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「おはようございますー。」
自転車を下りると、弥生はまだボタンを押しても開かない自動ドアを自力で開けると、やる気の無い声を発した。
弥生は三ヶ月前からこの定食屋で働き始めた。
始めはがむしゃらに働いてた。
だけど途中から、本当にやりたいことを知ってる私は苦しくなった。
違うでしょ…
やりたいこと、これじゃないでしょ…
頭の中で囁く自分の声を誤魔化すために、必死になった。
だけど、現実は違ってて、頑張っても、頑張っても、結果は出なかった。
一緒に入った同期が評価されて、私は全く見向きもされない。
今ではどうでもよくなった。
私は一生誰にも評価されずに終わるのだ。
自暴自棄だった。
「お前、美容師だったわりに、接客向いてないよな。」
そんなある日、職場の上司に言われた一言。
「はっ?」
「だって、全然笑わないじゃん。」
その言葉が酷く胸を抉る。
弥生は眉間に皺を寄せた。
「なんか言われると、すぐにしかめ面。そんなんでいい接客なんてできないだろう。」
上司の人を嘲笑うかのような表情に吐き気がした。