したリリスは、高い天井に吊るされているシャンデリアを切り離した。


 そのシャンデリアを今度は、背中合わせで互いの身体を密着させている紗羽と憲慈に向けて、力強く投げつけた。


 兄妹の奇能きのうであるカルネアデスの板が、二人を守るように阻む。


 奇能のその板はガラスの破片に塗れた。


 リリスは、兄妹の視界を遮っているその板に目掛け突進すると、強烈な蹴りを叩き込んだ。


「きゃあ!」


 紗羽が悲鳴を上げる。


 リリスが蹴った板が紗羽と憲慈に打ちつけられた。


 互いに密着していた兄妹は、勢い余って板ごと応接間のドアを突き破り、室外へと吹っ飛んだ。


 応接間内で蠢いている黒い腕の動きが止まる。


 リリスも室外へと、二人を追いかけた。


 紗羽達兄妹は慌てて立ち上がり、リリスから逃げようと、狭い廊下から広いエントラスホールへと向かった。


 だが緊張からか、ホールまで来た時、紗羽の足がもつれて彼女は転んでしまった。


「紗羽!」


 憲慈が手を差し伸べる。


 その隙にリリスは二人を追い詰めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