俺、ひとはだ脱ぐ
「一、公正人とは、代理戦争の中間的位置であり公平に審判をしなければならない者である」
「ニ、公正人となった以上、代理戦争には必ず地域、地区内での限定的なルールを作らなければならない」
「三、当事者が代理人を決めた場合、代理人はその代理戦争を拒否する権限を持つ事を一度だけ赦される」
「四、代理人には己が持つ能力であれば何を使用しても可能、財力も武器も己の力で扱えるものならば有効とする魔術も然り」
「五、代理戦争の決着は相手が死亡するか当事者が公正人に戦争の敗北を宣言するかの二択である」
「六、代理人の力量は必ずしも公正人に通達すべし、魔術、財力、武器、能力等もこれに該当する」
「七、代理人の力量差が圧倒的に不利な場合、不利なほうに相手の代理人の情報を教える」
「八、代理人同士で起きた戦闘によって破壊された建造物や部外者は公正人が責任を持つ事とする」
「九、法則「ニ」でルールを破った場合一つのペナルティを与える、ペナルティが三つ重なった場合、その代理人は敗北とする」
「十、ルールを守って楽しく代理戦争をしましょう」
「出来るかぁあああああああああああああああああああああ!!」
郵便局の奥にある更衣室で、俺は冠之公正人が出した代理戦争のルールにツッコミを入れた。
アイアンメイデンはまたかと呟き、耳を塞いで俺の声を遮断する。
冠之公正人は何がいけないのか分からないと言いたそうな顔で俺を見る、やめろ、そんな目で俺を見るな。
それに何がいけないのか?なら教えてやるよ。
俺がツッコミを入れたのは、最後の十番だ。
「 十番以外はまだいい、ちゃんとしたルールっぽい感じだ、だけどな、最後の十番はふざけてるだろ!! 」
そう、最後の十番だ、なんだルールを守って楽しく代理戦争をしましょうって。
こっちは命懸けでやってんだよ楽しむ余裕はないんだよ。
「ふぅむ……ではこうしましょう」
冠之公正人は声色を変えて、渋い声で新たな十番目のルールを口にする。
「十、以上を持って全法則の決め事を守り、興を得ながら代理戦争を行う事とする」
「言い方変えただけじゃねぇか!! ただ単純に十番を消せ!! これ以降の代理戦争に十番の項目を出すな!! 」
更衣室に響く金切り声、その声のせいか郵便局へ繋がる扉がガタッとなった。
聞く耳立てんなセキリュティガバガバじゃねーか。
「ゆうへい、何をそんなに怒っているのですか? 」
「俺は早く取りやめたいんだよ!! 今さっき聞いたルールにゃ、代理人は代理戦争を拒否する権限があるじゃねえか」
三、当事者が代理人を決めた場合、代理人はその代理戦争を拒否する権限を持つ事を一度だけ赦されると言うルールを早速使う事にする。
それを早速冠之公正人に要求すると、冠之公正人は思い出したかの様に封筒を持ってきた。
「えー……っと、それで雨月……くんでいいのかな? 雨月万丈様から言伝があるのですが……」
「………親父から? 」
冠之公正人の手から封筒を奪い取り、封を切って中を見る。
アイアンメイデンは俺に気を使ってか俺の傍から離れる。
親父からの言伝は、直筆で、乱暴に書かれていた。
『よぉ我が息子、お前がこれを見ていると言う事は、家の近くの郵便局に到着したって事だな、アイアンメイデンはなかなかいい子だろう、なんたって俺がドイツで選んだ精霊だからな、そいつがいれば代理戦争はだいぶマシになるだろう』
親父は、まさか俺が代理戦争を行うと言う前提で言っているのか?
だけど俺はやらないぞ、急に殺し合いに巻き込まれるんだ、絶対に御免だね。
『あぁ、そんな事よりも、俺はお前に謝らなきゃ行けない事がある』
何だ? この代理戦争に俺を参加させた事か?
だとしたら、謝るくらいなら参加させるなよ、親父。
『お前のお宝本、俺も使っちゃった。テヘペロ』
あぁああああああああああああああ!! なんかゴワゴワするなとか思ってたけどあれ親父かぁあああああああああ!!つーか何年前の話だ!! 中二の頃か!! 思春期の時にそんな事するんじゃねぇえええええええええ!!
つーかあれだ!! 勝手に代理戦争に参加させた事を謝れ!! そんな汚い話を手紙に公開すんな!!
『んじゃあ後は言いたい事無いし、これで終わるわ』
終わるなぁああああああああああああ!! 何だこれ、これが俺の親父かよ!! 最低だな!!
本当最悪の親父だ、もういい、さっさと代理戦争なんて物騒なもの止めてやるよ。
怒りに任せて紙を破ろうとして、封筒の中に入っている手紙が、二枚あるのに気づく。
『PS、殴りたかったら終わってから来い、そん時は理由も聞かせてやる』
――――。
「……………なあ、アイアンメイデン、もし俺が、この代理戦争を行うって言ったら、お前は付いて来てくれるか?」
「えー………」
アイアンメイデンは心から面倒くさそうな顔をする。
そこはうんって言えよ、うんじゃなくても肯定の意を述べろよ、俺の一大決心を無碍にするかこの野郎。
「冗談です………ついて行きますとも、例え貴方が代理戦争を拒否しても、最早盟約は済ませてあるのですから」
…………うん、それでこそ、おれの許婚だ。
「さてさて、お話は終わりましたか? では問わせていただきます、雨月雄平様、貴方は、この代理戦争に参加する覚悟は? 」
一応規則なのか、年下の俺に対して敬語を使う、一応公正人としての自覚はあるらしい。
俺は力いっぱい、自身の気持ちを伝える。
「ある、戦争に勝ち抜いて、親父をぶん殴りに行く」
決意は固く、思いは強く、俺の芯は真っ直ぐ突き進む。
冠之公正人はパンッと手を叩いてニッコリと微笑んだ。
「代理戦争に参加お疲れさまです。早速ですが、貴方にやって頂きたい事があるのですが………」
……? なんだ?
「脱げ」
…………え?
「代理戦争十法則の六、代理人の力量は必ずしも公正人に通達すべし、魔術、財力、武器、能力等もこれに該当する」
「と言う訳で、早速力量を調べますので、脱げ」
「ちょ、何で最後の言葉だけ命令口調!? アイアンメイデン、助けて!!」
「どうやら私はお邪魔の様ですね………外に出てます」
ちょ、お前それでも俺の許婚か!?
「ヒャッハー!!これだから公正人は止められねぇ!! 男の裸見放題だぜぇ!!」
「ちょ、何かお前性格変わって―――――アーーーーーーーッ!!!」
追記・親父蹴り飛ばす。