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 あの後、無事に先生を振り切る事が出来た俺は、ようやく教室前にたどり着いたのである。

 ‥‥‥とはいえ流石の俺でも、やはりちと緊張するな。

 もう少しで昼休みだし待っていてもいいのだが。それじゃあインパクトが薄いんだよなぁ‥‥‥。


 転校生+遅刻+授業乱入!

 で、新クラスメイトな連中の記憶に、俺の姿を強烈に焼き付けた方が後々の話のネタにもなるだろうし。

 やはり今直ぐ入るべきだな!

 思い立ったが吉日とは正にこのこと!




 ガラガラガラッ! ピッシャーン‼




「やあ‼」

「なっ、なんだね君は!?‥‥‥いや本当に、誰だね?」




 ちなみに、この老教師の「なんだね」は「なん」で上がって、「だね」で下がるタイプの「なんだね」だ。

 まあ、どうでもよかったな。


 教室に入るなり辺りをジロジロと見回す俺。当然だが新クラスメイトな連中も俺のことをジロジロ見ている!

 これはアレだ。

 信号で停車中の満員バスの乗客を歩行者がジロジロ観察していたつもりが、逆にバスの大勢の乗客に一斉にジロジロ観察されているのに気付いてしまい、まるで視姦されているような錯覚に陥るという状況に酷似しているな!


 おっと! 不良っぽいのがいるし見るからにオタクっぽいのもいるなぁ! いいじゃんいいじゃん!!

 なんかメンヘラっつーか、あれはヤンデレか? なんか気持ち悪い女がいるなぁ‥‥‥。

 おっ、ギャルじゃん! しかも黒ギャル! 年取るとシミが酷いことになるからドン引きするけれども、若い黒ギャルっていいよな! 俺は好きだぜ!!




「‥‥‥あの」




 ん? なんか青白いのがいるぞ。‥‥‥大丈夫か、あいつ?




「あのっ!」




 青白い奴がプルプル震えていやがる。アイツ面白れーな!!




「あ、の!!」




 青白い改め、顔面蒼白野郎が此方を睨んでいる。

 いや違うな。これはもう、睨んでいるというよりも怨敵が如く睨み付けているのだ! ニヤニヤしている俺をな!!

 ‥‥‥成る程。

 そういうことか。




「あの!! おーいっ!! 聞こえてますかー!!」




 このように、先程から俺にしつこく話し掛けて来ているのは、教室の扉に最も近い席の女子生徒だ。




「聞こえてるぜ、ねーちゃん」

「ね、ねーちゃん!?」

「ねーちゃん。一つ聞きたいことがあるんだが‥‥‥いいかい?」

「え?‥‥‥ええ。‥‥‥な、何かしら……」




 よっし! ちなみに「何かしら」の「かしら」は上づっていたりする。




「あいつの名は、何というんだ?」

「あいつ?」

「あいつだ‥‥‥」




 俺はそう言うと、顔面蒼白野郎さらに改め『奴』の顔に指を差したのである。






 ◇






「ああ。彼は‥‥‥生徒会長の藤堂くんよ。一年生で生徒会長になったなんてすごいわよねぇ」

「‥‥‥ほう? ありがとな、ねーちゃん」

「どういたしまして。それに私はねーちゃんじゃなくて『まこと』っていう名前があるのよ?」

「わかったよ、ねーちゃん」

「話聞いてる!?」




 そうか、『奴』の名は『藤堂』というのか‥‥‥。

 クックックックッ、藤堂とやら! 悪いが、俺の印象付けを強力にするためだけに犠牲になってもらうぞ!!

 一年生にして既に生徒会長の椅子に座しているとは大したものだ。さぞかし自分を偽って生きて来たのだろう。

 だが、それも今日で終わりだぜ!!


 恨むのであれば、お前にとっての最悪のタイミングが、俺にとって最高のタイミングだったという運命を呪ってくれや。

 俺は運命論者でもなんでもないがな!!


 ニヤニヤしながら藤堂に近づく俺に、藤堂は驚きと絶望が入り混じったような表情で俺を見上げていた。

 なあ藤堂。今のお前ってさぁ‥‥‥。


 ひょっとしなくても下痢だよな!!

 安心してくれ藤堂! 今すぐ俺がお前を楽にしてやるよ!! 物理的にな!!(ニッコリ)。






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