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青春withゴースト  作者: シトール
6/17

2-2

 そんな日の昼休みである。

 コロポックルのエージェントと会うのは放課後だが、先に現場を下見しておいても損はあるまい、と言う事で、俺は普段、あまり近寄らない図書室とやらにやってきた。

 図書室は校舎の二階、隅っこにある。

 二階には音楽室や実験室などの特別教室などが並んでいる。それに押し込められるようにして図書室もあるのだが……。

「一年生のオリエンテーションの時以来かな……」

 心なしか他のドアよりも重たい図書室の入り口を開けながら、中へと入る。


 司書の図書委員がこちらを一瞥した。

 図書室は入り口を入ると右手にテーブルと椅子が並ぶ閲覧のスペース、左手に貸し出しカウンターと本棚が並ぶスペースと言う配置になっている。

 昼休み中でも図書室を利用する生徒はチラホラいるらしく、司書と俺以外にも閲覧スペースでは幾つか席が埋まり、静かに本を読んでいる生徒が見受けられる。

 ドア一枚隔てた先の廊下では、騒ぎ立てている声がここまで聞こえてきそうなものなのに、図書室だけは隔絶された空間のようにシンと静かだ。

 俺にはこの雰囲気がどうしても馴染めない。

 別に静かなのは嫌いじゃないし、うるさいのが好きなわけでもないのだが、周りに強いられている静けさと言う感じが好きではないのだ。

 ……いやいや、そんな事はどうでもいい。とにかく、俺はこの図書室をサラッとでも調べたい。そのために怪しまれない行動と言えば、場に馴染む事だ。

 図書室内を歩き回るなら、本を探している振りをすればいい。そうすれば本棚側は難なく調べられるだろう。問題は閲覧スペース側だが……まぁ、そっちもどうにかなるだろう。

 楽観的に考えつつ、俺は本棚側のスペースへと歩く。

 我が吹上高校の図書室は正直言って大した事はない。高校の図書室に変な高望みをするヤツはいないと思うが、それにしても、と思う。

 本棚に並んでいる本は近所の人から貰った本、寄贈本が多く、中途半端に年代が古いモノが多かったりする。しかも、結局は『要らなくなった本』を引き取っているだけなのだ。ラインナップには心惹かれるものはない。

 高校の図書室でありながら児童書の棚が広かったりするのはその所為だったりする。別に漫画みたいな娯楽を主とした本を置けとは言わないが、せめてもうちょっとまともな本を置いて欲しいモノだ。

 そんな奇妙なレパートリーの本棚の中から、俺は『わずか一ヶ月でこの効果! 巷で噂の昼うどんダイエット!』と言う、なんとも胡散臭い上に、元々の所持者であろうおばさんが一ヶ月も続かずに寄贈してきたであろう本を手に取り、本棚スペースの下見を終えた。

 まぁ、本棚スペースにおかしい場所はなかったかな。


 本を持って、適当な席に座る。窓側の席が空いていたから、と、何も考えずに座ったが、日当たりが良くてかなり暑い。読書には向かないな……。

 窓を開けると風が中まで吹き込みそうだし、とりあえずはカーテンでも閉めて、日当たりを防ぐだけで大分変わるだろう。

 俺は音を立てないようにカーテンを閉め、改めて席に座り、本を開く。

 これまた、俺が選んだ本であるのだが、これほど興味のない本を選んでしまうとは思わなかったな。

 しかし、うどんでダイエットか……ほうほう、ふむふむ……。

「ずいぶん、熱心ですね」

 俺が未知の知識に好奇心を満たしていると、静かな声が机の対面から聞こえてきた。

 目線を上げると、文庫本を手にして席に座っている女子が一人。

「おや、蓮野じゃないか」

「先輩が図書室にいるとは思いませんでした」

「最近、よく会うな? まさかとは思うが、俺をストーキングしてるのか!? だったら、堂々と俺の周りをウロチョロしてくれてもいいぞ」

「するわけないでしょ、そんな事。大体、私はいつも図書室にいるんです。珍しくここに来たのは先輩のほうじゃないですか」

 ……確かに。

 蓮野が図書室に足繁く通っていると言うのは初耳だが、俺が図書室に来るのは二年目を迎える高校生活の中で二度目である。蓮野が俺を待ち伏せをするのだとしたら、もっとまともな場所を選ぶだろう。

