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神様に「やめじゃ」と言われて最底辺転生  作者: TKG
第一章 始まりは最底辺
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第二話 神様の顔も三日まで

 まずい。ええと、よくわからんが物凄く怒っていらっしゃる。あ、謝らないと…。


「はぁ?よくわからんが…だと?ほんとに儂が何故怒っているのか分からんのか」


 え、えーと、さっきまで楽しく異世界談義に花を咲かせていて…そうしたら急に神様が…あ、いや、確かに少し雑談が過ぎたかもしれませんが…。


「ほう…少し?少しのう…」


 え、あれ?もしかして結構な時間喋っちゃってた感じですかね?


「三日」


 えっ?


「三日だ」


 ………三日?72時間?えっ嘘でしょ?


「ああ、すまんな嘘をついた。正確には75時間と少しだ。お主は死んでいるんだ。疲労もなければ眠気もない。腹が空くことも喉が乾くことも無い。肉体を所有しておらんのだからな。今のお主は魂だけの存在のようなものだ。時間感覚が狂うのも分からなくはないが、長すぎにもほどがある」


 え、でも三日?いくらなんでも…すみません、ちょっと信じられないんですが…。


「武器語りが約21時間。魔法語りが長かったのう…約39時間。そこから約15時間ほど喋っておったわけだが、様子を見るにまだまだ話は続きそうだったな。お主、その間に儂が何をしておったか分かるか?」


 えと、僕と楽しく談話を…


「戯れ言をぬかすなたわけ者め!ずっとお主に能力を与え続けておったのだぞ!簡単にほいほいやれるもんじゃないぞ。儂にだって負担はある。神力を付与するのだからな。それもほぼすべてのスキルを最高水準の物を寄越せといいおる。それを長時間に渡って何度も何十回も何百回も何千回も…」


 な、何千回!?俺がそんなにスキルを要求したってことですか…?


「今さら何を当たり前の事を言っている。約70時間目位だったか、お主が儂に要求した能力を覚えておるか?…覚えておらんじゃろうな。『家具に足の小指をぶつけるのを未然に防ぐ能力』だぞ!?しかも最高水準を要求しおって!馬鹿なのか!?なんだ最高水準の『家具に足の小指をぶつけるのを未然に防ぐ能力』ってのは!?どんなにぶつけたくてもぶつけられんのか!?家具が勝手に避けるのか!?どうなんだおい!」


 な、なんだその馬鹿みたいな能力は…。


「貴様が要求したのだ大馬鹿者め!!」


 すみません!ほんとすみません!覚えてないけど色々テンション上がってちょっとおかしくなってたんです!


「その時点で…いや、もっと前の時点で呆れ返ったもんだがな、こうなったら最後まで要求を聞くだけは聞いてやろうと意地になっておったんだが…最後に貴様は何て言ったか覚えておるか?」


 え、最後?たしか…地球に行き来できるようにして欲しいでしたっけ?


「ああ、そうじゃ。これだけ異世界異世界と喚いておったのに、結論が地球も良いから地球にも来させてくれ、だと?儂を便利な道具か何かだとでも思っておるのか?何のために世界を選ばせていると思っているのだ?その世界で出来る範疇の事ならばちっとだけ融通してもよいという制限があるからだ。現代日本に魔法を使えるようにして転生させろなどといわれても承諾しかねるからな。なのにとんでもない能力を抱えたまま世界を越えられたら秩序も平和もあったもんじゃあない」


 それは…たしかに。現代の地球は重火器とかミサイルとか武器は色々あるけど、軍事力と魔法じゃ戦いにならないかもな…。


「同じ理屈で、その世界にあまりにも影響を与えるようなとんでもない能力は取得させないし、転生の際に能力の水準も下げさせてもらう。お主は最初にすてーたすかんすとを望んだのう?あれは反則だ。そんなもんを与えたら一人で世界を滅ぼせる」


 え?そ、そこまでヤバいもんだったんですかあの要求?僕は結構軽い気持ちで要求しちゃったんですけれど…。


「ああ。そうだな…でこぴんで星は崩れ去り、隕石が落ちてもそよ風程度にしか感じない。光を追い越す速さに、世の理の完全把握。無詠唱で銀河系をいくつも破壊する魔法を唱えられ、その魔法の中心でも生きていられる魔法抵抗力。欲しいか?こんなもんが?」


