約束した日
次の週、休みの日に公園に行った。
会えたらいいなと思いながらも、もう会えないかもしれないと不安になっていた。
公園には誰もいなかった。砂場にあったスコップも無くなっていた。
私は帰ろうとした時だった。
遠くから声がした。
「しゃとるおじさーん」
私は振り向いた。
そこには音葉ちゃんとお母さんがいた。
私は嬉しくなって、大きく手を振った。
音葉ちゃんは嬉しそうに走ってきた。
私は
「久しぶりだね。音葉ちゃん。」
音葉ちゃんは
「うん。ずっとしゃとるおじしゃんに会いたかった。しゅべり台やろう!」
私も
「うん!やろう」
音葉ちゃんのお母さんに頭を深々頭をかけた。
お母さんもまた頭を下げ、
「宜しくお願いします」
と言った。
とても音葉ちゃんは元気で、私の体力はすぐなくなった。
私は
「音葉ちゃん、おじさん少し休憩してもいい?」
すると音葉ちゃんは
「少しだけだよ。しゃとるおじしゃんはママのベンチのとこでおとはを見てて」
私は音葉ちゃんのお母さんの横に座った。
音葉ちゃんのお母さんが
「ありがとうございます。あの子の元気な姿、久しぶりに見た気がします。本当にありがとうございます。」
私は
「いいえ、私こそ音葉ちゃんのおかげで、ホームレスをやめて、ちゃんと生きなきゃって思える様になったんです。
…何ていうか、音葉ちゃんには感謝してます。」
そう言って一口お茶を飲み、また音葉ちゃんの元に言って遊んだ。
音葉ちゃんは嬉しそうに砂場のスコップを持っていた。
そのスコップは私が置いていったものだった。
大切にしてくれていたんだって。
私は
「音葉ちゃん、実はおじさんも音葉ちゃんと同じぐらいの女の子の子供がいるんだ。いつか一緒に遊んでくれる?名前はりんって言うんだ。」
と聞いた。
音葉ちゃんはとても嬉しそうに
「うん!ぜったいだよ。やくしょくしよう!」
今日は時間を忘れるほど遊んだ。
そして音葉ちゃんが帰る時間になった。
音葉ちゃんが
「これ、しゃとるおじしゃんにあげるね。りんちゃんがきたら、ゴボッ、いっちょにしゅべり台のぼってたかいところからいっぱいみようねってやくしょくね」
そう言ってアフリカンマリーゴールドをくれた。
私は
「ありがとう。約束だよ。」
と言って指切りをした。
音葉ちゃんのお母さんからも
「また、今度遊んであげてください。今日は音葉の為にありがとうございます。」
と頭を下げて帰っていった。
音葉ちゃんは
「またしゃとるおじしゃんと遊ぶのー。ゴボッゴボッ。またしゃとるおじしゃんに会えるー?」
と嬉しそうに話しながら帰って行った。私はその姿をずっと見ていた。
私はもらったアフリカンマリーゴールドを大切に持って帰った。