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『春の肌』と『チョッキ』
春の訪れとともに、想い出も蘇る。
薄桃色の花びらに、ひとつひとつの写真が映りこむように。
一緒にいたのは、何年前のことだろう。
読むのを楽しみにしていた文章は、あなただけのもの。
自由にしていいのだと思っても、寂しい気持ちには変わりない。
こんな歳になったのに、まだまだ子どもだなあと苦笑い。
幾つめの春なのだろう。
私自身が、桜になれば。
春を迎える気持ちを、理解できるのだろうか。
蘇る想い出も、この身体に映し出せるのだろうか。
冬を耐え、春を待っているのだろうか。
それとも音沙汰を、待っているのだろうか。
『春の肌』
『チョッキ』
チョッキを愛用している。
チョッキって知ってる?
腕が回しやすくて、動きやすい。
軽いから、着ていて肩が凝らない。
それなのに、ぽかぽか暖かい。
花冷えの季節には、重宝する。
チョッキで十分って時がある。
オシャレにはほど遠いかもしれないけど、
チョッキっていう言葉の音は、最高に可愛いよね。
音を楽しんでいるフシもある。




