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次縹

作者: 名種みどり

 次縹という色を最近知った。夕方の空の、赤く染まっていないところの色みたいだ。


 高校の帰り道、次縹を見上げる。いつもの坂を登る。

 今日も、平和で退屈な一日だ。何も面白くない。


 目の前をアゲハ蝶が横切る。蝶になるのも良いなと思った。何も余計な事は考えず、花の蜜を求めて飛び回るのだ。 

 蝶を目線で追いかけると、次縹に溶けていった。


 太陽を見たせいか、目がじんと熱くなる。目を開けると、私は低い空を飛んでいた。

 ボーッとする頭で、蝶になったのだと直感した。どうせ夢なのだ。ゆっくり景色でも眺めよう。


 鮮やかなツツジは、甘い香りで私を誘う。生憎私は、天邪鬼。ツツジの誘いを断った。


 ヒマワリの蕾に止まった私は、目の前の巨大なクチバシに気がついたときには遅かった。儚い体は、一口サイズだ。


 暗くなった視界は、一瞬で眩しいくらいの光を取り戻した。

 私は高い空を飛んでいた。

 鳥になったのだと直感した。見下げる町は、何故か懐かしく感じた。その景色は、消失点に吸い込まれていく。次縹をがむしゃらに追いかけた。


 突風に煽られた私は、いつもの坂を歩いていた。さっきまで私の後ろを着いてきていた退屈は、いつの間にか消えていた。


 楽しい夢だった。


 目の前の花壇、植えられたヒマワリに蝶が止まっている。それを鳥が狙っていた。

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