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飲み会でいきなり言われた「おまえ小説書いてるんだって?」

 小説書いては、新人賞に応募したり、WEBに発表したりしている南野海です。

 とはいえ、その事実はひた隠しにしてきました。

 WEB上では、自分の名前や会社の名前、出身校さえ隠し続けてきたので、仕事関係はもちろん、学生時代の友人や、親兄弟すら知りません。


 いや、知らないはずでした。


 ところが数ヶ月前のことです。仕事関係の飲み会がありました。ちなみに、私は建設関係の仕事で、元請けの下、各種業者を使って現場監督をやっています。その場には、元請けの社員と、会社の部長、下請けの職人数名がいました。

 一次会はふつうに終わっていたのですが、二次会でスナックにいったとき、ふとひとりに言われました。

「○×(本名)さん、小説書いてるんだって?」


 いったいなにをいってるんだ、こいつ?


 その事実は誰も知らないはず。だって誰にもいってないし。

 当然、とぼけました。

「ははは。まさか。小説なんて書いてませんよ」

「なんだ、書いてないのか」

 その場はそれで終わりました。

 しかし、いやーな予感が広がっていきます。


 いったい誰がこの人にそんなことをいったんだろう? そしてなぜ?


 なんにしろ、なにかの勘違いだろうと、無理矢理思い込もうとしましたが、やはりそれは甘かった。

 いろいろ席を移り変わったりするうち、現場所長とうちの会社の部長と同じテーブルになると、再び言われました。

「おまえ、小説書いてるよな」

「いやいや、書いてませんよ」

「南野海って名前で?」


「はあっ!」


 馬鹿な。いったいこれはなんの罠だ? なにを根拠に? いや、そんなものはないはずだ。ただのハッタリだ。


「タイトルは、なんだっけ……にゃんにゃんなんとか」


「にゃんにゃんじゃねえ。ねこねこだっ!」


 心の中でそう叫びました。

 そう、私は「ねこねこお嬢様」という小説を書いていたのです。ちなみにそれはカクヨムにも載ってます。

 いずれにしろ、作品名(外したけど)にペンネームまで知っているようでは、ごまかしようがありません。


 思わず笑ってしまいました。


 人間こういうときは笑うものなんですね。話の中で、悪党が正体ばれたときに笑ったりするのは、案外本当のことかもしれません。


「……なんで知ってるの?」


 つい、そう聞いてしまいましたが、所長も部長も答えてはくれませんでした。


 こうして、長年隠してきた南野の正体はついにばれ、いじられる日がはじまったのです(泣)。


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