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『音楽を奏でることが』
『音楽を奏でることが』
雨降りの日
傘をさして外へ出る
ぱた
ぱた
ぱたた
張りのある傘を
そっと叩く音
音楽のようで
楽しいようで
わざと大きなどんぐりの木の下へ
ぼたん
ぼたん
ぽたた
少し大きな雨粒が弾き散る
それは音楽の奏
傘の柄を持つ手に響き
心を楽しませるピアニスト
音楽を奏でることこそが『自然』
それがもう
豪雨なら
音楽なぞ関係ないなどと
我関せずと
遠慮なく趣ある音は
かき消され
吹き飛ばされるような爆風と
痛みだらけの横なぐりの激雨
傘を持つ両手
離せばいっぱつアウト
あちこちを殴ってはまわり
殴ってはまわり
いつかの嵐のように突然襲ってきて
甚大なる害を引き起こす
猛き大雨は
曇天雨天どころではない
だが知っているのか?
怒り狂った神のように
振る舞うは愚者のすること
豪雨め
全てを溢れ返そうとし
全てを沈めようとし
全てを持ち去ろうとする
それらの全ては
愚者のすること
神ならば
やってみろ
音楽を奏でることこそが『自然』
豪雨よ
悔しいなら
奪うのではなく与えてみろ
おまえに音楽が
奏でられるか?
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※ 造語を用いています