 ………………いや、人間やめたくはないです。


「そうだろう。だからある一定の水準まで能力はあらかじめ下げさせてもらう予定だった。勿論理由を話して納得させた上でな。たくさん選ばせた能力も最終的には二個に絞ってもらう予定だった。他の転生者にも同様の処置を施しておる。安心せい、ある一定の水準とは言うても一般人からすれば十二分にちーとじゃ」


 なるほど。そういう理由があったなら納得せざるを得ないな。何も世界を壊して遊びたいわけじゃないし。

 でもそうか…二個だけ…なのか。


「なんだ?まさか本当に全部の能力を貰えるとか思っていたのか?儂は言ったはずじゃ。ちっとは融通してやるぞ、とな。お主にとっての少しは銀河系を滅ぼせるくらいなのか?ん?それに加えて世界を渡れる能力などと…なんじゃ?お前は神でも殺すつもりなのか?」


 め、めめめめ滅相もございません神様を殺すだなんてそんな罰当たりな発想は…


 えっと、神様って…死ぬの?





 ん?あれ?な、なんでそんな神妙な顔をしているんですか神様?

 いやこれただのジョークというか話の流れから感じた純粋な疑問というか。


 え、どうしたんですかほんと。なんで無反応なんですか?いや、確かにすごい不躾な発言でした。以後気を付けます。申し訳ございませんでした。


 ………お、怒らないでください!ステータスカンストは当然諦めますし能力だって贅沢言いません!長々と話に付き合わせてしまったこととか親しみやすさを感じて生意気な態度をとっちゃったこととか全部詫びますんで


「やめじゃ」


 …え?


「お主には転生特典もチートも魔法も有用な現代知識もなぜかモテる能力もその他諸々の便利能力も全部封じさせてもらう」


 ―――――――――――――――


 回想終了!状況、僕、ピンチ。






 なっ!?ちょっ、確かに調子乗っちゃいましたけど、急すぎません?さっきからちょっと様子がおかしいですよ神様!

 り、理由は!理由を教えて下さい!


「神縛鎖―封絶―」


 疑問の返事は詠唱だった。僕に向けられた神様の手から無数の鎖が伸びてくる。逃げることは叶わず、全身に幾重にも鎖が巻き付いてくる。なんだこの膨大な数は!?数百…いや、それ以上?


 体に巻き付いた鎖が…体に入ってくる!?なんだこれ!痛みは無いけど…全身から力が抜けていく。たまらず倒れ伏すが、お構いなしに鎖は次々と飛んでくる。巻き付いては体に侵入され…さらに力が抜けていく…。


 神様、なんなんですかこれ…何の仕打ちなんですか…。





「ようやく…終わったか。3452個…儂ゃ馬鹿か。馬鹿正直に付き合いおって…封印する手間が掛かるだけだろうに」


 う…僕は…一体どうなって…


「気がついたようじゃな。」


 重たい瞼を擦りながら開けると、そこにいたのは先ほどとはうって変わって柔和な顔つきをした神様だ。元に…戻ったのだろうか。もう怒っていないのか?いまなら理由を聞いても


「では転送を開始するぞい」


 ハッ!て、転送って…異世界に!?


「無論じゃ。楽しみだったんじゃろ?」


 待ってください!ステータスは?能力は?

 本当に何もないまま僕は異世界に送られるんですか!?


「…そうじゃ。」


 な、なんで!?善行の対価って名目は!?確かに僕はちょっとふざけすぎたかもしれませんけど…か、神様も言っていたじゃないですか!こんな一般人が異世界にいったらものの数分で死ぬこともあるって!


「……すまん。死ぬな。なるべく早めに神託という形で連絡する。じゃから…」


 体が光りだす。もう転送が始まっているっていうのか?

 まって、こんなの納得でき―――――――





 眩い光が辺り一面に走ると、先ほどまでいた只野 等の姿は無くなっていた。

 真っ白い空間には只野 等を転送した張本人が一人。転送が完了したことを確認すると、大きく息を吐き膝を折る。表情は苦痛で歪み、必死に右手を抑えている。


(はぁっ…はぁっ…かなり侵蝕されたのう…何なのだあの男は…)


 呼吸は乱れ、額には大粒の汗が浮かんでいる。いまなお苦痛に苛まれている証左であろう。


(完治までに一日はかかるか…転送は完了したが、周辺の安全性の確認まではしてる暇がなかったしのう…それまであの男は生きているか…死んでいるか…ぐぅっ!)


 右腕から黒い光が溢れだすと、苦痛が襲いかかってくる。他人の安否を心配している場合か、と自嘲気味に口端を歪ませる。



「何が『神殺し』だ…ふざけおって」

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