「先輩、ダイエットに興味があるんですか?」

「ん? ああ、これか。別にそういうわけじゃないんだが……たまに俺は、身体の内にある凶暴な好奇心の竜を抑えられなくなる時があってな。そういう時はいつも読まないような本を読む事で、その竜を鎮めているのだよ」

「……よくもまぁ、そんなデタラメがポンポン出てくるモノですね」

 呆れたようにため息をつきつつ、蓮野は文庫本に目を落とし始めた。読書に集中するつもりか。そうはさせん。

 俺が目の前にいるのに読書なんかさせてたまるか。

「蓮野はダイエットとか縁遠い所にいそうだな」

「おかげさまで、体重は平均より下です」

「身長も低いしな」

「何か?」

 うっ、めっちゃ睨まれた。もしかして蓮野って身長の事気にしてるのか?

 話題の方向性を変えなければ……っ!

「でもうどんがダイエットに使える食材だった事は知らなかっただろう。実はうどんと言うのは白米よりもカロリーが低く、炭水化物も低いんだよ。しかも薬味によって味のアレンジも出来、色々な料理に化けさせる事が出来て――」

「先輩、」

 キッと、鋭い視線が突き刺さる。

 蓮野の切れ味の良い眼光が、俺の口を縫いつけたようだった。

「図書室ではお静かに」

 シーっとジェスチャーつきで注意されてしまった。

 俺は注意された事なんかよりも、蓮野が人差し指を口に当てる仕草がスゲェ可愛い事の方が重要で、悶絶してしまうぐらいであった。

「先輩、本を読みに来たんでしょ。マナーぐらい守ったらどうです」

「いやぁ、別に本を読みに来たんじゃないんだよね」

「……じゃあ、何をしに?」

 ふと、蓮野の目が期待に揺れた気がしたのは、何かの見間違いだろうか?

 しかし、何を期待していたのかまでは読み取れなかったので、とりあえず本音をぼかして吐露してしまおうか。

「実は、ちょっと見学にね」

「見学、ですか?」

「ああ、俺ってあんまり図書室に来た事がなかったからさ。どんな場所だったかな、と思って」

 ギリギリ嘘にはならない範囲だろう。

 蓮野もどうやら俺の言葉を信じたようで、いつものそっけない顔になると、また視線を文庫本に落とした。

「先輩には似合わない場所ですから。とっとと出て行ったらどうです」

「酷い事言うなぁ。俺だってたまには文章の世界に身を躍らせたくなる心持ちになったりするんだぞ」

「くっそ似合いませんから、そういう嘘はやめた方がいいと思います」

「女の子が『くっそ』とか言うんじゃありません」

 誰だ、蓮野にこんな下品な言葉を教えたのは。

 蓮野自身も失言だと思ったのか、少し頬を染めて口を押さえていた。

「失礼しました。ついうっかり」

「蓮野ってば、素はそういう言葉を使っちゃうお嬢さんだったわけ? 先輩はちょっと幻滅しちゃうなぁ」

「ち、違いますよ。今のはそういうのじゃなくて……」

 おや、珍しく蓮野が慌てておる。

 これは面白い。もう少しいじってみようか。

「いかんぞぉ、蓮野ぉ。女の子はいつだって女の子らしさというモノを忘れてはならない。これは男の勝手な押し付けなどではない。女性らしさを忘れた女性とは、蜜をとらなくなったミツバチ、ガソリンを失った自動車、ネットに繋がらないパソコンみたいなもんだ。つまり、アイデンティティの喪失に他ならない」

