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 1-1

まるで昨晩の騒動が全て嘘であったかのような清々しい目覚めだ。嗚呼、、、間違いなく寝過ごした。時計の針は9時をとうに過ぎていた。

 転校初日から遅刻。信じられんだろうが、現実だ。

 この失態は変える事が出来ない。漫画じゃあるまいし、時計の針を戻す事など只人に出来やしないのだ。

 だが、俺は焦らないし、慌てない。

 何をしようが遅刻という現実を覆す事は出来ない。であればだ、怒られるのは確定している。それは言い訳というテクニックを用いたとしても回避できない。

 ということはだ、むしろ堂々と遅刻してしまえば良い。

 この世で変える事が出来るのほ自分自身のみ。つまりこの場合の正解は自分自身から遅刻によって生じた罪悪感を払拭するという精神安定なのだ。多分な。




 ‥‥‥九時か、寝坊しちまった。

 まさかの転校初日から遅刻とはな!

 だが俺は慌てない。

 慌てようが慌てまいが、遅刻という事実を覆す事はできないし、慌てて反省しているていを見せようが怒られるという事に変わりはないからだ。


 一分遅刻しようが一時間遅刻しようが、遅刻は遅刻。


 遅刻しなかった、という状態に持っていくことが不可能だと確定した場合、むしろ堂々と遅刻することにより心に余裕を保たせる。

 このことが、遅刻による罪悪感を薄めることに繋がるからだ。

 また、慌てた結果交通事故にでも遭って死んでしまったら元も子もないではないか。


 死ぬことと遅刻することの二択ならば、誰しもが遅刻を選ぶであろう事は明白。

 まあ、遅刻するよりかは遅刻しない方が断然良いだろうが、そういうことを学んでいくのも、学校ならではだしな。


 そんなこんな考えているうちにようやく学校が見えてきたぜ。

 ギリギリ自転車通学を考える距離だったな。

 そうだ。良い機会だし、後で学校に許可証貰ってから帰りにママチャリ買いに行こうっと!






 ◇






「善哉くん! 初日から遅刻って舐めているのかしら?」

「いえ」

「いーえ! 私が新米教師だからって舐めているのでしょう?」

「いえ」

「いーえ!! 私は背も低いし可愛いしで舐められやすいと思ってはいたのだけれども、転校初日に遅刻とはいくら何でも舐め過ぎよ!」




 ‥‥‥残念ながら俺は今、絶賛説教され中である。


 正門をくぐり、ノコノコと教室に向かっていた俺は、135㎝程の珍生物と遭遇してしまった。

 何と、事もあろうに珍生物に不良生徒と間違われてしまった俺は、珍生物に問い詰められた結果、自身が転校生であることを白状してしまう。

 するとどうした事だろうか、俺が転校生であるということを知った珍生物が急に怒り出したではないか。


 驚くべきことに、この珍生物。実は、俺の担任教師であったのである。

 そしてそのまま、珍生物改め担任教師に職員室まで強制連行させられた俺は説教されることと相成った訳だが‥‥‥。




「だいたいねぇ!」

「先生!!!」

「なっ、なによ! 背が高いからって偉そうに!」

「先生は可愛いくありません」

「なっ!?」




 勘違いも甚だしいのだ。

 低身長で可愛いロリババアなど、アニメーションの世界観じゃああるまいし、都合よく存在するハズがないし、需要と供給の観点からしても希少価値を高める為に存在して良い訳がないのである。

 まあ? 先生は新米教師ということに低身長が加勢した結果、百歩譲ってロリはいい。

 が、ババアではない。


 でだ。顔がよければロリでも許される感があるのだが‥‥‥。

 悲しいかな、こう言っちゃあ何だが、先生はまあまあのブスだ。


 致命的なブスではなく、まあまあのブスという所が重要なポイントであり、これは一方的な推測と偏見だが‥‥‥おそらく大学時代にオタサーの姫+肉便器でもやっており、逆ハーレム状態をこじらせたまま教師になってしまったのだろう。

 ‥‥‥可哀想に。

 普通のまあまあなブスの女性は身の程をわきまえているため、もっと落ち着いた大人の女性な雰囲気を醸し出していてもおかしくなく、更に言わせてもらえば、まあまあなブスである自身の顔を生かした魅力を作り出すことに成功している方が世の中には多い。


 しかし先生はもう雰囲気からして魅力の欠片も存在しない。

 後は言わなくてもわかるな?






「あっ、あなっ、あなたはっ!」

「それでは、自分は授業に参加し学生の本分を果たしてきます」

「ま、待ちなさい!!」

「いやどす」

「きいぃぃぃっ!!」




 こうして、俺は逃げるように職員室を後にしたのである。






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