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暗闇にて

長い夢を見ていた気がする


いやそれともまだこれは夢の中なのだろうか


目が覚めるとあたりは完全な闇だった。


今、僕はどこにいるのだろうか 冷たくも暖かくもない不思議なこの空間は四方を見渡しても延々と続いていた。


僕は死んだのか?


死後の世界は救いでも苦痛でもなく無なのかな? だとしたら寂しいものだ


記憶が無くてかえって良かったかもしれない


帰るべき場所が分かってながらこんな場所にいたら発狂していたかもと寝起きの頭でぼーっと考えていると


右手に冷たくて固い何かがあった。


手のひらの上においてもさらに余りある小さなそれは


確かにそこにあるのだがこの暗さではその正体がわからない。


「こんなとこにずっといるのはゴメンだし、ちょっと死後の世界とやらを探索してみますかね」


これの正体を確かめるためにも。


一歩踏み出すと、地面を蹴る感覚が返ってきて


一歩二歩三歩その感触をかみしめる


どうやら完全に無と化した訳じゃなさそうだ


「それじゃ少し黄泉の世界を探検してみようか」


ゆっくりとその歩調を速めていった



「ふぅ…」


どれくらい歩いただろうか


行けども行けどもあるのは闇だけで、生物の存在はおろか 物体にぶつかる事も無い


歩く音と自分の息遣いだけが虚空に消えていった。


「あー疲れたー」


首を(おそらく)下に向けるが、やはりそこには闇しかない。


このまま闇と同化して死ぬのか、いやこんな物語冒頭で主人公が死ぬはずが無い


うつむく顔をあげて(たぶん)前を向くと先ほどまでは無かったはずの光が見えた


「ははっ冗談のつもりだったけど、案外僕主人公属性あるかもなぁ」


一歩歩くたびにその希望の光は大きくなっていく。もう少し


あと三歩、二歩、一歩 世界は色を映し出した!


久々に見た初めの世界は先ほどの暗闇よりはマシとはいえ


なんとも殺風景な光景だった。


周りは木々に覆われ、舗装されたと見受けられる道の真ん中に石畳がこれまた延々と続いていた。


「まぁさっきまでの何も見えない風景よりは100万倍はマシだ んっ?ああ」


自分の右手に握られた物の存在を思い出した。


握りしめていた手を開いて、それを確認してみる


「指輪?」


そこには銀色に光る指輪があった。装飾も宝石も無い至ってシンプルなデザイン


特徴があるとしたら、H.という文字が掘られてるだけであとは何も無い。


「これが今と昔を繋ぐ唯一の存在か…大事にしなきゃな」


指輪をポケットにしまおうと手をかけるが虚しく空を切った。


さっきまで変な空間にいて気づかなかったが


「僕全裸だったんだ…」


とりあえずこの道の先に服があることを信じて


全裸のまま歩き出した。

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