「何が言いたいか、いまいちよくわかりませんが、とにかく気持ち悪いです」

 ほぅ、いつもの毒舌にもキレがないな。

 いつもの蓮野ならば、『ネットが使えなくてもパソコンは便利な箱です』とか、俺の発言の欠点を言い当てそうなものだが……まぁいい。

 焦って赤面する蓮野はこの上なく可愛いのだから。

「とにかく、今の失言は私の……その、兄の影響と言うか」

「ほぅ、お兄さんがいるのか。一人っ子だと思ってたけど」

「……まぁ、色々あって離れて暮らしてますけど」

「あ、この話題はあんまり突っ込んで聞かないほうが良さそう?」

「先輩が良識というモノを持ち合わせているなら、普通は突っ込んで聞きませんよね」

「ふむ、ここは蓮野の個人情報が一つ増えただけでよしとするか」

「本気で気持ち悪いですよ、先輩」

 うわ、ガチで引かれてるんですけど。流石に傷つくわ。

 これでも蓮野の失言をフォローしてるつもりなのになぁ。

「まぁ、蓮野はゆっくり、読書を楽しむといいさ。俺はこのへんでおいとまするよ」

「べ、別に出て行って欲しいから邪険にしたわけじゃないですよ?」

「おや、俺にいて欲しい? 蓮野は俺に出て行かれたら寂しいかなぁ?」

「……今すぐにでも消えてください」

「そう、それ。その方が蓮野っぽいぜ。一緒に読書するのはまた今度、日を改めてにしよう。それも約束をしない、今日みたいな偶然の出会いがいいね」

 俺の言葉に、蓮野はそっぽを向いて文庫本に目を落としつつも、コクリと頷いた。

 それに満足し、俺はうどんダイエットの本を本棚に戻し、図書室を後にした。

 蓮野と会話中も周りを窺ってみたが、別に変わったところはなかった。

 コロポックルのエージェントとの会合でも変な待ち伏せみたいな事はないだろう、多分。


****


 そして放課後。俺は再び図書室を訪れた。

 時刻は指定されていなかったので、放課後になって大分時間が経ってからだ。

 適当に窓の外から聞こえてくる運動部の掛け声や吹奏楽部の音合わせの音なんかを聞いたり、近所のコンビニに行って雑誌を立ち読みしたり、そんな感じでかなりの時間を暇潰しに使った。その間、およそ二時間。

 外は真っ赤な夕日が燃えている。このままもう少し夕焼けを眺めていてもいいのだが、あまりエージェントとやらを待たせるのも悪いか、と思って図書室に足を向けたのだ。

 これだけ時間を潰したのには、正直あまり意味はない。

 相手の虚を突くのが、目的と言えば目的だろうか。

 こちらを小心者だと思われたくないがための演出である。

 コロポックルのエージェントぐらい、待たせたってどうって事ないよ、と大物ぶって見せているわけだ。完全に虚勢ではあるが。

 ……それと、まぁ、未だに帰ってこない八乙女を探していたというのもある。

 あのヤロウ、いや、女だからアマか。俺にこんなに探させるとは……いつか何らかの形で埋め合わせしてもらわねばならんな。

 八乙女の事はともかく、これ以上、エージェントを待たせておくのも悪いか、と待ち合わせ場所に来たわけだが……。

 ガチャリ、とドアを開けると、電気のついていない図書室が俺を迎えてくれた。

 南向きの窓しか付いていない図書室は、この時間はかなり暗い。閲覧スペースの一角が赤く染められている程度で、普段ならば天井の蛍光灯が点いている時間である。

 誰もいない、のか?

