表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/52

『モッコウバラ』と『始まったんだね』と『泥濘に爪先』


『モッコウバラ』



また今年も咲いている。


ただの黄色とも、淡い色とも、儚い色とも言えない、薄黄色。

モッコウバラの色。


その優しい色合いを見ているだけで、

ぽろぽろとほぐれていく。


蔓を這わせて、金網を絡め取り、覆い尽くす花だ。


その薄黄色が大好きなのに、近寄って香りをかいだこともないのが寂しい。


どんな香りがするのだろう。


来年こそはと、意気込むけれど。

近寄りがたい雰囲気に負けてしまうんだ。


その気高き姿と、


ちょっと恐くて近寄りがたい、ご近所のおじさまに。





『始まったんだね』



ああ、学校が始まったんだね

色とりどりのランドセルを揺らし

坂道をおりていく


ああ、私も書かなきゃ

同じようにね、エンピツを揺らして






『泥濘に爪先』



どんな家にも、

さまざま事情がある


それは色彩に富むようにもみえて

実は一色


どんな住人にも、

さまざま荷物がある


それは見た目ではわからない

中身を持つ


時々

単純と複雑を背負ったまま


沈んでいく

沈められていく


泥濘に

爪先









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] モッコウバラは、少し咲くより、生い茂って咲いた方が、華やかで綺麗ですよね。 上手に仕立てている庭など見かけると、そこだけ世界観が違うくらい美しいです。 モッコウバラみたいなおじさまなのかな…
[良い点] 季節を感じる素敵な詩ですね。 「ちょっと恐いおじさん」 に、くすっとしました。 真ん中の詩、実感が伝わってきて好きです。 そうそう、今年は今日からなのですよー。いろいろなことが動き出すと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