 貸し出しカウンターには図書委員の姿もない。

 しかし、ドアに引っかかっていた札を見る限り、図書室はまだ閉められていない。鍵もかかってないしな。

 異様な雰囲気ではある。だが、ここで尻込みするわけにはいかない。

 折角大物感を出すために時間潰しをしたのだ。ここでビビっていては意味がない。

 俺は大股で一歩踏み出し、グルリと図書室の中を眺める。

 お目当ての人物はすぐに見つかった。

「こんにちわ、遅かったね」

 閲覧スペース、窓際の席に座っていた一人の女子生徒。

 黒髪のボブカットで背筋が伸びている。笑顔でこちらを見ているが、それが作り笑顔だと言うのもすぐにわかる。

 見た事がない……同学年ではないな。

「アンタがコロポックルのエージェントか?」

「違ったらどうする?」

「ここまでお膳立てされてて、違うんだったらコロポックルの程度が窺えるな」

 他に人の気配はない。とは言っても俺に気配を読めるようなスキルがあるわけではない。もし本棚スペースに誰か隠れているなら普通に不意打ちを受けるだろう。

 だが、閲覧スペースには彼女一人のように見える。

 俺は彼女の方へと歩く。

「聞いておきたいんだが」

「なにかな?」

「あなたは先輩かな? 年上ならこれ以上失礼は重ねたくないね」

「ふふ、初対面の人間にはもう少し、かしこまった口調をした方がいいね。人の事は言えないけれど」

 そう言って女子は校章を見せた。

 赤、三年生だ。

「私の名前は……そうだね。今の所は『アン』とだけ名乗っておこう」

「ではアン先輩。早速だが、用件を窺おうか」

 俺は先輩の対面に座る。

 偶然だが、昼休みに蓮野と相席した場所である。

「用件と言うのは、メールでも書いたとおり、君をコロポックルのエージェントとして契約したいんだ。君がエージェントになってくれるなら、それなりの報酬を渡す。当然、コロポックルのために仕事もこなしてもらうけどね」

「一応、選考基準も聞いておきたいね」

「決め手になったのは先日、三年生の男子三人を伸した事かな」

 八乙女が俺に憑依してぶちのめしたあの件か……。

「戦闘力に関しては申し分ないと思っているよ。実はあの三人の内、二人はコロポックルの息がかかってる。コロポックルの認めた兵士を二人も倒せる程度の戦力ならば、エージェントとして囲っておきたくもなるよ」

「暴力案件の処理要員っていうんなら、俺は遠慮しておきたいね」

 実際、そんな仕事があてがわれても、八乙女に頼るしかなくなる。

 俺自身はあまりケンカに自信がないのだ。

 しかし、先輩は首を横に振った。

「決め手は確かに、その戦闘力の高さだったが、私が君を見込んだのは別にある」

「……というと?」

「君、工藤荒太を知っているだろう?」

 工藤荒太。三年生の男子。現在、停学から復帰し、学校に来ているらしいが、会ってはいない。

 彼は俺がタバコの情報をリークした事で停学になった人物である。

「私は彼のタバコの一件、関与しているんだよ」

「どういう意味で?」

「彼のタバコについて、私が教師陣に見逃すように働きかけた、とか」

 ニコニコと笑っていた先輩の顔に、急に影がおちたように見えた。

 タバコを見逃すように、教師に働きかけた?

「冗談でしょ?」

「そう思うかい? コロポックルの交渉能力は教師陣にまで及ぶんだよ。君だってそれぐらい知っているでしょ?」

 確かに、それは知っている。

 だが……俺はまだ、コロポックルがどこか『陰に潜む正義の味方』的なイメージだと思っていたのかもしれない。

 校則、いやさ法律に触れるような案件を、まさか擁護する立場にも属していようとは。

「じゃあ先輩は、工藤先輩がタバコを吸うのを助け、それがバレないように教師に圧力をかけてた、って事ですか?」

「そんな大それた事ではないけどね。工藤くんには教師が見回りをしないような時間と場所を教えて、持ち物検査のタイミングも教えておく。教師には工藤くんがヤバい事をしている時間に、彼の尻尾を掴まないようなスケジュールを組んでもらう。それだけ」

 それだけ、と言葉では簡単に言うが、結構な仕事である。

 吹上高校で働いている教職員は何十人もいるのだ。大げさに言えば、そんな数の人間の行動を管理し、自分の思った通りに動かしているのである。

 この人、一体……。

「でも、君は私の仕事を邪魔した」

「……っ!」

 アン先輩が、俺を真っ直ぐ見ている。

 貼り付けられた作り笑顔が、俺を威圧しているように思えた。

 だが、気圧されるな。気持ちで負けていては交渉は立ち行かない。

「勘違いしないで欲しいんだけど、私は君の事を評価しているんだよ。私の予定では工藤くんは今も見つからず、元気にスパスパ喫煙しているはずだったんだ。それが……君のお陰で喫煙がバレ、今年中に控えた受験も危うい」

 自業自得ではあろうが、学生が喫煙すると言う事はそういう事だ。しかも学内でバレたというならば、教師陣の内申点にかなり響くだろう。

「工藤くんはね、ああ見えて結構優秀な男で、成績も悪くなかった。大学だってそこそこの選択肢があったんだけど、君のお陰で全部パーだよね」

「俺は別に、悪い事をしたとは思ってませんけどね」

「それで良いよ。それでこそ、だ。でも、私が気になるのは、君がどうやって工藤くんの喫煙を知ったのか、と言う事だよ」

 先輩は椅子の背もたれに身体を預け、天井を仰ぐ。

「何度確認しても、あの時、工藤くんが喫煙していたのを確認する術はないはずなんだ。それなのに、君は何故かそれを知っていた。工藤くんの名前も知らなかったのにね」

「偶然見かけたんですよ。それに、工藤先輩の制服からタバコの臭いがしましたし」

「彼が喫煙している現場を偶然見ることはほぼ不可能だ。これは私が図ったのだから、それなりに自信もある。それに彼の制服はいつでも煙の匂いがするよ。彼は両親がヘビースモーカーだから、と言っていたようだけどね。それに第一、――」

 またニッコリと笑いながら、先輩は俺を見据える。

「私の知る限り、君は臭いをかげるほど彼に近付いていない」

 どうやら、全てお見通しか。

 だが、俺が幽霊の力を借りて情報を収集しているとは思うまい。

 これを正直に話したところで信じてもらえないだろうし、どうしたものかな。

 ……と、俺が返答に悩んでいると、アン先輩は息を抜くように笑って口を開く。

「別に、君の情報源が何であろうと構いはしない。その情報が正確であるなら私もコロポックルもそれでいいんだ」

「俺が工藤先輩のタバコ情報を拾ったのは偶然かもしれませんよ?」

「だから、君をテストしたいと思ってね。コロポックルに入団するための試験だと思ってもらって良い」

 そう言って先輩がポケットから取り出したのは、銀細工。

 どうやら四葉のクローバーをモチーフにしたキーホルダーのようだが……。

「これがなにか?」

「これは今、この学校だけでなく、近所の高校、中学でも流行ってるキーホルダーでね。何でも願いが叶うアクセサリーとか呼ばれているらしい」

「キーホルダーってアクセサリなんですか?」

「バリエーションは幾つかあるらしいよ。簡単なブレスレットやネックレスもあるらしいが、モチーフは全て四葉のクローバーだそうだ」

 今朝、八乙女が言っていたヤツだな。まさかこんな所でお目にかかれるとは。

「このシリーズ、ウチの学校でも結構流行っててね。盗難騒ぎまで起きてるくらいなんだ。コロポックルにも幾つか盗難事件を解決して欲しいって依頼が入ってきたりしてるんだけど、君にはその一件を解決してもらいたい」

「解決……盗まれたアクセサリを探し出せば良いんですか?」

「そうだね。盗まれたアクセサリーの在り処を割り出す事、盗んだ犯人を見つけ出す事、出来れば取り返すこと、その辺りかな。これを解決出来れば、晴れて君はコロポックルのエージェントだ」

 試すようなアン先輩の作り笑顔。

 俺は、その挑戦に――乗った。

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